続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜ダグスクへ〜

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「ぅわぁぁぁん!
 ソルちゃんがいないぃぃ。」

 ソルと再会した次の日の朝、森にニナの泣き声が響き渡った。

 昨夜、楽しい一時を過ごしたイオリ達であるが途中眠ってしまったニナにとって消化不良といったところの様だ。

 宥めるヒューゴやスコルに甘える末っ子は絶賛不機嫌な様子で珍しくグズっている。

「ソルの元気な姿見れて良かったよね?
 また会えないって訳じゃないから、次を楽しみにしよう。」

 あっけらかんと笑うパティにニナは目を擦って頷く。

「うん。次は絶対に寝ないもん。」

 決意するニナであったが、周囲の人間は『絶対には無理だよなぁ』と思うが声には出さずにいた。

 どうやら、楠の木に住まう精霊もニナの泣き声に驚いているらしい。
 自分達の姿が見えて会話も出来る少女に対する庇護感は強いようで、ニナの周囲でオロオロしているようだ。
 
 想像すると微笑ましく、イオリはクスクスと笑った。

「さぁ、朝ごはんにしよう。
 今日はニナも大好きなホットサンドだよ。
 昨日の残りのお肉を刻んでチーズも入れちゃいました。
 食べた人~。」

 フライパンをひっくり返しながらイオリが声を掛けると子供達が元気よく手を挙げた。

「「「「はーい!!」」」」

「それじゃ、身支度整えておいで。
 今日もダグスクへ向かう為に先を急ぐよ。」

 クタクタに煮た野菜スープとお肉が挟まったホットサンドは大好評だった。

 さっきまで泣いていたニナにも笑顔が戻り、賑やかな食卓だ。

「森の中を馬車で進むのは難しくないか?」

「そうですね。
 馬車を置いていく訳にはいかないから、一度森を出る道を探して迂回しましょうか?」

 相談するヒューゴとイオリの会話を聞いていたニナな兄の腕を引っ張った。

「楠の木の精霊さんが森中に声を掛けてくれるって。
 その小さな馬車なら森の中を通って良いよって言ってる。」

 驚く2人を放ってニナは再び精霊と何やら話し込んでいる。

「海の街の方へ出る途中で、ちょっと意地悪な水の精霊がいるけれど昨日のクッキーがあれば大丈夫って。
 あれ大好きって言ってるよ。」

 通訳を終えるとニナはコクコクと野菜スープを飲んだ。

「・・・それは。」
「助かるな。」

 イオリとヒューゴは有益な情報の前に言う事がない。

「もし余ってたら昨日のクッキーくれない?
 って言ってるよ。」

 ニナが指差す方向には何もいない。
 でも、イオリには何かワクワクしている雰囲気が感じ取れた。

「ふふふ。
 勿論だよ。
 昨日はナッツとベリーのクッキーをあげたんだけど、今日も同じのにする?
 他にはドライフルーツが混ぜてあるのとか、チョコチップが混ざってるのとか、プラムジャムのクッキーなんかもあるよ。」

 イオリがクッキーを並べると、何やら真剣に悩んでいる精霊の感情が伝わってくる。

「精霊さん。
 昨日は楠の木に泊めてくれて有難う。
 僕のおすすめはプラムジャムのクッキーだよ。」

 ナギがそう言えば、プラムジャムのクッキーが1つ消えた。

 目を輝かせたパティが身を乗り出す。

「パティはチョコチップのクッキー大好き。」

 すると目の前のチョコチップのクッキーが1つ消えた。

「これ、普通のクッキーなんだけど、剣の形をしてるんだ。
 良ければもらって。」

 スコルが腰バックから剣型のクッキーを取り出すと、手からクッキーが姿を消した。

「有難うって。」

 ニッコリと笑うニナの後ろで、一瞬嬉しそうに微笑む精霊の姿が見えた気がした。

※※※※※ ※※※※※

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