続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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王都 〜王城・デーゾルドの行方〜

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 悲痛に涙を流していたイオリの胸に拳程の大きさの真っ赤な炎が灯った。

「「イオリっ!」」

 慌てるアレックスやロジャー達と違い、イオリは驚きながらも決して恐れる様子はない。

 イオリには直ぐに炎の正体がソルの力だと分かっていたからだ。

 優しく慈愛に満ちた癒しの炎は胸から離れ、イオリの掌の上でフヨフヨとゆれていた。

「ソル・・・力を貸してくれるの?」

 イオリは今は側にいない小さな真紅の小鳥が頷いたような気がした。
 誘われる様に炎をブラックパンサーとワイルドベアの子供に近づけた。

ヒューヒュー

 小さな体から懸命に息をする音が聞こえてくる。
 炎は目的を持って2匹を包み込み輝き出した。

 みるみる内に傷が消え、2匹の魔獣の呼吸が安定してくると、イオリは安堵の息を吐いた。

「ソルが助けてくれたんだな?」

 声に反応する様に顔を上げたイオリは、見守っていたヒューゴが優しく微笑んでいるのに気づき嬉しそうに頷いた。

「はい。
 ソルの力です。
 今も俺を助けてくれているんですね。」

 イオリは胸に手を当てると「ありがとう」と小さく呟いた。
 
 何故だか2人には小さな真紅の小鳥が満足そうに胸を張っている姿が想像できた。

「フフフ」
「ククク」

 何だか嬉しくて、笑い声が漏れる。

「大丈夫か?」

 アレックス、ロジャー、そしてポーレット公爵家騎士団の団長アイザックが近づいて来ても、その笑いは収まりそうもない。

「はい。
 大丈夫です。」

 イオリが起こした奇跡に3人は驚きながらも、先程まで表情を失っていた真っ黒な青年の微笑みに安堵した。

「何が起こったんだ?」

 アイザックの疑問にイオリは優しく自分の胸を抑えた。

「ソルが俺に力を貸してくれたんです。」

「ソル・・・あの小さなフェニックスか。
 でも、どうやって・・・。」

 戸惑うアイザックに対しイオリもこればかりは答えを持ち合わせていない。
 困った様に眉を下げたイオリに助け舟を出したのはヒューゴだった。

「イオリが眠っていた5年間。
 その間、ソルはイオリの側を離れる事はありませんでした。
 横たわるイオリの胸で眠っていた事もあります。
 もしかしたら、ソルはずっとイオリに自分の力を移していたのかもしれません。
 それなら起きてからイオリの体力の回復が早かったのも理解できます。
 ずっと、ずっとフェニックスの癒しの力が使われていたのですから。
 大怪我をしたブラックパンサーとワイルドベアの子供達を前にイオリは願いました。
 助けてほしいと。
 ソルの力は、そのイオリの願いに呼応して現れたのではないかと。」

 ヒューゴの仮説にアイザックは驚くばかりだ。

「契約者と従魔はそんな事が出来るのか・・・。」

「あくまでも推論です。
 でも、イオリですからね。
 何が起こってもおかしくありませんよ。」

 笑うヒューゴに唖然とするアイザックの隣では腕を組んで頷くアレックスとロジャーの姿があった。

「まぁ、イオリだからな。」
「うん。イオリだからね。」

 その様子を見ていたアイザックもついに納得したのか「イオリだから仕方ない」と頷いた。

 納得いかない顔をしているのはイオリばかりだった。

「いや、何で?」



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