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旅路 〜グランヌス〜
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トージは町屋の間をスルスルと澱みなく進んで行く。
イオリや子供達は難なくついて行くが、ここに来ても文句を言う輩が・・・。
「・・・狭い。」
「暗いしな。」
「狭いって言うか・・・。」
「ネズミにでもなったようだ。」
顔を顰める、丸々とした体型のドワーフ達に子供達が笑いを堪えるように体を震わせた。
「やめて、今、笑わせないで。」
「スコル・・・笑わないでよ。
こっちが・・・プププ。
可笑しくなってくる。」
「さっきの事思い出しちゃった。」
「ネズミって。クスクス。」
関所を抜ける前に既に一騒ぎしていたドワーフ達は照れるように黙り込んだ。
「怖いー。高いー。
泣くー。助けてぇ。」
トージと出会ってから、大門近くまで通ってきた裏道でのドワーフ達の喚きをロクが感情なく真似をした。
堪えきれない子供達の笑い声が人に聞かれやしないかと、イオリは内心ヒヤヒヤした。
川岸で合流したトージが選んだ道は《隠密が使う秘密の道》と言うだけあって、岩で蓋された目立たない洞穴だった。
覗いてみれば長く、細い暗い道が奥へ奥へと続いていた。
湿気と温度の高い細長い空洞を進んでいくと、折に触れて1人分しかない隙間が出てきたり、屈まなければ通れない穴や、足を滑らせればボコボコと沸騰した池に真っ逆さまに落ちる細道とスリル満点の道だったのだ。
当然の如く、ギャーギャーと喚いていたのはドワーフ達だった。
暑い、息苦しいから始り、窮屈だと嘆いた後に、高さや恐怖と闘いながら泣き声を上げて前進して来たのだ。
「やめいっ!」
「そこまで恥ずかしい姿じゃなかったはずだぁ。」
「もう、あの道は使わない。絶対に。」
「まだ着かないのか?ここだって、相当暗いぞ。」
ドワーフ達の文句に答える代わりに先頭を歩いていたトージが、音も立てずに建物の裏戸を開いた。
すると中からは明るい女性の声がした。
「あれ、トージさん?
どうしなさった?」
「悪いな女将さん。
通してもらうよ。」
「おやおや、難儀な事だねぇ。
上の座敷でお役人が食事をしているから静かにね。」
「いつも悪いな。」
「言いっこなしだよ。
さぁ、早く。」
トージが無言で頷くとロクが仲間達を手招きして、店の厨房に促した。
女将と呼ばれた女性にイオリが会釈をすると微笑みを返してくれた。
そこからは同じだった。
飲み屋、薬屋、旅籠屋、籠屋と店から店へとバックヤードを渡り歩いて行くトージを店主達は暖かい笑顔で迎え入れていた。
「日頃から馴染みの店達には世話になっているんです。
今のグランヌスに、このルート以上に安全な道はありません。」
トージが最後の扉を開けると、中にいた者達が待ち受けていたように一斉に頭を下げた。
「「「「おかえりさない。」」」」
「お客人を連れ帰った。
頭目に伝えてくれ。
次代様のお戻りだ。」
ここが噂の“イケダ屋”と知ったのは暫く後の事だった。
イオリや子供達は難なくついて行くが、ここに来ても文句を言う輩が・・・。
「・・・狭い。」
「暗いしな。」
「狭いって言うか・・・。」
「ネズミにでもなったようだ。」
顔を顰める、丸々とした体型のドワーフ達に子供達が笑いを堪えるように体を震わせた。
「やめて、今、笑わせないで。」
「スコル・・・笑わないでよ。
こっちが・・・プププ。
可笑しくなってくる。」
「さっきの事思い出しちゃった。」
「ネズミって。クスクス。」
関所を抜ける前に既に一騒ぎしていたドワーフ達は照れるように黙り込んだ。
「怖いー。高いー。
泣くー。助けてぇ。」
トージと出会ってから、大門近くまで通ってきた裏道でのドワーフ達の喚きをロクが感情なく真似をした。
堪えきれない子供達の笑い声が人に聞かれやしないかと、イオリは内心ヒヤヒヤした。
川岸で合流したトージが選んだ道は《隠密が使う秘密の道》と言うだけあって、岩で蓋された目立たない洞穴だった。
覗いてみれば長く、細い暗い道が奥へ奥へと続いていた。
湿気と温度の高い細長い空洞を進んでいくと、折に触れて1人分しかない隙間が出てきたり、屈まなければ通れない穴や、足を滑らせればボコボコと沸騰した池に真っ逆さまに落ちる細道とスリル満点の道だったのだ。
当然の如く、ギャーギャーと喚いていたのはドワーフ達だった。
暑い、息苦しいから始り、窮屈だと嘆いた後に、高さや恐怖と闘いながら泣き声を上げて前進して来たのだ。
「やめいっ!」
「そこまで恥ずかしい姿じゃなかったはずだぁ。」
「もう、あの道は使わない。絶対に。」
「まだ着かないのか?ここだって、相当暗いぞ。」
ドワーフ達の文句に答える代わりに先頭を歩いていたトージが、音も立てずに建物の裏戸を開いた。
すると中からは明るい女性の声がした。
「あれ、トージさん?
どうしなさった?」
「悪いな女将さん。
通してもらうよ。」
「おやおや、難儀な事だねぇ。
上の座敷でお役人が食事をしているから静かにね。」
「いつも悪いな。」
「言いっこなしだよ。
さぁ、早く。」
トージが無言で頷くとロクが仲間達を手招きして、店の厨房に促した。
女将と呼ばれた女性にイオリが会釈をすると微笑みを返してくれた。
そこからは同じだった。
飲み屋、薬屋、旅籠屋、籠屋と店から店へとバックヤードを渡り歩いて行くトージを店主達は暖かい笑顔で迎え入れていた。
「日頃から馴染みの店達には世話になっているんです。
今のグランヌスに、このルート以上に安全な道はありません。」
トージが最後の扉を開けると、中にいた者達が待ち受けていたように一斉に頭を下げた。
「「「「おかえりさない。」」」」
「お客人を連れ帰った。
頭目に伝えてくれ。
次代様のお戻りだ。」
ここが噂の“イケダ屋”と知ったのは暫く後の事だった。
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