続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜グランヌス・王宮〜

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 後宮の王妃の私室に光輝く魔法陣が現れ、目を丸くしたエルフの少年が姿を現したのは、イオリがポーレット公爵との会話を終えた時だった。 

 驚き、警戒する侍女とは違い、ソウビ王妃は楽しそうに微笑んだ。

「エルフの少年とは、可愛い客人が来たものだ。」

 知らない人・・・しかも女性ばかりに囲まれて、ナギは困った様にキョロキョロした。

「ナギ?」

 耳慣れた安心する声に、ナギは涙目になりながらイオリに抱きついた。

「イオリ!」

「ナギ、どうしたの?」

「イケダ屋の爺やがね。
 行ってこいって。
 よく分からない木の板を出してバーン!ってやったら、ここにいたんだよ。」

 ナギにしては、大雑把な説明なのは、それだけ驚いたという事だろう。

「あぁ、父が“転送の札”を使ったのだな。」

 訳知り顔のソウビ王妃にイオリは無言で問いかけた。

「緊急用の転送出来る魔道具なのだ。」

 それを聞いて、叫んだのはロクだった。

「最初から、苦労することもなかったって事じゃないッスか!
 あの、ジジイ~!」

 ソウビ王妃は眉を下げて苦笑した。

「そう言うな。
 ”転送札を1つ所有するのに蔵が潰れる。”
 なんて言葉があるくらい高価な札なのさ。
 しかも、1人しか送れないから、効率も悪い。
 だから、隠密達には裏通路を使わせているだろう?」

 グランヌスの者達は魔法が苦手だ。
 剣術や弓術、槍術などが活発で、それに付随するスキル持ちは数多いるが、魔法や魔術とは縁遠い。
 
 魔道具の多くはドワーフが作り出したり、他国で買い求めた物ばかりだ。
 質然的にレアな魔道具であればある程、高価な物となる。
 
 今回、カンスケ爺やが使った“転送札”は、正にレアと呼ばれる逸品だったのだ。

「爺様のお考えを無碍にするな。
 馬鹿ロク!」

 いつの間にやら側妃・アオイにアイアンクローを決められていたロクは苦しそうにもがいた。

「痛だだだぁぁ!分かった!
 分かったッスから。」

 見慣れた光景とばかり、ソウビ王妃は2人を放っておき、今だにイオリにしがみついていたナギを覗き込んだ。

「そんな訳だから、父がお前を此処に寄越したのには特別な理由があるはずだ。
 さぁ、教えておくれ。」

 怯えるナギであったが、イオリがニッコリ笑ったのを見て勇気が出たのか、唇を#____#噛み締めて王妃を見つめた。

「僕、瞬間移動出来るから。
 僕もイオリに着いて行けば良かったねって言ったの。
 そうしたら、自由に後宮に行けるのにって。」

 それを聞き、ソウビ王妃は笑い出した。

「ははっ!
 そんな、凄腕と出会う事になるとはな。
 それなら、父が札を手放す筈だ。
 元々は、有事の際のみに使う筈だった。
 それが、自由自在となれば価値も下がる。」

 クククっと笑う王妃を前にイオリはナギに囁いた。

「じゃあ、皆んなを呼んできてくれるかい?」

 イオリの頼みにナギはニッコリして頷き、直様に姿を消した。

 再び戻ってきた時にはヒューゴや双子、ニナに加えてカンスケ爺やが楽しそうにナギの手をにぎって現れたのだった。

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