続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア〜

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 ーーーーー砂漠の国“デザリア”

「今日は風が強いな。」

 男が窓に手を当てて呟いた。

・・・王よ。
 アースガイルからの使節船が出発したようです。
 こちらに着くまでに1週間と言ったところでしょうか。」

 父の代から頼りにしている宰相に王は頷いた。

「兵士がダンジョンに閉じ込められて、早・・・1ヶ月か。
 生命反応があるから生きてはいるのだろうが、未だに救出できぬとは・・・。
 他国の王族が来るのなら余計に時間をかけられぬ。」

「仰る通りなれど、今まで発見された事のない結界が発動されていると報告があります。
 何か、未知なる問題が起こっています。
 それすらも把握する術がないのです。」

 経験豊富の宰相も手も足も出ないと困惑している。

「現在、調査を進めておりますが、結界を解除するまでに時間がかかる見込みです。」

「・・・そうか。
 あの子はどうしている?」

 背を向けたままの王に宰相が憔悴したように報告した。

「お部屋から出てまいりません。
 お食事も少量しかお口にしないようです。」

 王は溜息を吐くと振り返った。

「あの子は許されない事をした。
 にも関わらず、未だに反省の色が見えないとみえる。
 妃に伝えなさい。
 に軟禁するようにと。」

 王の決断に宰相は悲しい顔をした。

「まだ、5歳の幼子でございます。」

「しかし、あの子は王族の姫である。
 自分の我儘で多くの人間の命がかかっている事を理解しなければならない。
 今回だけではない。
 何度、あの子の我儘で周りが振り回されてきたか・・・。
 他国の客人を迎える今、これ以上の揉め事はあってはならん!」

 宰相も最早、何も言えないようであった。
 頭を下げると静かに執務室を辞して行った。

 1人になると王は再び窓の外に目をやった。
 風で砂が舞っている。
 
「今日は風が強いな。」

 王は誰にいうでもなく、呟いたのだった。


_________

《・・・もうすぐ会えるのかな?》

《その前に奴らが来ちゃうよ。》


《もう少し頑張ろうか。》

《うん。頑張ろう。》


《愛し子ってどんな子?》

《分かんない》


《優しい子だと良いね。》

《きっと優しい子だよ。》


《あと、もう少し・・・》

《あと、もう少し・・・》
________


「・・・んっ?
 何か言った?」

 眠っていたイオリは瞼を開き呟いた。

『何も言ってないよ?
 大丈夫?
 まだ、気分悪い?』

 ゼンが心配そうに顔を覗き込むと、イオリはクスッと笑った。

「心配かけてゴメン。
 大丈夫だよ。
 ・・・今、誰かが話しているように感じたんだ。」

『ここにはボクとイオリだけだよ。
 みんな船の探検に行った。』

「そっか・・・。
 俺も気分良くなってきたから行こうかな。
 
 それにしても、あれは誰の声だったんだろう。」

 まだ、虚なイオリの頬にゼンが擦り寄る。
 
『空気を吸いに行くなら、船の先端じゃない?』

「良いね~。
 ポーション飲んで休んだから、本当に気分が良くなってきた。
 行こうか、船の先端!」

 1人と1匹は行きおいよくベットを出るとテントの階段を駆け上がって行ったのだった。
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