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旅路〜ルーシュピケ2〜
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「あ~ぁ。
バラしちゃった。」
「いや、我慢した方だろう。
1番怒っていたのはゼンだ。」
揶揄うようなスコルにヒューゴは苦笑した。
「イオリが怒らないから、ゼンちゃんが怒るんだよ。
人を騙しちゃダメって、子供でも知ってるのに。」
アウラの背を撫でながらナギが呆れたように溜息を吐く。
『ごっ・・・ごめんなさい!
バラしちゃった。』
自分の行いに気付き、今度は大きな体を隠すように身を縮めるゼンに目撃していた一同は驚いた。
「しょうがないよ。
ゼンちゃんは悪くない。」
「うん。悪くないよ。」
何が議論されているのか分かっていないだろうに訳知り顔でゼンを諌めるパティと、幼いのに理解をした上で慰めるニナが両側からゼンを撫でた。
巨体を小さく丸め、「クゥ~ン。」と鳴くゼンに獣人やエルフ達も困惑しているようだ。
訴えかけるような潤んだ青い目で見つめられると、イオリは笑いながらゼンを抱きしめた。
「ありがとう。
代わりに怒ってくれたんだね。」
体は大きくともゼンはいつまでも甘えん坊だ。
「神獣殿や。
構わないだろうか?」
ハニエル老の穏やかな声にゼンとイオリは振り向いた。
「《純白の色を持った神獣は絶対神の使いとして、時の王をも跪かせる。》
いにしえより、誰もが知っている事だ。
つまり・・・もっと早くにバラしても誰も文句は言わないと思うのだが・・・。」
そんなハニエル老の言葉が正しいとばかりにフェンバインとムネタカが頷いた。
イオリとゼンはキョトンとして互いに見つめ合った。
『そんなの面白くない。』
そう言うとゼンはペロンとイオリの顔を舐めた。
『イオリは、特別な事を望まない。
そんなイオリだからリュオン様はイオリを気に入っているんだ。』
神獣を従魔にした者の利益は膨大な物になるだろう。
富や名声・・・例えば、王位を望めば手に入る力を持っているのだ。
それを《面白くないから。》の理由で公表しないできたイオリとゼンに聞き耳を立てていた者達は驚いていた。
「当たり前の生活を当たり前にこなす。
他に何が必要ですか?
俺は食べていければ何も望まない。
だからこそ、ルーシュピケの皆さんも俺を受け入れてくれたんでしょう?」
偉ぶるでもなく言い切ったイオリにルーシュピケの住人が静まりかえった。
バンっ!!
「気に入った!!」
フェンバインが太ももを叩き立ち上がった。
「初めて会った時から良い奴と思っていたが、思っていた以上に面白い奴だ!
俺は気に入ったぞ!
皆んなはどうだ!?」
フェンバインの声掛けに獣人達が雄叫びをあげる。
「ワォォォォォン!!」
「にゃぁぁ!」
「ガァルルルル!!」
「ホゥホゥ♪」
それに負けじとエルフ達が立ち上がった。
「我らだって。」
「“愛し子”に恩を返すぞ!」
「爺様!」
若きエルフ達の興奮にハニエル老は微笑んだ。
「生きてる内に、この目で“愛し子”と“純白の神獣”を見る事があるとはな。
我らエルフは精霊達の恩恵を受けて自然と共に生きるが運命。
その頂点に君臨する“純白のフェンリル”が認めし“神の愛し子”に我らの全てを捧げよう。
エルフ、獣人共に認めた今、ルーシュピケは“神の愛し子”であるイオリの言葉に従う。」
「「「「ウォォォォォォ!!」」」」
エルフと獣人が肩を組み喜ぶ様に子供達も大興奮だった。
「すごい!すごい!」と飛び跳ねる子供達の隣でイオリは戸惑った。
「あれ?そんなつもりないんですけど・・・。
皆んな、俺の話を聞いて・・・。」
「クククッ。
諦めろ。
みんな、お前やゼンと一緒なのが嬉しいんだ。」
ヒューゴは揶揄うようにイオリの肩をポンと叩き、ヒョイっとニナを肩車しては喜びの輪に加わりに行った。
バラしちゃった。」
「いや、我慢した方だろう。
1番怒っていたのはゼンだ。」
揶揄うようなスコルにヒューゴは苦笑した。
「イオリが怒らないから、ゼンちゃんが怒るんだよ。
人を騙しちゃダメって、子供でも知ってるのに。」
アウラの背を撫でながらナギが呆れたように溜息を吐く。
『ごっ・・・ごめんなさい!
