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旅路〜デザリア・ダンジョン〜
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“余慶のダンジョン”の谷のエリアと呼ばれる最深部。
イオリは岩壁に沿って現れた階段を下っていた。
「思ったより長い道のりですね。」
谷底が丸見えで柵などない階段を慎重に歩みを進めている。
「そうだな。
このままでは体力は確実に奪われる。
子供達が心配だ。」
今はまだ、楽しそうにしている子供達だがヒューゴは心配そうだ。
『僕が乗せて行こうか?
アウラも手伝ってくれるでしょ?』
「ヒヒンっ!」
ゼンの提案にアウラはしっかりと頷いた。
頼もしい相棒にイオリは微笑んだ。
「それじゃ子供達が疲れ始めたらお願いしようかな。
ナギあたりは瞬時に下まで行っちゃいそうだけど、みんなで歩くのがが楽しいみたい。」
パティとニナが口ずさむ歌を聴き微笑むナギ。
一緒には歌わないが鼻歌を奏でながら先頭を歩くスコル。
その後ろをお尻をフリフリさせて続くゼンとアウラはリズムに乗っているようだ。
「これがダンジョンの最深部にいる奴らの姿かね。」
お気楽な子供達にヒューゴは苦笑するも、彼自身も実に楽しそうだ。
そんな中、イオリは静かなシモン・ヤティムを伺った。
「どうしました?」
「・・・うむ。
何か、いつもと違う気がするのでな。」
下を覗き込んだシモン・ヤティムに釣られてイオリも階段から顔をつき出した。
「・・・やはりな。
いつもなら、渓谷には水が・・・美しい川が流れているのだ。
それが今回はない。
周辺の木々までなくなって、まるで川全体が干上がってしまったようだ。」
それが本当なら確かに変だ。
「このダンジョンは変化すると言ってましたね。
最終の部屋への入り口も移動すると・・・。」
「そうだ。
しかし、過去に1度して川が干上がった事例は報告されていない。
これが吉と出るか凶と出るか・・・。」
“デザリア”の筆頭魔法使いが警戒しているのだ。
イオリとて気を緩めるわけにはいかない。
「わぁっ!!」
その時だった。
ニナの足元がグラつき、階段から身を投げ出された。
「ニナッ!!」
「「ニナッ!」」
慌てるヒューゴと双子が手を伸ばした時だった。
フワッ
唐突に谷底から噴き上がってきた強風がニナの体を押し返したのだ。
「あっぶなかった・・・。」
一瞬、肝を冷やした一行は冷や汗を拭うように溜息を吐いた。
《まるで、風が助けてくれたみたいだ。》
「ありがとう。」
イオリが小さく呟くと、どこからかクスクスと笑い声が聞こえる。
他は気づいてすらないが、イオリは思わず微笑んだ。
「ニナ。大丈夫?
そろそろアウラに乗せてもらいな。」
心配そうなヒューゴに抱き上げられていたニナは何が起こったのか分からないとばかりにキョトンとしている。
「そうだな。
アウラ。頼む。」
「ヒンッ!」
頷くアウラにニナを任せると同い事が起きないように気を引き締め直した。
谷底が近くなって来た時だった。
「見て!」
パティが指をさしたのは干上がった川の中に不自然な扉が1つ佇んでいる姿だった。
イオリは岩壁に沿って現れた階段を下っていた。
「思ったより長い道のりですね。」
谷底が丸見えで柵などない階段を慎重に歩みを進めている。
「そうだな。
このままでは体力は確実に奪われる。
子供達が心配だ。」
今はまだ、楽しそうにしている子供達だがヒューゴは心配そうだ。
『僕が乗せて行こうか?
アウラも手伝ってくれるでしょ?』
「ヒヒンっ!」
ゼンの提案にアウラはしっかりと頷いた。
頼もしい相棒にイオリは微笑んだ。
「それじゃ子供達が疲れ始めたらお願いしようかな。
ナギあたりは瞬時に下まで行っちゃいそうだけど、みんなで歩くのがが楽しいみたい。」
パティとニナが口ずさむ歌を聴き微笑むナギ。
一緒には歌わないが鼻歌を奏でながら先頭を歩くスコル。
その後ろをお尻をフリフリさせて続くゼンとアウラはリズムに乗っているようだ。
「これがダンジョンの最深部にいる奴らの姿かね。」
お気楽な子供達にヒューゴは苦笑するも、彼自身も実に楽しそうだ。
そんな中、イオリは静かなシモン・ヤティムを伺った。
「どうしました?」
「・・・うむ。
何か、いつもと違う気がするのでな。」
下を覗き込んだシモン・ヤティムに釣られてイオリも階段から顔をつき出した。
「・・・やはりな。
いつもなら、渓谷には水が・・・美しい川が流れているのだ。
それが今回はない。
周辺の木々までなくなって、まるで川全体が干上がってしまったようだ。」
それが本当なら確かに変だ。
「このダンジョンは変化すると言ってましたね。
最終の部屋への入り口も移動すると・・・。」
「そうだ。
しかし、過去に1度して川が干上がった事例は報告されていない。
これが吉と出るか凶と出るか・・・。」
“デザリア”の筆頭魔法使いが警戒しているのだ。
イオリとて気を緩めるわけにはいかない。
「わぁっ!!」
その時だった。
ニナの足元がグラつき、階段から身を投げ出された。
「ニナッ!!」
「「ニナッ!」」
慌てるヒューゴと双子が手を伸ばした時だった。
フワッ
唐突に谷底から噴き上がってきた強風がニナの体を押し返したのだ。
「あっぶなかった・・・。」
一瞬、肝を冷やした一行は冷や汗を拭うように溜息を吐いた。
《まるで、風が助けてくれたみたいだ。》
「ありがとう。」
イオリが小さく呟くと、どこからかクスクスと笑い声が聞こえる。
他は気づいてすらないが、イオリは思わず微笑んだ。
「ニナ。大丈夫?
そろそろアウラに乗せてもらいな。」
心配そうなヒューゴに抱き上げられていたニナは何が起こったのか分からないとばかりにキョトンとしている。
「そうだな。
アウラ。頼む。」
「ヒンッ!」
頷くアウラにニナを任せると同い事が起きないように気を引き締め直した。
谷底が近くなって来た時だった。
「見て!」
パティが指をさしたのは干上がった川の中に不自然な扉が1つ佇んでいる姿だった。
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