続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜王都〜

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 カーテンからの木漏れ日が光っている。

 イオリはベットの中で体を伸ばすと瞳を開けた。
 隣には真っ白なフワフワした毛が寄り添っていた。
 イオリはゼンを撫でると優しく微笑んだ。

 昨夜は国王アルフレッド達との再会に騒がしくなったが、夕食をとって早々に眠りについた。
 元気な子供達も長旅で疲れていたようだ。
 部屋の取り合いをする事もなく、すんなりと眠りについた。


「おはよう。イオリ。」

 イオリが動き出した事に気づいたゼンが眠そうな顔を上げた。

「おはよう。今日もいい天気だよ。
 少し体を動かしてくる。
 ゼンは寝てていいよ。」

「一緒に行く!」

 イオリとの朝が嬉しいのか、ゼンはガバッと起きるとベットから飛び出した。
 
「着替えるから待って。」

 イオリは軽装に着替えると部屋を出た。
 庭へ続くガラス戸を開けると優しい日差しが顔にかかる。

「うん。気持ち良いね。」

 深呼吸をしたイオリは柔軟を念入りに始めた。
 いつものルーティンだ。

 戦闘中の軽快の動きとは裏腹、イオリのトレーニングは実に地味だった。
 ゆっくりと体を動かし、ゆっくりと体を目覚めさせていく。
 ヒューゴも当初は困惑していた。
 しかし、真似をしてみると直ぐにキツイ事に気づいた。
 筋肉に負担をかける事なく、様々な体の形をとる事で必要な負荷をかけていた。

『俺が欲しいのは、力ではなくてバランスとスピードなんです。』

 筋肉を鍛える事が大切だと思っていたヒューゴにとって目から鱗だった。

 イオリが朝一番で行うトレーニングは今や当たり前になっていた。

「今日も早いな。
 朝ごはん作らなくて良いから、スコルもまだグッスリだ。」

 ガラス戸からヒューゴがやって来るとイオリはニコッとした。

「おはようございます。
 俺も、ゆっくりさせて貰いましたよ。
 それでも体は動かしておかないと気持ち悪くて。」

「分かる。
 結局、目は覚めるんだよな。」

 2人は苦笑すると自分のトレーニングに戻っていった。
 イオリとは違い、パワーを求めるヒューゴは柔軟を終えると剣を振り出した。
 ビュンビュンと風を切る音も馴染み深い音となった。
 
 そんな2人の間をゼンがのんびりと歩いていく。
 フェンリルのゼンにとってトレーニングは必要としていない。
 ただイオリの側にいる事が嬉しいのだ。
 
 イオリは時間をかけて体をほぐすと、今度はゼンの毛繕いを始めた。
 特製のブラシで撫でられるゼンは気持ち良さそうだ。

 しばらくすると、ハミルトンがやって来た。

「おはようございます。
 お風呂のご用意ができております。
 どうぞ、ご利用ください。」

「ありがとうございます。」

 汗を流し大剣を振っているヒューゴに目をやると終わりそうもない。

「お先に。」

「あぁ・・・フンッ!」

 イオリはゼンを連れて部屋に入った。

「お水をどうぞ。」

 何も言わなくても準備してくれるハミルトンに恐縮するイオリであったが礼を言って受け取った。

「それじゃ、お風呂に入ってきます。
 ナギあたりは起きているでしょうから、声をかけてください。」

「畏まりました。
 寝坊助さんはパティ様ですね?」

「ええ。そうです。」

 ハミルトンは笑いながら子供達の部屋に向かって行った。

 イオリは風呂場に向かうと体を休ませた。

 王都でのイオリの朝が始まる。

 
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