拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~

ぽん

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新たな旅 ー王都ー

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 国王の執務室に入るには廊下から3つの扉を進まなければいけない。
 それぞれに衛兵が立っていて、隙など一つもない様な雰囲気だった。

「アルフ!」

 テオルドが声をかけて中に入ると待っていたのは、国王に王妃、そして王太子・ギルバートに第二王子・ディビットとその婚約者であるココ・クラーク伯爵令嬢であった。

「テオ!やっと真面まともに話せると思えば、ミズガルドか?」

「残念ながら、その様だ。
 やあ、シシィ。
 クッキーや琥珀糖が気に入ったのは嬉しいが、大量に食べる物ではないよ。」

「だって、だって、だって!美味しいんだもの。
 ねー。ココ?」

「はい。初めて食べた時は驚きました。」

 ムクれる王妃にココ嬢は頬を染めながら頷いた。

「イオリ殿!
 ココに笑顔を取り戻してくれて感謝する!」

 第二王子・ディビットがイオリに走り寄って、感極まる顔で手を取ってきた。

「お役に立てて良かったです。
 まぁ、ココさんなら時間をかけて自分で折り合いを付けていた事でしょう。」

「いいえ。イオリさんと子供達に元気付けられたんです。
 有り難うございました。
 また会いたいです。」

 ココも恭しく頭を下げてニッコリとした。

「それは子供達も喜びますね。
 あの子達も“ご本のお姉さん”に会いたがっていましたので、機会があれば。」

 息子達とイオリの会話を聞いていた男が立ち上がりイオリの側に来た。

「テオ。紹介してくれ。」

「はい。兄上。
 この者が以前から話していた冒険者イオリです。」

「初めまして、国王陛下。
 イオリと申します。
 家族と共に滞在をさせていただき有り難うございます。」

 膝をついて頭を下げるイオリに国王は肩を叩いた。

「立ちなさい。
 君が膝まづくのは私では無いはずだ。
 
 感謝しているのは私の方だ。
 アースガイルという国において、危機的状況を何度も助けてくれていると聞いた。
 今回は息子の婚約者の心をも救ってくれた。
 
 有り難う。」

 一国の王が頭を下げるのを慌ててイオリは止めた。

「やめて下さい!無理です!王様に頭下げられると、心臓が持たない・・・。
 俺は俺のやりたい様にやっているだけです。

 正直、国とか王様とか難しい事は考えていませんでした。
 目の前の問題を解決する・・・それに伴い影響することまで手に負えません。」

 苦笑しながら頭を掻くイオリにテオルドを含めポーレットの一団は大笑いした。

「はっきりと言いおった!
 やりたい事はやるけど後は知らん。
 イオリらしい言い文句だ。
 あはははは。」

 遅れる様にして笑いだした国王アルフレッドは涙を流していた。

「本当に面白い奴だ。
 そうか、そうか。よく分かった!
 イオリ!好きにしろ!
 このアースガイルにおいて、お前の自由を認める。
 どこへ行っても、思うままに行動するがいい。

 にしても、今日の事は褒美を出さねばなるまい。
 屋根に勝手に保護膜を張るだと?
 偵察行為に等しいでは無いか! 

 魔石の結果次第ではミズガルドの姫にも話を聞かねばならぬ。
 誰かが犠牲になっているのなら、名誉の回復もしてやらねばな。

 何を褒美に出そうか?」

 そんな国王アルフレッドにイオリは慌てて言った。

「それならば、俺の家族であり奴隷契約をしているヒューゴさんに褒美をあげてください。
 1番最初に気づいたのは彼です。」

「ほう。普通は奴隷の功績は主人の物であるぞ?」

 アルフレッドの言葉にイオリは首をふった。

「それならば、その“普通”が間違っているんです。
 奴隷だろうが、功績による褒美は成しえた者に与えられるべきです。
 主人はそれを誉に思えばいい。」

 イオリの言いっぷりに国王アルフレッドはニッコリと微笑んだ。

「そうか・・・。
 そうだな。では、その者に褒美を与えよう。」

 その後、アルフレッドに提案をされた事にイオリは大いに喜んだ。
 

 茶会が行われた次の日、離宮・シグマに国王陛下から奴隷・ヒューゴとニナの兄妹の前に大量の金貨が届けられていた。
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