拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~

ぽん

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新たな旅 ー王都ー

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 王都へ集まる貴族の間で漏れ聞こえて来る話があった。
 
「先日の王妃殿下の茶会の日に出会われたそうだ。」

「私は聞きましたのよ。朝の王城の庭先で密会なさっていたとか。」

「いくら侯爵家だって、あんな豚・・・。だって、そうでしょう?」

「どうやら、国王陛下の許可を取り付けている最中だとか。」

「素敵な方ですわ。先日も、お見かけしましたもの。
 お相手が決まったなど、残念ですわ・・・。」

「なんでもミズガルドのロザリンダ姫のお口添えらしい。
 あの方はポーレット公爵家をも手玉に取られたのか?」


「「「「まさか、ポーレット公爵家のニコライ様とタヴァロス侯爵家のギゼラ様がご婚約するとはね!」」」」


 早朝の王城へ突撃してから、このかたギゼラは事ある毎に偶然を装いニコライに会いに行っていた。
 王城の者は勿論、貴族の間でも最早知れ渡る事となっている。

 そんな突撃を繰り返すギゼラに対してニコライは終始笑顔で迎えた。

「今日の髪型は上手ですね。」
「そちらのドレスの作りは素晴らしいですね。」
「花が似合う女性は素敵だと思いますよ。」

 ちゃんと聞けば、ギゼラ本人を褒めていない言葉であるのにも関わらずギゼラは嬉しくて仕方がなかった。

「そう言えば、明日にでもタヴァロス侯爵へお話があるのです。
 お伺いしますね。」

 いつもの通りにニコライが微笑みながら伝えた事にギゼラは「ついに来た!」と有頂天になった。

「はい!父にも伝え家族一同、お待ち申し上げております。」

「そうですか!それはそれは。
 私も父を連れて参りますので、よしなに。」

 この日のギゼラは飛んで跳ねて帰っていった。

「お父様!!お母様!!
 聞いてくださいまし!大変なのです!!」

「落ち着きなさい。ギゼラ。
 淑女がなんですか?そんな大きな声を出して。」

 驚き眉を潜める母ドーリーがギゼラに声をかけた。

「ごめんなさい。お母様。
 でも、そんな悠長な事を言っている場合ではないのです!
 お父様は?お父様!!」

「なんだ?ギゼラ?
 騒々しい。落ち着きなさい。」

 ゆっくりと部屋に入ってきた父に苛立ちながらもギゼラは大声で言った。

「聞いてください!ニコライ様が明日、婚約を取り付けに来られるのです!!」

 顔を緩ませて叫ぶ娘を両親であるタヴァロス侯爵夫妻は驚きを持ってして受け止めた。

「なんと・・・ついに!
 でかした!ギゼラ!!」

「なんて素晴らしい報告でしょう。
 やはり言ったでしょう?ニコライ様はギゼラを選ぶって。
 貴方!こんなことをしていられませんわ。」

「あぁ。迎える準備をしなければ!!
 使用人を全て集めろ!明日に向けて大忙しだ!」

 近くにいた執事に指示をするとタヴァロス侯爵は妻と娘をねぎらた。

「明日はポーレット公爵もいらっしゃるそうです。」

「そうか。世間が王太子妃に夢中になっている中、お前の婚約が先に決まるとはな。」

「先日のお茶会のお菓子も素晴らしい物ばかりでしたものね。
 これからは親戚付き合いが出来るのなら、手に入れるのも容易くなりますわね。」

 《そうだ!これで、私に運が向いてきた!!
  ミズガルドにも伝手ができ、ポーレット公爵家とも繋がりができる。
  なんとかして砂糖や菓子の産業に一枚噛む事ができれば・・・。》





 そんなタヴァロス侯爵一家の夢が一夜のうちに簡単に打ち消されてしまう。

「これより、アルフレッド・アースガイル国王の名において
 他領への損害を誘発及び、冒険者への違法依頼。詐欺・暴行。
 自国の情報を他国へ流す諜報活動。
 貴族の名を著しく貶めた容疑でタヴァロス侯爵ベンネ・タヴァロスを拘束。
 並びにタヴァロス侯爵家所有のこの屋敷も取り押さえとする。
 これは王命である。従わぬ者は王命に反するとして拘束をする。」

 約束の翌日、大量の衛兵がタヴァロス侯爵家を取り囲んだのであった。
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