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イルツク 〜再会〜
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「英雄は沢山いるか・・・。」
ハーブの抽出作業をしていたイオリの後ろで焚き火に薪を焚べながらヒューゴが笑った。
ギロック伯爵家の子息リーベンは噂の英雄“黒狼”に自分の父親も英雄だと言われて嬉しそうに頷いていた。
「だって、英雄なんて沢山いた方がお得でしょ。
誰かの助けになる事をした人は皆んな英雄で良いじゃないですか。
だから、ヒューゴさんも英雄ですよ。」
「そう聞くと、英雄1人の重荷を背負いたくないから周囲に押し付けてるように聞こえるがな。」
クククッと笑うヒューゴにイオリはニコニコして答える事はなかった。
「きゃはははっ!!」
ギロック伯爵邸の庭を走り回る子供達の笑い声が聞こえる。
スコルやパティ、ナギやニナに混ざってリーベン少年がゼンとアウラと追いかけっこをしていた。
「母親が体調不良の上に父親が仕事に掛かりきりになってしまうので、最近は我慢を強いてしまっているんだ。」
リーベン少年の父親でるディエゴ・ギロック騎士団長がイオリ達の所まで来ると、笑顔で走り回る息子に優しい笑顔を向けた。
「使用人達が面倒を見てくれているが・・・。」
ーーー寂しい思いをさせている。
そう眉を下げるギロック騎士団長の顔は騎士ではなく父親の顔だった。
「そうは言っても、もう1人産まれれば、そんな事も言ってられなくなりますよ。
リーベン様も弟か妹が出来て大忙しになるはずです。」
ニコニコするヒューゴにギロック騎士団長は目を丸くした。
「何たって弟や妹ってのは大変なんです。
注視していたはずなのに、瞬きしたらいなくなってるし、気が付けば危ない魔獣に突っ込んでいってしまうし・・・。
でも、一緒にクッキーを分け合って食べたり、今みたいに楽しそうだ知れば自然と笑顔にもなれる。
リーベン様はこれから毎日それを味わうんです。
大忙しですよ。」
「そうか・・・そうだな。
兄になるのは忙しいな。」
「えぇ。
今の寂しさなんて大きな幸せで掻き消えてしまいますよ。
それでも寂しそうにしていたら、少しの時間でいい。
抱きしめてあげて下さい。
そして沢山褒めてやって下さい。
兄はそれだけで強くなります。」
兄であるヒューゴの言葉にギロック騎士団長は何度も頷いた。
「あぁ。分かった。」
ニコニコと話を聞いていたイオリがギロック騎士団長に小瓶を渡した。
「これはオレンジをベースにした柑橘系のアロマオイルです。
これなら妊娠中の夫人でも使えます。
使用方法は様々ありますが、ハンカチなどの布に少し垂らして香りで気分を誤魔化すのが良いと思います。」
「ふむ。これが・・・。」
凝視するギロック騎士団長にイオリは注意点も忘れなかった。
「ハーブは基本的に体に良い物が多いですが、中には妊婦には良くない物もあります。
無闇に利用する事はオススメしません。
例えば、お菓子や料理に使われるシナモンやローズマリーも妊婦には害になります。
こちらに口にしない方がいいハーブをまとめておきました。
どんなに体に良いものでも、摂取の仕方によっては良くない物になってしまう事もある。
どうぞ、心穏やかに出産の準備が整いますように。」
微笑むイオリに、何処か不安そうだったギロック伯爵にも笑顔が見えるのだった。
ハーブの抽出作業をしていたイオリの後ろで焚き火に薪を焚べながらヒューゴが笑った。
ギロック伯爵家の子息リーベンは噂の英雄“黒狼”に自分の父親も英雄だと言われて嬉しそうに頷いていた。
「だって、英雄なんて沢山いた方がお得でしょ。
誰かの助けになる事をした人は皆んな英雄で良いじゃないですか。
だから、ヒューゴさんも英雄ですよ。」
「そう聞くと、英雄1人の重荷を背負いたくないから周囲に押し付けてるように聞こえるがな。」
クククッと笑うヒューゴにイオリはニコニコして答える事はなかった。
「きゃはははっ!!」
ギロック伯爵邸の庭を走り回る子供達の笑い声が聞こえる。
スコルやパティ、ナギやニナに混ざってリーベン少年がゼンとアウラと追いかけっこをしていた。
「母親が体調不良の上に父親が仕事に掛かりきりになってしまうので、最近は我慢を強いてしまっているんだ。」
リーベン少年の父親でるディエゴ・ギロック騎士団長がイオリ達の所まで来ると、笑顔で走り回る息子に優しい笑顔を向けた。
「使用人達が面倒を見てくれているが・・・。」
ーーー寂しい思いをさせている。
そう眉を下げるギロック騎士団長の顔は騎士ではなく父親の顔だった。
「そうは言っても、もう1人産まれれば、そんな事も言ってられなくなりますよ。
リーベン様も弟か妹が出来て大忙しになるはずです。」
ニコニコするヒューゴにギロック騎士団長は目を丸くした。
「何たって弟や妹ってのは大変なんです。
注視していたはずなのに、瞬きしたらいなくなってるし、気が付けば危ない魔獣に突っ込んでいってしまうし・・・。
でも、一緒にクッキーを分け合って食べたり、今みたいに楽しそうだ知れば自然と笑顔にもなれる。
リーベン様はこれから毎日それを味わうんです。
大忙しですよ。」
「そうか・・・そうだな。
兄になるのは忙しいな。」
「えぇ。
今の寂しさなんて大きな幸せで掻き消えてしまいますよ。
それでも寂しそうにしていたら、少しの時間でいい。
抱きしめてあげて下さい。
そして沢山褒めてやって下さい。
兄はそれだけで強くなります。」
兄であるヒューゴの言葉にギロック騎士団長は何度も頷いた。
「あぁ。分かった。」
ニコニコと話を聞いていたイオリがギロック騎士団長に小瓶を渡した。
「これはオレンジをベースにした柑橘系のアロマオイルです。
これなら妊娠中の夫人でも使えます。
使用方法は様々ありますが、ハンカチなどの布に少し垂らして香りで気分を誤魔化すのが良いと思います。」
「ふむ。これが・・・。」
凝視するギロック騎士団長にイオリは注意点も忘れなかった。
「ハーブは基本的に体に良い物が多いですが、中には妊婦には良くない物もあります。
無闇に利用する事はオススメしません。
例えば、お菓子や料理に使われるシナモンやローズマリーも妊婦には害になります。
こちらに口にしない方がいいハーブをまとめておきました。
どんなに体に良いものでも、摂取の仕方によっては良くない物になってしまう事もある。
どうぞ、心穏やかに出産の準備が整いますように。」
微笑むイオリに、何処か不安そうだったギロック伯爵にも笑顔が見えるのだった。
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