続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜

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 “深淵のダンジョン”から戻ったイオリ達は早々にイルツクの街を出ようとした事を怒られながら首根っこを掴まれて冒険者ギルドに引き摺られて行った。

 イルツクの領主アナスタシア・ギロックとの面会は翌日にセッティングされ、この日はギルドでの報告だ。

 ラスボスの部屋にいた大猪の魔獣の事を聞いたギルマスはダンジョンを攻略したにも関わらず、ケロッとしているイオリ達に感嘆するばかりだった。

 冒険者ギルドとしても、ダンジョンの情報は貴重で最深部に潜る事の出来る冒険者は数が少ない。

 貴重な情報提供に報酬を払うと金額を提示すれば、案の定「要らない」というイオリにヒューゴとギルマスが待ったをかける。

「冒険者の権利だ。他の冒険者に示しがつかない。」

 そう言われてしまえばイオリとて受け取らずにはいられない。
 渋々といった顔で提示された金額を受け取ったイオリは子供達を連れて宿屋に帰って行った。

 冒険者ギルドも街中でも“深淵のダンジョン”の攻略者の話で持ちきりだ。

 人を相手にするよりも魔獣を相手にする方が楽というイオリにとって、これ以上の騒ぎは御免だった。

 もう少しギルマスと話していくと言ったヒューゴを置いて足早にギルドを後にして行ってしまった。

「ギルマス。すみません。」

 思い通りにならないイオリの行動にヒューゴが謝ると、ギルマス・ルゴーは苦笑した。

「問題ないさ。
 アレはSランクの称号を得ている者の中では大人しい部類だ。
 面倒な事はギルドの仕事さ。 
 気にしないでくれ。」

 もっと面倒な冒険者など山ほどいるさ。
 笑うギルマスにヒューゴも微笑んだ。

「それで?
 イオリの様子が少し変わった様だが?」

 鋭いギルマスにヒューゴは口元を緩ませた。

「少し・・・少しだけ、昔の体の使い方を思い出した。
 そんな感じです。」

 イオリが深い眠りから目覚めてから以前の様な働きが出来ないというのは冒険者ギルドの上層部には知らされていた情報だった。

 最速でSランクまで上り詰めた若き冒険者が自分を犠牲にして世界を救ったと聞いた時はルゴーとて悔しい思いをしたものだった。

 だからこそ、ヒューゴの言葉はルゴーにとって喜ばしいものだった。

「そうか・・・そうか。」

 嬉しそうに微笑む白髪頭のギルマスの目に薄らと光るものが見えたヒューゴも優しく微笑んだ。

「イオリは、まだまだこれからですよ。」

 一時は引退という噂も流れた“黒狼”の復活への一歩に側にいるヒューゴも嬉しいのだろう。

「ギロック伯爵には明日報告に行きます。
 これからポーレット公爵や王城にも報告を入れないと。」

 元気よく立ち上がったヒューゴにギルマス・ルゴーは頷いた。

「公爵も喜ばれる事だろう。
 それにしても、本人ではなくお前が報告するのか?」

 首を傾げるギルマスにヒューゴはニヤリとした。

「あいつ連絡不精なんです。
 まったく。
 怒られるの分かってるのにね。
 俺は怒られたくないんで連絡ぐらいはしとく偉い奴なんです。」

 手をヒラヒラとさせて出て行くヒューゴの背をギルマスは笑いながら送り出すのだった。


※※※※※ ※※※※※ 

 いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂いて有難うございます。

 書籍化第5弾につきまして新たなご報告をさせて頂きます。
 
 《2026年2月9日(月)》に各書店に発送されます。
 書店や地域によって数日後ろに倒れます。
 
 それに伴い、2月9日(月)よりアルファポリス様に投稿している[302話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。
 ご了承下さい。

 応援下さる皆様に感謝申し上げます。
 是非とも書籍版も楽しんで頂けますと幸いです。

 今回も表紙・挿絵はTAPI岡先生が担当して下さいました。
 港街を楽しむ元気な子供達を是非御堪能下さいませ。

 よろしくお願い致します。

 ぽん

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