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1章 旅立ちの日に
#18 別れは突然に
しおりを挟む「―ふぅ、ここまでくればグレアから逃げられたかな」
「俺、あいつ苦手だ。」
リオラ達は急ぎ足をやめ横に並んでトレルの街並みを歩く。
「ははは、まぁリオラとは合わなそうだもんね。そういえばずっと気になっていたんだけど、クロンはどうしたの?」
ルークはリオラに尋ねる。
「ん、ここで寝てるけど?」
リオラはそういうとルークに背中を向け自分の服のフードを指さす。
そこには小さく丸くなったクロンがすやすやと寝息をたてていた。
―その後、二人の間にしばしの沈黙が訪れる。
そして
「…なぁルーク。ずっと聞きたかったんだけどお前のゲインはどうだったんだ?」
リオラは前を向いたまま尋ねる。
「【裁定眼の先導者(ジャッジメント・リーダー)】。聞いたことがないし周りも知らないみたいだからレアなゲインだと思うけど…。でも名前からして鑑定系のゲインだと思う。」
ルークは淡々と話す。
「鑑定系のゲインか…。あんまうれしくないのか?」
「…正直うれしくはないかなー。やっぱり戦闘系のゲインで騎士団で活躍したり商人のゲインで領地を広げたりする能力が周りから求められてるし、貴族の家の長男としては残念かな。」
「ふーん」
「それに姉がとんでもなく強い戦闘系のゲインだったからそれと比べて僕は―」
「あのさ、なんでさっきから他人の話をしてるんだ?」
リオラが立ち止まりルークの顔を見る。
「貴族がどうかとか俺にはわからねぇけど、でもそのゲインを使うのはルーク自身なんだから周りは関係ないだろ?」
「リオラ…」
ルークは一度驚いた表情を浮かべ、そして下を向く。
「…リオラにはわからないよ。優秀な姉といっつも比べられて、なにをやっても完璧を求められて、失敗したら見放され、うまくできても当たり前と思われて生きてきた人間の気持ち。君なんかにわかるはずがない!」
ルークは下唇を噛みしめ声を荒げる。
いつもと違うルークの一面を見て、リオラは一瞬固まる。
「な、なんだよっ!落ち込んでると思って人がせっかく励ましてやってるのに!」
リオラも強い口調で言い返す。
「キュィィー」
二人の声でクロンが目を覚ました。
「あ、起こしちまったか。ごめんな。」
「…先行くね」
リオラと目も合わせずルークは走って行ってしまった。
「ちょっ、まてよルーク!なんなんだよ、いったい…」
リオラは遠くなる背中を見つめ、途方に暮れた。
「あーまだ怒ってるかなーあいつ」
リオラは馬車のある宿屋の前まで到着する。
「あれ?なんか人がいっぱいいるぞ?」
宿屋の前には防具を身にまとった人たちがせわしなく宿屋に出入りしている。
リオラが宿屋に入ろうとすると―
「あーちょっとそこの君。ここから先は関係者以外立ち入り禁止だからあっちにいきなさい。」
鎧を着た男が行く手を阻む。
「立ち入り禁止って…俺の友達がここにいるはずだから俺は関係者だな!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
リオラは制止を振り切り中へ入ろうとする。
ドンッ
「いてっ!」
何かにぶつかりリオラは尻もちをつく。
「…なんだ貴様は?」
「ロ、ロキ隊長!」
入り口にいた男たちは一斉に敬礼をする。
コツコツコツ
リオラがぶつかった先から金色の鎧と金色の長髪、整った顔が特徴的な美青年が現れリオラを見下していた。
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