続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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イルツク 〜再会〜

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 ギロック伯爵邸を離れたイオリ達はダンジョンに潜る為に備品の買い足しをしながら宿へと戻った。

 宿屋“蓮の傘”は昼間よりも人の数があり、短期的に逗留中の冒険者や旅人で賑わいを見せていた。

「おう。おかえり。」

 “蓮の傘”の主人であるアランは子供達を引き連れた真っ黒な若者に笑顔を見せた。

「ただいま帰りました。
 賑わってますね。」

「この時間は大体こんなもんだ。
 飯はどうする?
 部屋に持って行ってやろうか?」

「お願いします。
 明日にはダンジョンに潜るつもりなので、宜しくお願いします。」

「おう。分かった。
 部屋で待っててくれ。」

 既にスコルが弟と妹達を連れて階段に登り始めていた。
 イオリとヒューゴは挨拶をすると、ゼンとアウラを連れて部屋に向かった。

「おい。オヤジ。
 見かけねぇ若い冒険者だな。」

 食事をしていた冒険者の1人が顎で階段の方を顎でしゃくった。

「しかも子供ばかりのパーティーじゃねぇーか。
 そんなのがダンジョンなんぞに潜って良いのか?」

 眉を顰める冒険者に“蓮の傘”の店主であるアランは笑った。

「大丈夫もなにも、あの若者2人とも高ランク冒険者さ。
 子供達も確かな腕を持ってるんだ。
 冒険者ギルドが問題ないっていうんだから大丈夫さ。」

 冒険者の男は「そうかい。」と言ったが納得していないようだった。

「冒険者の中には稀に子供に働かせて、自分は楽に依頼をこなしている悪どいものいるそうだが、あの子達は全然違うんだよ。
 “黒狼”そう言えば分かるかい?
 あの子たちはこの街を救ってくれた救世主さ。
 下手に関わると、ずっと面倒臭い連中を相手にする事になるんだからやめときな。」

 “黒狼”そう聞いて静まり返ったのは男だけじゃない。
 食事をしていた他の連中までもがアランの話に耳を傾け誰もいない階段を見つめている。

「本当に存在するのか・・・。
 それじゃ、もう1人のガタイが良いのが“イルミナーレ”かい?」

 今だにヒューゴ本人が聞けば恥ずかしくて悶絶する二つ名にアランは頷いた。

「あぁ。」
 
 短い返事で頷いたアランに客達は「おぉぉ。」と驚きの声を上げる。

「ほらほら。
 お前さん達も仕事で疲れてるんだろう?
 さっさと飯食って休みな。
 おい。あの子達の飯の準備は?」

 アランはさっさと話を切り上げると従業員と共にイオリ達の部屋に食事を運んだ。

 はしゃぐ子供達とゼンとアウラを宥めながらニコニコと笑いながら食事をするイオリを見て、アランは本当に“エルフの里の戦士”を仕留めたのかと、改めて信じられない事実に微笑む。

 屈強の冒険者は幾人も見てきた。
 若く将来有望な冒険者が途中で道を挫折していく姿も沢山見た。

 だからこそ、この目の前の穏やかな青年には変わりなくいて欲しいと願うのだった。

 
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