続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜パライソの森3〜

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ーーー吟遊詩人。

 ガレー侯爵領の子供達から聞いた吟遊詩人という言葉を受け流す事なくナギは真剣に考えていた。

「イオリがどんな強い魔獣を倒したのか。
 どんなすごい事をしたのか。
 世界に広めたお菓子や料理の事。
 1番近くで見ていたボクが世界中の人に教えたいんです。」

 学ぶ事が好きで本が好きなナギ。
 そんな彼でもイオリが尊敬すると言ったジュウゾウの物語は知らなかった。

 本に残しても読む人がいなければ、教える人がいなければ忘れ去られてしまうのだ。
 だからナギは吟遊詩人に魅力を感じたのだ。
 物語を歌にして人々に伝え続ければ誰もイオリの事を忘れない。

「イオリは嫌だろうけど、世界がイオリを忘れるなんてボクは許せない。
 それに止めたって無駄だよ。
 その時はイオリは死んじゃってるんだから。」

 ニッコリと笑い、悪びれる様子のないナギにイオリは天を仰いだ。

「あぁぁ。
 ナギが反抗期だ。」

 そうして笑顔で頭を撫でてやるとナギは嬉しそうに顔を高揚させた。

「ボクは、これからもイオリの旅にずっとついて行きます。
 家族だから。
 でも・・・。」

 ハニエル老を伺いながらモジモジとしたナギは恥ずかしそうだった。

「本当に1人になって、誰もいなくなって・・・。
 吟遊詩人として1人で旅して・・・凄く凄く疲れたら・・・。
 やっぱり、寂しくなったら。
 その時は・・ルーシュピケに来ても良いですか?」

 ナギのお願いにイオリとハニエル老はハッとした。
 2人の表情に慌てたナギは手を振った。

「あのね。
 違うんだ。
 アースガイル・・・ポーレットが大好きでポーレットにもいたいんだ。
 でも、ここにはイオリやみんなの事を話せるエルフが沢山いるから・・・。
 ボク、瞬間移動の魔法が使えるし・・・だから・・・。」

 徐々に声が小さくなっていくナギの頭を痩せこけた手が優しく撫でた。

「いつでも来るが良い。
 例え、この年寄りが死んだとしても英雄の家族をルーシュピケは迎え入れる。
 約束しよう。
 この地は君を・・・君達をいつでも待っているよ。」

 ハニエル老の言葉を聞き、ナギは満面の笑顔で頷いたのだった。

__________

「ナギが後々の事を沢山考えていたんだと初めて知りました。
 多分、スコルだってパティだって、1番小さいニナだって将来の事を考える事があるんです。
 俺は今しか見ていなかったから、考えさせられました。
 ルーシュピケを去る時もハニエル老がナギを気遣って下さって、ナギは安心した様でした。」

 自分の不甲斐なさを吐露したイオリは突如として周囲がガサガサ ザワザワと音を立て始めた事に身を固くした。
 皆が驚いたように辺りを見渡してみれば、なんと・・・アマメが体を震わせながら笑っていたのだ。
 笑うアマメに共鳴するように周りの木々がワサワサと揺れ、木の葉がパラパラと落ちてきた。

『イオリよ。
 我らからしたら、イオリも幼き子供よ。
 おそらく、エルフの男も同じように感じていたはずだ。』

「父親面して情けない事です。」

 珍しく自虐的なイオリにアマメが顔を近づけた。

『森を生きるモノ達の群れのリーダーは、何も強者ばかりではない。
 時には危険を察知して逃げる事を選ぶのも種族を守る為には必要な事だ。
 迷いや弱さは罪ではない。
 その先で、何を選択し覚悟するか。
 リーダーに求められる大きな仕事だ。』

 ナギが自らの考えて決めた事を応援する・・・。
 アマメと話して覚悟をするのは自分の方だったと改めたイオリだった。

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