続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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深淵のダンジョン 〜オリオンの元へ〜

400 〜記念〜 黒の英雄譚・剣豪の章②

 それは不撓な魂であった。

 建国の英雄を導き、弱き者達にも己の足で立ち生きる意味を与えた男・ジュウゾウ。

 この男のたわむ事ない強き心は先の記しで知られるところであろう。
 
 彼の生きた入り江は今のダグスク領であると考えられている。
 ダグスク侯爵家に近年ジュウゾウについて書かれた数少ない記述が発見された。

 初代王マテオ・アースガイルと共に建国の礎を築き、第一線を退いたとされるジュウゾウ。
 
 入り江に帰ってきたジュウゾウを迎え入れた住人達は、次は自分達を導いてくれると思っていた。
 今で言うところの領主という立場のことだろう。

 しかし、ジュウゾウはその期待には頑なに応えなかった。

 自分が不在の間に入り江の集落を守ってきた者達がいる。
 その出来上がった人間関係や組織図に自分は不要である。
 一住人として入り江の平和を守る一助になろうと・・・。

 住人達は受け入れた。
 長きに渡り、辛き苦しい戦いに身を投じていた男に安寧を齎すのが自分達が返せる恩でろう。

 そうしてジュウゾウは入り江の集落の住人の1人として残りの人生を生きたのだった。

 ダグスク侯爵家に残された書簡の中で初代国王マテオ・アースガイルから送られたものがあった。
 それは無骨で無口であると考えられるジュウゾウが集落の子供達に悪戯を仕掛けられたと送った手紙に対する返信であった。

 王城に残されているジュウゾウからの手紙には、己に挑み掛かってくる子供達に「あっと言わせたら願いを1つ叶えよう」と約束したジュウゾウに子供達は桶に入れた海水を不意打ちで掛けてきたそうだ。
 それは流石に避けたジュウゾウであったが、続けて大量の船虫が降ってきたのには閉口したと書かれている。

 その手紙を読んだマテオ・アースガイルからの返信の書簡には大いに笑ったと書かれており、入り江の集落で楽しく暮らしている友人に安堵している様子も窺えた。

 ちなみに、ジュウゾウに「あっ!」と言わせた子供達の願いとは直接に剣術を習う事であったらしく、ジュウゾウの剣の指南をしている大人達とは別に子供達の剣術の授業を始めたと手紙には記されていた。

 ジュウゾウが入り江の集落に残したものは多くある。
 
 中でも逞しく生きるという点においては、どの地にも負けない精神が受け継がれているのだろう。

《黒の英雄譚・剣豪の章一文より》


※※※※※ ※※※※※

 いつも『続々・拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』をご覧頂きまして有難うございます。

 『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の書籍化第5弾が各書店に発送されております。
 ただし書店や地域によって数日後ろに倒れる事があります。
 
 それに伴いましてアルファポリス様に投稿している『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』の[302話]までを引き下げ、レンタル版との差し替えをさせて頂きます。ご了承下さい。

 引き続き『拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~』、その続編とお楽しみ下さい。
 そちらの方でショートストーリーも投稿しています。是非、ご覧ください。
 宜しくお願い致します。

 ぽん



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