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深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜
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『嘗ての力の一部を取り戻す助力をしよう。
それが、ここまで辿り着いた報酬だ。』
お腹の底に響く低い声が、そう言った。
「嘗ての力の一部を・・・。」
「取り戻す?」
オリオンの言葉にヒューゴやスコルが反応し一歩二歩と前に出る中、イオリはポカンとした顔でオリオンを見上げていた。
「報酬?
って何の?」
「気になったのはそっちの方かよ!」
思わず声を荒げたヒューゴにもイオリはポカンとした顔を向けた。
「えっ?」
そんな様子を見たオリオンは、これまでと違い本格的に笑い出した。
岩の様な体をゴツゴツとぶつかり合わせ、体を揺らし笑うオリオン。
それはオリオンの体に纏わりついていたパティとニナが驚いて離れる程だった。
『フォッフォフォフォ!
これは愉快だ。
絶対神リュオンより授かっておった奇異な力はお前にとって特別なものではなかったのか?』
オリオンが笑えば笑う程に地面が揺れて洞窟が崩れやしないかと心なしか心配になる。
「そんな事はないよ。
リュオン様がくれた力は元々俺には過ぎたものだったし、手放した今も望んで良いものだとも思っていなかったんだ。」
イオリが困ったように頭を掻けば、大きな亀の守護者は優しく微笑んだ。
『誠実なる善人の稀れ人よ。
望む事は悪ではない。
むしろ、生きる上で大切な刺激であり指針でもある。
その全てを要らぬと言うのならば、それは屍人か神の申す事だ。』
「それは・・・。」
『うむ。
お主は決して無欲というわけでもない。
己の領分を知る欲深くない人間というだけだ。
だからこそ、だからこそだ。
絶対神が与えた力は自分の手で得たものではないと考えるお主に我らは試練を与えた。
己の手で力を得る事が出来るのかどうか・・・。
そしてお主は我の試練を乗り越えてみせた。
力なきお主が守備力強い魔獣をいなす姿見ていたぞ。
見事であった。』
イオリにとって絶対神リュオンから与えられた力を手放すと決めた時、手放すと言うよりもお返しするという感覚が強かった。
未練がなかった訳じゃない。
目覚めてからの今までの間にだって、使い勝手が悪い体と悔しく感じる事だってあった。
それでも冒険者として仕掛けに工夫するのも楽しかったし、以前よりも頭を使って過ごす日々も愛おしかった。
何よりも家族や仲間達が以前と変わらずイオリと共に生きてくれる日々に満足していたと言っていい。
オリオンは己の手で力を得る事が出来るのかどうか試練を与えたと言った。
イオリは瞳を閉じて溜息を吐いた。
「今のまま立ち止まってはいけない・・・そう言う事だね?」
再び瞳を開けたイオリが目にしたのは、満足そうに微笑む大きな亀の守護者オリオンの姿だった。
※※※※※ ※※※※※
いつも応援してくださる皆様へ
『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難う御座います。
書籍化第5弾のご報告をさせて頂きます。
2026年2月初旬刊行予定となっております。
今回も表紙・挿絵はTAPI岡先生が担当して下さいました。
可愛く元気な子供達を愛でて下さいませ。
引き続き、新しい情報をお待ち下さい。
よろしくお願いします。
ぽん
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