バラしちゃった。』
自分の行いに気付き、今度は大きな体を隠すように身を縮めるゼンに目撃していた一同は驚いた。
「しょうがないよ。
ゼンちゃんは悪くない。」
「うん。悪くないよ。」
何が議論されているのか分かっていないだろうに訳知り顔でゼンを諌めるパティと、幼いのに理解をした上で慰めるニナが両側からゼンを撫でた。
巨体を小さく丸め、「クゥ~ン。」と鳴くゼンに獣人やエルフ達も困惑しているようだ。
訴えかけるような潤んだ青い目で見つめられると、イオリは笑いながらゼンを抱きしめた。
「ありがとう。
代わりに怒ってくれたんだね。」
体は大きくともゼンはいつまでも甘えん坊だ。
「神獣殿や。
構わないだろうか?」
ハニエル老の穏やかな声にゼンとイオリは振り向いた。
「《純白の色を持った神獣は絶対神の使いとして、時の王をも跪かせる。》
いにしえより、誰もが知っている事だ。
つまり・・・もっと早くにバラしても誰も文句は言わないと思うのだが・・・。」
そんなハニエル老の言葉が正しいとばかりにフェンバインとムネタカが頷いた。
イオリとゼンはキョトンとして互いに見つめ合った。
『そんなの面白くない。』
そう言うとゼンはペロンとイオリの顔を舐めた。
『イオリは、特別な事を望まない。
そんなイオリだからリュオン様はイオリを気に入っているんだ。』
神獣を従魔にした者の利益は膨大な物になるだろう。
富や名声・・・例えば、王位を望めば手に入る力を持っているのだ。
それを《面白くないから。》の理由で公表しないできたイオリとゼンに聞き耳を立てていた者達は驚いていた。
「当たり前の生活を当たり前にこなす。
他に何が必要ですか?
俺は食べていければ何も望まない。
だからこそ、ルーシュピケの皆さんも俺を受け入れてくれたんでしょう?」
偉ぶるでもなく言い切ったイオリにルーシュピケの住人が静まりかえった。
バンっ!!
「気に入った!!」
フェンバインが太ももを叩き立ち上がった。
「初めて会った時から良い奴と思っていたが、思っていた以上に面白い奴だ!
俺は気に入ったぞ!
皆んなはどうだ!?」
フェンバインの声掛けに獣人達が雄叫びをあげる。
「ワォォォォォン!!」
「にゃぁぁ!」
「ガァルルルル!!」
「ホゥホゥ♪」
それに負けじとエルフ達が立ち上がった。
「我らだって。」
「“愛し子”に恩を返すぞ!」
「爺様!」
若きエルフ達の興奮にハニエル老は微笑んだ。
「生きてる内に、この目で“愛し子”と“純白の神獣”を見る事があるとはな。
我らエルフは精霊達の恩恵を受けて自然と共に生きるが運命。
その頂点に君臨する“純白のフェンリル”が認めし“神の愛し子”に我らの全てを捧げよう。
エルフ、獣人共に認めた今、ルーシュピケは“神の愛し子”であるイオリの言葉に従う。」
「「「「ウォォォォォォ!!」」」」
エルフと獣人が肩を組み喜ぶ様に子供達も大興奮だった。
「すごい!すごい!」と飛び跳ねる子供達の隣でイオリは戸惑った。
「あれ?そんなつもりないんですけど・・・。
皆んな、俺の話を聞いて・・・。」
「クククッ。
諦めろ。
みんな、お前やゼンと一緒なのが嬉しいんだ。」
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