Cross Destiny ~滅びる世界と届かぬ想い~ 

toya (streamer)

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1章 旅立ちの日に

#19 事件と陰謀

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「いててて」
リオラは腰を擦りながら立ち上がる。

「誰だ、こんなガキを通したのは!」
金髪の美青年が周りを睨み付けると男たちは背筋を伸ばして固まる。

「す、すみません、ロキ隊長…止めたのですがその子が勝手に―ひぃっ」
入り口で警備をしていた男が怯えながら謝ろうと近づいた時、その男の頬を剣がかすりながら通過する。

「私は誰も入れないように見ておけと言ったはずだが?」

「も、もうしわけありませんっ!」
ふんっと鼻をならし剣を納める。

「早くその小汚いガキを追い出せ。仕事の邪魔だ。」

「ハッ!」
ロキは男たちに指示を出し、背を向け宿屋の中へ戻ろうとする。



「小汚いだとっ!そっちこそダッサい恰好してるくせに!」
頬から血を流す男に引っ張られながらもリオラは言い返す。

ピクッ

「…ダサいだと?」
リオラの言葉に歩き出した足を止め、ロキは振り返る。

「ば、ばかっ!早く謝りなさい!」
リオラの頭を押さえつけ謝らせようとするがそれを拒むように暴れる。

コツコツコツ

押さえつけられているリオラの目の前に高価で綺麗な靴が現れる。

「なんだよ?ほんとのこと言っただけだろ?」
リオラは顔を上げ目の前のロキの顔を見上げる。

「平民の分際でこの私を侮辱する気か?」
ロキは剣を再び抜くとリオラの首筋に向ける。

「た、隊長!?それはさすがにマズイのでは…。相手はまだ子供ですし―」

「帝国騎士団憲章第28条」

「へ?」


「『騎士団に所属する者、各団の長の命令に遵従すべし』。私に意見するということは貴様も処罰の対象となるということだ。」

「で、ですが…」

シュパッ

ロキは剣を振り男の髪の毛を斬る。

「…わかった、そこまで言うのなら私が間違っているのかどうか団員の意見も聞こうではないか。この中に私の行動に意見があるものがいたら名乗り出ろ!」

シーン…

周りの男たちは気まずそうに下や別の方向を向いて何も言わない。

「ははは!そうだろうな!この私が間違っているはずなどないに決まっている。団員が誰も異議を唱えないということはこの行動は正義を司る騎士団として正しい行いというわけだ!」
ロキは周りの様子に満足そうに笑みを浮かべる。


「――騎士団にもあんたみたいなクズがいるんだな。」

「な、なんだと…?」
リオラの一言にロキの眉毛はピクピクと動き、周りの男たちの顔から血の気が引く。

「貴様、もう一度言ってみろ。」
ロキの剣がリオラの首筋に触れられ、血が垂れる。

「何度でも言ってやるよ。あんたみたいなクズ野郎が騎士団にもいるんだな!スキンヘッドのおっちゃんとかカメレオンのねぇちゃん、めっちゃ力の強い赤髪のねぇちゃん…今日一日でいろんな騎士に会ったけどみんな変わってたけど、どこか憧れるようなところがあったのにあんただけは…あんたみたいな騎士にだけはなりたいと思わねぇ!」
リオラは目を背けずロキに言い放つ。


(くそっ、このガキ言わせておけば図に乗りおって!しかしちょっと待てよ。こいつが会ったという騎士…赤髪で力の強い女は…アナリスか?カメレオンはアケイアで間違いないだろう。騎士団で名の知れた二人とこんなガキにどうして接点が…。それにこの二人クラスでスキンヘッドの男となると―まさか帝国騎士団総隊長ディオメデス!?)
ロキは怒りよりもリオラに対する謎が頭を支配する。


(もしかすると私の行動を監視しに来たのか?)

「貴様、なぜこの宿に来た?」

「は?」
ロキの口から出た言葉が想像していたものとは違い、リオラから間抜けな声が発せられる。

「なぜ貴様は今日この宿に来たのかと聞いているんだ。」

「なぜって…友達がここにいるはずだからだよ。」

「友達…」
(おかしい…。今日この宿にいる子供は計画のターゲットになっている子供だけのはずだが…)

質問したまま固まるロキをリオラと周りの男たちは不思議そうに見つめる。

「…その友人の名は?」

「え?ルークだけど?」

パチンッ

ロキは剣を鞘に戻し歩きはじめる。

「そいつを追い出しておけ。」

「へ?」

「追い出せと言ってるんだ!」

「ハ、ハッ!」

「おいこら!ちょっと待て!俺の話はまだ―」
突然イラつき始めたロキを見て、リオラを押さえていた男は慌ててリオラを連れ外に出る。


「あのーロキ隊長?あのまま彼を見逃してよかったのでしょうか?」

「うるさいっ!お前らは早く仕事に戻れ!」

(ちっ!あんな平民のガキ、普段なら殺してしまっていたのに…。しかし今日は目立つわけにはいかない。それにあのガキを殺してもし万が一、ディオメデス達の反感を買ってしまってはただでさえ上手く行っていないこの計画が完全に終わってしまう…。それだけは避けねば)

ロキは悔しそうな表情で部屋に広がる血の海を見つめていた。

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