続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜イルツク〜

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「あの者は・・・。」
「アイツは・・・!」

 真っ黒な青年の登場にディエゴ・ギロック騎士団長とロレンツォ・カーラが驚いていると、洞窟に甲高い声が響いた。

「イオリー。
 うるさーい。」

「撃つなら言ってよー。」

「ニナ大丈夫?」

「大丈夫。びっくりしたねー。」

 子供達だけじゃない。
 耳の良いゼンはフラフラと座り込みアウラは抗議の為かイオリのお尻を齧っていた。
 ヒューゴは平然とした顔をしていたが耳をトントンと叩いている。

「あははは。ゴメン、ゴメン。
 転送してもらったら、争いの真っ只中だったからさ。
 とりあえず、空砲を撃ったんだ。
 ・・・皆さん大丈夫ですか?」

 後ろにいたアレックスとロジャーは両耳を押さえ瞠目し、レンは心臓に手を当てて身を固めていた。
 レンのパーティーの中には驚いて腰を抜かしている者もいた。

「・・・イオリ。
 今のは・・・いや、それがお前の武器なんだろう。
 驚いた。
 先に言っておいてくれ。」

「何、今の?
 魔法?
 スゴッ。」

「心臓が・・・心臓が・・・。」

「「「・・・・・。」」」

 洞窟の中が静寂に包まれた中。

「えへ。」

 イオリの誤魔化すような笑い が響いたのだった。



「君達は・・・冒険者か?」

 誰よりも早く、現実に戻ってきたディエゴ・ギロック騎士団長の声にレンのリーダーが慌てて手を挙げた。

「ギロック騎士団長。
 ギルマスからの依頼で他のSランク冒険者を案内していました。
 ダグスクのアレックスとロジャーのコンビとポーレットから来たイオリとヒューゴとそのパーティーです。
 彼らはギルマスから最終の部屋に入る許可を得ています。」

 ディエゴ・ギロック騎士団長は頷くと合図をした。

「ここは我々で大丈夫だ。
 先を急いでくれ。 
 最終の部屋のエリアはここより下層にある。」

 騎士団がロレンツォ・カーラのパーティーを押しやりイオリ達に道を作った時だった。

「いいえ。騎士団長。
 差し出がましい事は分かっていますが、ここも我々に任せて頂けませんか?」

 イオリの言葉にディエゴ・ギロックは眉間に皺を寄せた。

「しかし、君達には真っ先に最終の部屋を目指してもらい“エルフの里の戦士”の対処を願いたのだが・・・。」

 すると後ろからアレックスが歩み寄った。

「ギロック騎士団長。
 私の父もダグスクの地で騎士団を預かる身です。
 いかに、騎士団が自領への愛に溢れているか知っています。
 しかし、奴らは冒険者。
 冒険者には冒険者の流儀があります。
 それに、奴らはイオリ・・・私達にも文句があるのでしょう。
 あなた方の中には怪我をしている者が出たとか。
 少し我々に時間をください。
 終わらせ次第、すぐに最終の部屋に向かいます。」

 アレックスの言葉にディエゴ・ギロック騎士団長は静かに頷いた。

「引け!」

 騎士団長の言葉に騎士団は冒険者から飛び退くと離れていった。

 イオリはディエゴ・ギロック騎士団長に頭を下げると前に出た。

「ロレンツォ・カーラさん。初めまして。
 ポーレットの冒険者イオリと言います。」

 イオリの自己紹介にロレンツォ・カーラは目を細めると鼻で笑った。

「はっ!
 幻の英雄がこんなに若造とはね。
 噂とは当てにならんな。
 どうせ、3年前の話も眉唾だろう?」

「噂は大袈裟に広がるものですからね。
 そんな大した事じゃないんですよ。
 依頼をこなした。
 ただ、それだけです。
 だから今回も、依頼をこなすつもりです。」

 肩を竦めるイオリにロレンツォ・カーラは怒りの目を向けた。

「ほう。
 その依頼を受けられない俺はお前以下か?」

「適材適所ではないですか?
 今回は俺がこの依頼に向いているだけです。
 それをギルマスが判断した。
 冒険者なんて、そんなものでしょ?」

 ロレンツォ・カーラの煽りを気にも止めずイオリは微笑んだ。

「・・・クソガキが!」

 逆に我慢ができなくなったのか、ロレンツォ・カーラは両手を前に出すと呪文を口にし大きな火の玉を出現させた。
 次の瞬間、洞窟が火の玉の光に包まれた。
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