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深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜
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「おかえりなさい!」
執務机から離れアナスタシア・ギロック伯爵が出迎えてくれるとイオリ達は笑顔で挨拶をした。
「ただいま帰りました。」
「「「「ただいま!」」」」
今まで“深淵のダンジョン”に入って1ヶ月だと聞かされても実感なかったイオリ達であったが、以前と比べお腹が大きくなっているアナスタシアの姿を見て時が経っていると感じる事ができた。
「赤ちゃんは順調ですか?」
微笑むイオリにアナスタシアはコクンと頷くと愛おしそうにお腹を撫でた。
「えぇ、問題ありません。
つわりも終わり、体調も安定してきたので必要最低限の執務をしているんです。」
アナスタシアがソファーに座るように勧めると、執事や侍女達が客のおもてなしを始めた。
「母さま。」
リーベン少年が走り寄ると、アナスタシアは笑顔で迎え入れた。
「リーベンもお迎えに行っていたのですね?」
「はい。
おむかえしました。」
以前訪れた時よりもアナスタシアに余裕が生まれたのか、母子の会話は実に穏やかなものだった。
「それではダンジョンのご報告をしましょう。」
香り立つ紅茶で喉を潤すとイオリはイルツクの領主と騎士団長に報告した。
2人はダンジョンの魔獣を逆に罠に掛けたり、セーフティーゾーンの食事の話に大いに笑い、最終部屋にいた大猪の魔獣の登場には驚き目を見開いていた。
「と、まぁあここまでが冒険者ギルドでも報告した内容です。」
ニコニコとするイオリにアナスタシアとディエゴのギロック伯爵夫婦は大きく溜息を吐いた。
「イオリさんなら最終の部屋まで到達すると信じていましたが、やはり話に聞くと驚く話ばかりですね。」
「大猪の魔獣か・・・近年では報告にも上がっていない相手だ。
よくぞ無事に戻った。」
両親の難しい顔の理由も分からずのリーベン少年であったが、一緒にいるのが嬉しいのか母と父の間で微笑んでいる。
「それで、最終部屋の攻略が終わるったところで帰還の魔法陣とは別に扉が現れまして、中に入るとオリオンがい待っていたんです。」
守護者オリオンの名の登場に2人は息を飲んだ。
「それは・・・お元気でしたか?」
何百・何千・何万の時代を生きているかも分からぬ守護者相手に「お元気でしたか」としか言えない自分に恥いるアナスタシアであったが、他にセリフが出てこなかったのだから仕方ない。
そんなアナスタシアを馬鹿にするでもなく微笑むイオリの代わりに子供達が声を上げた。
「すっごい元気だった!」
「大きな姿は変わらずでイオリが訪れたのが嬉しそうでした。」
「ポップコーンも美味しいって言ってくれました。」
「大きなサンドイッチも食べてたよねぇー。」
子供達の楽しそうな様子にアナスタシアは「そう。」と嬉しそうに微笑んだ。
長年、知られていなかった守護者の存在は今も街の人には秘匿されている。
自分の愛する地に根付く守護者という存在はアナスタシアにとって絶対神リュオンと同じく敬愛対象なのだろう。
会う事が叶わなくとも、元気でいると聞けば嬉しいものだ。
イオリはオリオンが住まう地の領主がアナスタシアの様に優しい人であって良かったと思わずにはいられなかった。
※※※※※ ※※※※※
いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。
『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の書籍化第5弾についてお知らせさせて頂きます。
いよいよ本日、2026年2月9日(月)にて各書店に発送されます。
ただし書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
それに伴いましてアルファポリス様に投稿している『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の[302話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。ご了承下さい。
海ある港街を楽しむイオリ達を是非ご覧下さい。
引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』、その続編とお楽しみ下さい。
宜しくお願い致します。
ぽん
執務机から離れアナスタシア・ギロック伯爵が出迎えてくれるとイオリ達は笑顔で挨拶をした。
「ただいま帰りました。」
「「「「ただいま!」」」」
今まで“深淵のダンジョン”に入って1ヶ月だと聞かされても実感なかったイオリ達であったが、以前と比べお腹が大きくなっているアナスタシアの姿を見て時が経っていると感じる事ができた。
「赤ちゃんは順調ですか?」
微笑むイオリにアナスタシアはコクンと頷くと愛おしそうにお腹を撫でた。
「えぇ、問題ありません。
つわりも終わり、体調も安定してきたので必要最低限の執務をしているんです。」
アナスタシアがソファーに座るように勧めると、執事や侍女達が客のおもてなしを始めた。
「母さま。」
リーベン少年が走り寄ると、アナスタシアは笑顔で迎え入れた。
「リーベンもお迎えに行っていたのですね?」
「はい。
おむかえしました。」
以前訪れた時よりもアナスタシアに余裕が生まれたのか、母子の会話は実に穏やかなものだった。
「それではダンジョンのご報告をしましょう。」
香り立つ紅茶で喉を潤すとイオリはイルツクの領主と騎士団長に報告した。
2人はダンジョンの魔獣を逆に罠に掛けたり、セーフティーゾーンの食事の話に大いに笑い、最終部屋にいた大猪の魔獣の登場には驚き目を見開いていた。
「と、まぁあここまでが冒険者ギルドでも報告した内容です。」
ニコニコとするイオリにアナスタシアとディエゴのギロック伯爵夫婦は大きく溜息を吐いた。
「イオリさんなら最終の部屋まで到達すると信じていましたが、やはり話に聞くと驚く話ばかりですね。」
「大猪の魔獣か・・・近年では報告にも上がっていない相手だ。
よくぞ無事に戻った。」
両親の難しい顔の理由も分からずのリーベン少年であったが、一緒にいるのが嬉しいのか母と父の間で微笑んでいる。
「それで、最終部屋の攻略が終わるったところで帰還の魔法陣とは別に扉が現れまして、中に入るとオリオンがい待っていたんです。」
守護者オリオンの名の登場に2人は息を飲んだ。
「それは・・・お元気でしたか?」
何百・何千・何万の時代を生きているかも分からぬ守護者相手に「お元気でしたか」としか言えない自分に恥いるアナスタシアであったが、他にセリフが出てこなかったのだから仕方ない。
そんなアナスタシアを馬鹿にするでもなく微笑むイオリの代わりに子供達が声を上げた。
「すっごい元気だった!」
「大きな姿は変わらずでイオリが訪れたのが嬉しそうでした。」
「ポップコーンも美味しいって言ってくれました。」
「大きなサンドイッチも食べてたよねぇー。」
子供達の楽しそうな様子にアナスタシアは「そう。」と嬉しそうに微笑んだ。
長年、知られていなかった守護者の存在は今も街の人には秘匿されている。
自分の愛する地に根付く守護者という存在はアナスタシアにとって絶対神リュオンと同じく敬愛対象なのだろう。
会う事が叶わなくとも、元気でいると聞けば嬉しいものだ。
イオリはオリオンが住まう地の領主がアナスタシアの様に優しい人であって良かったと思わずにはいられなかった。
※※※※※ ※※※※※
いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。
『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の書籍化第5弾についてお知らせさせて頂きます。
いよいよ本日、2026年2月9日(月)にて各書店に発送されます。
ただし書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
それに伴いましてアルファポリス様に投稿している『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の[302話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。ご了承下さい。
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引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』、その続編とお楽しみ下さい。
宜しくお願い致します。
ぽん
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