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旅路〜ルーシュピケ〜
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アズロはルーシュピケの防衛の要であるガーディアン“ペンプティ”の一員だった。
2週間に渡る森の巡回の任務を終えて、集落に戻ると話好きの同胞達が盛り上がっていた。
アズロは容姿が獣寄りであるのが祟って、ルーシュピケ以外の国では目立つ事が多い。
同じ様な容姿の同胞達は愛玩奴隷として攫われる事が多かった。
雪が多い国で生まれたが、元々迫害をされていたアズロの両親が、息子の行く末を案じて赤子のアズロを連れてルーシュピケに逃げてきた。
獣人達の楽園で身を危険に晒される事がなく過ごしたアズロは、身体能力が高い事が認められガーディアンとして育てられる事になった。
親に守られ人族の恐ろしさを教えられた子供が、大きくなるにつれ何者にも勝る強靭な肉体を持つ男になった。
ルーシュピケの住人は国を訪れる人族に敏感だ。
それも迫害の歴史の結果である。
アズロは町ですれ違う、人族を目にして嫌悪していた。
幼き頃に教え込まれた記憶にある人族は威圧的で、恐ろしかった。
しかし、この国を訪れる人族は一様に腰が低い。
年月が経つうちにアズロが人族に対して感じる気持ちが嘲笑へと変化していったのだ。
任務から帰還したアズロの耳に噂話に花を咲かせる住人の声が聞こえた。
「人族の英雄が来るらしいぞ。」
ーーー大袈裟なんだよ。
噂を聞いたアズロは鼻で笑っていた。
「ミズガルドの貴族から、俺達の同胞を奴隷解放してくれたらしい。」
ーーー解放って、たかだか数人の話じゃないか。
「あのホワイトキャビンのリルラさん達でしょ?」
ーーー同胞達を雇ってまで、ルーシュピケで商売したいのかね。
「ホワイトキャビンの商隊をいつも楽しみにしているの!
早く来ないかしら?」
ーーー結局、人族の英雄は俺達にも頭を下げるんだ。
それから数日経って、大将に呼ばれていたホワンが身支度をしているのを見つけた。
「砦の外に行くのか?」
「そうだ。」
猿の獣人のホワンは素早い身のこなしと、隠れる技が天下一品だ。
狼の獣人であるアズロよりも戦闘力は低いが、獲物を狩ったり、森の探索に力を発揮する、同胞達も認める男だった。
「1人で大丈夫なのか?」
「ホワイトキャビンのコナーと一緒だ。」
「ホワイトキャビン・・・。
もしかして、英雄か?」
「うん。
大将に迎えに行けって言われた。」
「森を通るのも迎えが必要なのか。」
侮蔑が含んだアズロの言葉に気づいたのだろう。
ホワンは顔を上げてジッと見つめてきた。
「・・・何だよ。」
「大将もエルフの爺様も認める客人だ。
あまり、変な事言うのは良くない。」
珍しいホワンの咎めの声にアズロは面白くなかった。
「って言っても、人族だぞ。
歓迎する必要もないだろう。」
「人族でも恩人は歓迎はする。」
「・・・人族だぞ。」
「受け入れられないなら、混ざらなくても良い。
でも、大人しくした方がいい。」
迎えにきたコナーと共に立ち去るホワンに面白くない顔をしたアズロ。
そんなアズロは現在、今までに知らない感情に襲われていた。
人族と共に暮らす狼の獣人の子供。
生意気な小僧に、心を抉られる様な言葉をぶつけられた。
ーーー俺が人族と同じ目をしている?
血が沸騰するような怒りを感じた。
それでも、小さな人族の手を握る真っ黒な青年が向けるオッドアイの全てを吸い込むような青い目がアズロの何かを見据えていた。
2週間に渡る森の巡回の任務を終えて、集落に戻ると話好きの同胞達が盛り上がっていた。
アズロは容姿が獣寄りであるのが祟って、ルーシュピケ以外の国では目立つ事が多い。
同じ様な容姿の同胞達は愛玩奴隷として攫われる事が多かった。
雪が多い国で生まれたが、元々迫害をされていたアズロの両親が、息子の行く末を案じて赤子のアズロを連れてルーシュピケに逃げてきた。
獣人達の楽園で身を危険に晒される事がなく過ごしたアズロは、身体能力が高い事が認められガーディアンとして育てられる事になった。
親に守られ人族の恐ろしさを教えられた子供が、大きくなるにつれ何者にも勝る強靭な肉体を持つ男になった。
ルーシュピケの住人は国を訪れる人族に敏感だ。
それも迫害の歴史の結果である。
アズロは町ですれ違う、人族を目にして嫌悪していた。
幼き頃に教え込まれた記憶にある人族は威圧的で、恐ろしかった。
しかし、この国を訪れる人族は一様に腰が低い。
年月が経つうちにアズロが人族に対して感じる気持ちが嘲笑へと変化していったのだ。
任務から帰還したアズロの耳に噂話に花を咲かせる住人の声が聞こえた。
「人族の英雄が来るらしいぞ。」
ーーー大袈裟なんだよ。
噂を聞いたアズロは鼻で笑っていた。
「ミズガルドの貴族から、俺達の同胞を奴隷解放してくれたらしい。」
ーーー解放って、たかだか数人の話じゃないか。
「あのホワイトキャビンのリルラさん達でしょ?」
ーーー同胞達を雇ってまで、ルーシュピケで商売したいのかね。
「ホワイトキャビンの商隊をいつも楽しみにしているの!
早く来ないかしら?」
ーーー結局、人族の英雄は俺達にも頭を下げるんだ。
それから数日経って、大将に呼ばれていたホワンが身支度をしているのを見つけた。
「砦の外に行くのか?」
「そうだ。」
猿の獣人のホワンは素早い身のこなしと、隠れる技が天下一品だ。
狼の獣人であるアズロよりも戦闘力は低いが、獲物を狩ったり、森の探索に力を発揮する、同胞達も認める男だった。
「1人で大丈夫なのか?」
「ホワイトキャビンのコナーと一緒だ。」
「ホワイトキャビン・・・。
もしかして、英雄か?」
「うん。
大将に迎えに行けって言われた。」
「森を通るのも迎えが必要なのか。」
侮蔑が含んだアズロの言葉に気づいたのだろう。
ホワンは顔を上げてジッと見つめてきた。
「・・・何だよ。」
「大将もエルフの爺様も認める客人だ。
あまり、変な事言うのは良くない。」
珍しいホワンの咎めの声にアズロは面白くなかった。
「って言っても、人族だぞ。
歓迎する必要もないだろう。」
「人族でも恩人は歓迎はする。」
「・・・人族だぞ。」
「受け入れられないなら、混ざらなくても良い。
でも、大人しくした方がいい。」
迎えにきたコナーと共に立ち去るホワンに面白くない顔をしたアズロ。
そんなアズロは現在、今までに知らない感情に襲われていた。
人族と共に暮らす狼の獣人の子供。
生意気な小僧に、心を抉られる様な言葉をぶつけられた。
ーーー俺が人族と同じ目をしている?
血が沸騰するような怒りを感じた。
それでも、小さな人族の手を握る真っ黒な青年が向けるオッドアイの全てを吸い込むような青い目がアズロの何かを見据えていた。
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