続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜ダグスクへ〜

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「凄い・・・お肉の塊だ。」

 パティが抑えきれない唾を飲み込んだ。

 基本的にイオリの手にかかれば肉も何かしらの料理へと変貌し、皆も見た事のない味覚に顔を蕩けさせる事が多い。

 しかし、今日はシンプルに“肉を焼く!”という言葉を掲げたイオリである。

 肉には米!

 まさにイオリの故郷の味に染まったスコルが真剣な顔で米を炊いている側でイオリが大きな包丁で肉の準備を始めていた。

「お肉は厚めに・・・スジがあれば切って。
 塩こしょうは焼く直前にっと。」

 炭の準備が整ったのを確認したイオリは塩コショウをふり炭火の網にのせていく。

 小さくジュッと音を立てた肉を見たパティは目を輝かせる。

「ずっと見ていられる・・・。」

「フフフ。
 炭火にはさ、焚き火の直火とかフライパンで焼くのとは違って、また一味違うんだよね。」

「何が違うの?」

 涎を飲み込むパティの隣でナギが首を傾げた。

「肉の表面をカリッと焼いて、中に肉汁を閉じ込めるから柔らかく仕上がるよ。
 肉から滴り落ちた肉汁が炭に当たって煙が出ると、その煙が肉に纏わりついて香ばしい香りが食欲を掻き立てるんだ。」

「へー。」

 感心しているナギと、なんでもいいから早く食べたいパティの両極端の様子にイオリも微笑みが止まらない。

「野菜だって炭の力ですっごく美味しくなるんだよ。
 色んなスパイスを使ったソースも用意しているから、もう少し待ってて。」

「分かった。
 パティ、行こう。」

「あーん。お肉ぅ。」

 イオリに待っていろと言われたナギはパティを引っ張ってテーブルに向かうと小腹を満たせるスティック野菜を食べさせ始めた。

 そこに精霊とおしゃべりをしていたニナが戻ってきた。

「イオリ。
 精霊さんにクッキーあげていい?」

「良いけど、ニナのクッキーがなくなっちゃうんじゃない?
 ほら、こっちを渡したら良いよ。
 ナッツやベリーの入ったクッキーだよ。」

 斜め掛け鞄から一袋取り出すイオリにニナは嬉しそうに飛び上がった。

「ありがとう!
 ニナのクッキー。
 あと2枚しかなくなってたの。」

「イルツクを出る前に“蓮の傘”でキッチン借りて焼いてきたから沢山あるよ。
 あとで補充しとこうね。」

「うん!
 精霊さんにあげてくるね。」

 片手に杖を、片手にクッキーの袋を持ってトコトコと走っていくニナにイオリは微笑む。
 アウラに視線をやれば、「分かってる」という様に小さな影の後ろをついて行った。

 自然の森の中での料理とは1番イオリが好きな環境だ。

 大きく深呼吸すれば、草木の匂いに混ざって炭火で焼かれた肉の匂いが刺激する。

「さて、今日も美味しく出来るかな?」

 イオリは腰に手を当てて肉をひっくり返しすと嬉しそうに微笑んだ。

 今夜も森の木々の上には美しい月が輝き、彼らの旅を見守っているかの様だった。

※※※※※ ※※※※※

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