続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

文字の大きさ
401 / 453
深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜

399

 砂漠の国・デザリアに向かい彼の地の守護者である双子の神鳥に会う。

 目的持ったイオリの出発は慌ただしかった。

 何故なら・・・。

「おい!!
 解体と鑑定は終わってるのか!?
 換金の計算して、間違わずに提示しろよ!」

「こっちはギルドが買い取ります。
 こちらはギロック伯爵が購入されるそうです。」

「こちらの宝石は大方買取をさせて頂きました。
 こっちは売るのを拒否されていた魔石です。
 鑑定書も付けていますので道中にお読み下さい。」

 そう、冒険者ギルドは大忙しだった。

 イオリが持ち帰ったのは決して自分の身体強化と精神安定のスキルばかりではない。

 1ヶ月ダンジョンを探索して得た討伐した魔獣や宝石などといった褒美が溜まりに溜まっていたのだ。

 解体や鑑定を依頼したのは昨日の事で、今日には街を出発するというのだからギルマス・ルゴーを筆頭に冒険者ギルドは大慌てだ。

「おいっ!イオリ!」

 ギルマスに呼ばれたイオリが向かえば、解体場で職人達が疲弊しながらも真剣な顔で一方を見つめていた。
 そこには・・・。

「あっ。」

 丸っとそっくりと大猪の魔獣が解体場を占領していた。

 イオリ達がオリオンのいた場所からダンジョンの入り口に帰って来た時に、一緒になって現れた大猪の魔獣の姿に観衆は驚きの声を上げた。
 流石に討伐後と分かって、落ち着きを見せたが今度は討伐しいたのが若い冒険者と子供達と知って再び騒ぎになったそうだ。

 イオリ達はギルマスに首根っこを掴まれて引っ張られて行ったが、あとの処理を行ったギルドの職員が討伐された大猪の魔獣を運んでくれていたのだ。

「悪いがな。
 この大猪の魔獣だが解体が間に合ってねぇ。
 数日待ってもらえたら良いんだが、そんな事も言ってられないんだろう?
 それなら、先に報酬を渡したい。
 各部位の売却の上乗せは次の街の冒険者ギルドに肩代わりを頼むとするよ。」

「でも、俺達この大猪の魔獣を拘束はしても討伐してないんですよね。
 報酬でもらって良いですかね?」

「通常の魔獣だって拘束されても報酬が出るぞ。
 お前はダンジョン攻略者だ。
 ダンジョンからの褒美と思えば良い。」
 
 ルゴーの助言にイオリは無理やり納得し頷いた。

「それじゃ、有り難く。
 そうだ。
 次に向かうのはダグスクですよ。」

「あぁ、分かってる・
 ただな。
 このデカい猪の中にある核が問題なんだ。
 こんな立派な魔獣の核を1つのギルドだけで値段を付けるのは難しい。
 ギルドの会議にあげるか、競売にかけるのが筋なんだが、めっぽう時間がかかっちまう。」

「それは面倒だな。」

 ギルマスの話にヒューゴが唸ると、イオリが手をポンっと叩いた。

「じゃあ、その核は国王様に献上します。
 お土産ですって伝えて下さい。」

「おぃおぃおぃ・・・。」

 イオリの思い付きにギルマスは顔を引き攣らせた。

「お前、面倒臭いからって国王陛下に丸投げか?
 だが、良い考えだな。」

「おぃおぃ待てって・・・。」

 ヒューゴがイオリの案に乗るとギルマスは慌て出した。

「面倒臭いって言ったのはヒューゴさんですよ。
 良い案でしょう? 
 値段がつけられないならアルさんにあげちゃえば問題ないですよね?」

「お前ら、ちょっと待てぇぇぇぇ!!」

 ギルマス・ルゴーの叫び声が上がったイルツクの冒険者ギルドであるが、その数週間後に大猪の魔獣の核は王都マテオールに運ばれる事になる。

 片田舎の観光地の冒険者ギルドのギルマスと自負していたルゴーは王都ギルド本部と王城との連絡の荒らしに疲弊するのだが、それはまた別の時に語るとしよう。

※※※※※ ※※※※※

 いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。

 『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の書籍化第5弾が各書店に発送されております。
 ただし書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
 
 それに伴いましてアルファポリス様に投稿している『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の[302話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。ご了承下さい。

 引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』、その続編とお楽しみ下さい。
 そちらの方でショートストーリーも投稿しています。是非、ご覧ください。
 宜しくお願い致します。

 ぽん



あなたにおすすめの小説

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。 十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に… 無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。 周囲は国王の命令だと我慢する日々。 だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に… 行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる… 「おぉー聖女様ぁ」 眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた… タイトル変更しました 召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!

翠月 瑠々奈
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。 侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。 そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。 私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。 この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。 それでは次の結婚は望めない。 その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。

番(つがい)と言われても愛せない

黒姫
恋愛
竜人族のつがい召喚で異世界に転移させられた2人の少女達の運命は?

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?