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旅路〜デザリア・王宮〜
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ーーーデザリア王宮の片隅にて。
「えっ?!
ヤティムさんもガレーに行くんですか?」
驚くイオリにご満悦なのは筆頭魔法使いのシモン・ヤティムだった。
リルラと再会した翌日。
朝から馬車を砂漠用に改造しているイオリの元にやってきた筆頭魔法使いは嬉しそうに報告した。
「あぁ、イオリ殿は砂漠の旅は不慣れであろう?
ガレー公爵への顔繋ぎもスムーズにできるしな。
それに、イオリ殿の戦い方は私以外は知らない方が良いだろうとスルターンが仰ってな。」
最後は声を顰めたシモン・ヤティムにイオリは苦笑した。
恐らく、王であるダマン・デザリアはイオリの特異性を理解している。
その上で、イオリが目立ちたくないだろうと心配りをしてくれているのだ。
そこに、護衛であるアレックスとロジャーを連れたアースガイルの第2王子であるディビットが現れた。
「そうしたら良い。
“ルーシュピケ”までの道のりにガレーがある。
ヤティム殿が道案内をしてくれれば、私達も安心だ。」
デザリア国王と良好な関係を築き、当初の目的であったチョコレート・・・カカオの輸入に関しても問題なく話しが纏まったディビットはご機嫌だ。
国が認めたとあれば、後はグラトニー商会を含めた民間に委ねるとあって、やる事がないのだろう。
イオリ達の出発を見届けた次の日にはアースガイルへ帰国するという。
イオリの方と言えば、今日中に馬車の手入れを終わらせられるし、ラバン商会に旅に必要な品は注文済みで明日には届く。
後は冒険者ギルドでの買取査定を待つのみである。
王都バッカスを離れるのも時間の問題である。
「分かっている。
リルラ達も一緒に行くのだろう?
それは双方の了解を得ている。」
ハッとしてシモン・ヤティムに視線をやればワケ知り顔で頷いた。
「事は、カカオの事だからな。
ラバン商会からも人が出て来るらしい。
なんでもホワイトキャビンとはイオリ殿が関わった商会であるとか。
公共事業が目的の商会とあって王も驚いていた。
英雄は欲がないのかとね。」
どうやら、デザリアの面々はリルラ達の正体が分かっていないようだ。
何事もなかったかとのように微笑むディビットにイオリは苦笑するのだった。
「冒険者としての稼ぎで十分ですからね。
余計なお金は有効に使っていただくに限ります。
それに、俺は俺が欲しいと思う物をホワイトキャビンを通じて、多くの商会が取り扱ってくれれば欲を満たせます。」
そんなイオリにアレックスとロジャーは笑い出した。
「自分が欲しい物を人が用意してくれれば欲も満たされるか。
強欲だな。
イオリは。」
「どこに行っても変わらないんだろうな。
お前は。
どうせ、旅先でも美味いものを見つけてくるんだろ?」
イオリは肩をすくめて澄ました顔で頷いた。
「当然でしょう?」
そんなイオリに一同は笑うのだった。
「えっ?!
ヤティムさんもガレーに行くんですか?」
驚くイオリにご満悦なのは筆頭魔法使いのシモン・ヤティムだった。
リルラと再会した翌日。
朝から馬車を砂漠用に改造しているイオリの元にやってきた筆頭魔法使いは嬉しそうに報告した。
「あぁ、イオリ殿は砂漠の旅は不慣れであろう?
ガレー公爵への顔繋ぎもスムーズにできるしな。
それに、イオリ殿の戦い方は私以外は知らない方が良いだろうとスルターンが仰ってな。」
最後は声を顰めたシモン・ヤティムにイオリは苦笑した。
恐らく、王であるダマン・デザリアはイオリの特異性を理解している。
その上で、イオリが目立ちたくないだろうと心配りをしてくれているのだ。
そこに、護衛であるアレックスとロジャーを連れたアースガイルの第2王子であるディビットが現れた。
「そうしたら良い。
“ルーシュピケ”までの道のりにガレーがある。
ヤティム殿が道案内をしてくれれば、私達も安心だ。」
デザリア国王と良好な関係を築き、当初の目的であったチョコレート・・・カカオの輸入に関しても問題なく話しが纏まったディビットはご機嫌だ。
国が認めたとあれば、後はグラトニー商会を含めた民間に委ねるとあって、やる事がないのだろう。
イオリ達の出発を見届けた次の日にはアースガイルへ帰国するという。
イオリの方と言えば、今日中に馬車の手入れを終わらせられるし、ラバン商会に旅に必要な品は注文済みで明日には届く。
後は冒険者ギルドでの買取査定を待つのみである。
王都バッカスを離れるのも時間の問題である。
「分かっている。
リルラ達も一緒に行くのだろう?
それは双方の了解を得ている。」
ハッとしてシモン・ヤティムに視線をやればワケ知り顔で頷いた。
「事は、カカオの事だからな。
ラバン商会からも人が出て来るらしい。
なんでもホワイトキャビンとはイオリ殿が関わった商会であるとか。
公共事業が目的の商会とあって王も驚いていた。
英雄は欲がないのかとね。」
どうやら、デザリアの面々はリルラ達の正体が分かっていないようだ。
何事もなかったかとのように微笑むディビットにイオリは苦笑するのだった。
「冒険者としての稼ぎで十分ですからね。
余計なお金は有効に使っていただくに限ります。
それに、俺は俺が欲しいと思う物をホワイトキャビンを通じて、多くの商会が取り扱ってくれれば欲を満たせます。」
そんなイオリにアレックスとロジャーは笑い出した。
「自分が欲しい物を人が用意してくれれば欲も満たされるか。
強欲だな。
イオリは。」
「どこに行っても変わらないんだろうな。
お前は。
どうせ、旅先でも美味いものを見つけてくるんだろ?」
イオリは肩をすくめて澄ました顔で頷いた。
「当然でしょう?」
そんなイオリに一同は笑うのだった。
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