続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

文字の大きさ
331 / 453
王城 〜予感〜

329

 アースガイル国のイルツクの地にいる守護者である聖獣オリオン。

 デザリア国にいる守護者・聖獣トルトル・ポルポル。

 パライソの森の守護者・聖獣アマメ

 グランヌス国の守護者・聖獣ラーヴァ

 そして天空の守護者・聖獣スカイヤ

 彼の地で聖獣達がイオリを待っているという。

 ーーー試練だ。

 国王アルフレッドの夢に出てきたスカイヤはそう言ったらしい。

「何の?」

 困惑するイオリにアルフレッドも困った顔をして首を横に振った。

「それは分からん。
 空の守護者と名乗った白銀のドラゴンが夢に出て来たのだぞ。
 顔面をグイグイと近づけて大きな口を開いていた。
 驚いたのなんの・・・怖かったぁぁ。」

 国王の威厳などなくアルフレッドは小さくなった。

「・・・確かに。
 それは怖いかも。」

 同意するのは少しばかり同情するヴァルトだけで、他は話を進めろと咳払いをしている。

「何の試練かは分からん。
 だが、聖獣が呼んでいるのなら行かないわけにはいかないだろう。
 世の中はアースガイルだけではなく他国でも事件が巻き起こっている。
 気にもなるだろうが、それは我等の仕事。
 イオリは聖獣の試練とやらに集中しなさい。」

 アルフレッドがそう言うと、テオルドが頷いている。

「各地を旅するのだ。
 今回騒ぎになっている輩達に遭遇する事もあるだろう。
 今のイオリ1人では対処も難しいのは分かっている。
 だから、ヒューゴ。
 道中の護衛を任せたぞ。」

「承知しました。」

 ヒューゴは胸に手を当てて頭を下げた。

「・・・旅かぁ。
 久々ですね。」

「あぁ。
 子供達もイオリと旅する事に大喜びするだろうな。
 準びを怠るなよ。」

「あぁ、俺の得意な事です。
 任せて下さい。」

 試練というのならナギのスキルで一っ飛びという訳には行かないだろう。
 いつもの通り、のんびりと小さな馬車を揺らして行けばいい。

 旅はしたかったが、皆んなに迷惑をかけられたないと足踏みしていたが周囲が理由を作ってくれる。

 イオリのワクワクが伝わるようで、皆も笑顔になっている。

「イオリ。ヒューゴ。
 魔獣の誘拐の件も人族を襲う組織の件も解決はしていません。
 道中で得た情報を小まめに送ってくれると助かります。
 今はどんな情報も欲しいところです。」

 宰相グレン・ターナーは2人の指に収まった通信の魔道具を指差した。

「はい。分かりました。
 連絡は・・・俺がします。
 多分、イオリは忘れるんで。」

 ヒューゴとテオルドに睨まれたイオリは旅に出れる喜びがすっ飛び気まずそうに顔を逸らして笑った。

「ははは。」

「お前の無事をみんなが祈っているんだ。
 少しの窮屈は我慢しなさい。」

 ニコライに肩を叩かれたイオリは大人しく頷くしかなかった。

※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。


 
 

あなたにおすすめの小説

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪

百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。 でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。 誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。 両親はひたすらに妹をスルー。 「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」 「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」 無理よ。 だって私、大公様の妻になるんだもの。 大忙しよ。

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。 十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に… 無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。 周囲は国王の命令だと我慢する日々。 だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に… 行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる… 「おぉー聖女様ぁ」 眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた… タイトル変更しました 召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です

番(つがい)と言われても愛せない

黒姫
恋愛
竜人族のつがい召喚で異世界に転移させられた2人の少女達の運命は?

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。