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旅路 〜ダグスクへ〜
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旅の準備を終え、小さな馬車が楠の木を離れる時となった。
「一晩お世話になりました。」
大きな楠の木にイオリがお礼を言えば、風もないのに楠の木がサワサワと揺れた。
ニナは楠の木を根城にしている精霊に最後の別れをしているのか、コクコクと頷いている。
「みんな準備出来た?出発するよ。」
イオリの出発の声に反応したアウラが馬車を引っ張り出す。
「森の中だからスピードは出せない。
ゆっくり行こう。」
御者席に座るヒューゴに返事をするようにアウラは「ヒヒン!」と嘶いた。
「楠の木の精霊さんバイバイ。」
ニナが手を振ると、双子やナギも一緒に手を振った。
「とっても素敵な楠の木だったね。
昔の人が安心して眠りについたのも納得だよ。」
イオリは朝食でお腹いっぱいなり眠そうな様子のゼンを膝の上に乗せると優しく撫でた。
「・・・嘘だろう。
おい。みんな見てみろ。」
御者席からヒューゴの驚き声が聞こえる。
誘われるように前方に視線を向ければ、草木が道を譲るように馬車ギリギリの広さに広がっていくのだ。
「凄いな・・・。」
馬車を通して良いとは言われていたけれど、まさか傾斜や岩なんかも無視して一本道ができるなんてある訳がない。
イオリが子供達と一緒に前方をポカンと見ていた時、ヒューゴは既視感を感じ腕に鳥肌を立てていた。
イオリの行方が分からなくなって数ヶ月後、“明けない魔の森”に一本の光の柱が立った。
天へと続く光の柱の出現にポーレットの街は騒然とした。
“ダークエルフの里の戦士”との戦いで未だ世が騒がしかった時、再び何か起こるのではと不安に思っていた住人もいた事だろう。
だが、ポーレット公爵家の面々と、ヒューゴ達はそうは思わなかった。
直感的に皆が「イオリだ!」と感じたのだ。
その理由は今も分かっていないが、全員が疑う事なくイオリに関係する事だと理解していた。
急いで現地に向かったヴァルトやヒューゴ達は危険な“明けない魔の森”に入った瞬間に違和感を感じた。
魔獣や動物達の生命の存在が感じられず無機質だった魔の森。
その中でも驚いたのは草木が自分達を避けて最深部まで一直線の道を作ったのだ。
その道の先には件の泉があり、筒状の光の柱に守られていた。
そしてその中央には光の繭玉のような球体に包まれたイオリとゼンが宙に浮いていたのだった。
ヒューゴは目の前で起こっている現象に驚いていた。
精霊の力のお陰なのか、それとも絶対神の力が及んでいるのか彼には分からない。
しかし、人智が及ばぬ力を目にした今、人はこれを奇跡と呼ぶのだとヒューゴは感嘆の声を漏らすのだった。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
「一晩お世話になりました。」
大きな楠の木にイオリがお礼を言えば、風もないのに楠の木がサワサワと揺れた。
ニナは楠の木を根城にしている精霊に最後の別れをしているのか、コクコクと頷いている。
「みんな準備出来た?出発するよ。」
イオリの出発の声に反応したアウラが馬車を引っ張り出す。
「森の中だからスピードは出せない。
ゆっくり行こう。」
御者席に座るヒューゴに返事をするようにアウラは「ヒヒン!」と嘶いた。
「楠の木の精霊さんバイバイ。」
ニナが手を振ると、双子やナギも一緒に手を振った。
「とっても素敵な楠の木だったね。
昔の人が安心して眠りについたのも納得だよ。」
イオリは朝食でお腹いっぱいなり眠そうな様子のゼンを膝の上に乗せると優しく撫でた。
「・・・嘘だろう。
おい。みんな見てみろ。」
御者席からヒューゴの驚き声が聞こえる。
誘われるように前方に視線を向ければ、草木が道を譲るように馬車ギリギリの広さに広がっていくのだ。
「凄いな・・・。」
馬車を通して良いとは言われていたけれど、まさか傾斜や岩なんかも無視して一本道ができるなんてある訳がない。
イオリが子供達と一緒に前方をポカンと見ていた時、ヒューゴは既視感を感じ腕に鳥肌を立てていた。
イオリの行方が分からなくなって数ヶ月後、“明けない魔の森”に一本の光の柱が立った。
天へと続く光の柱の出現にポーレットの街は騒然とした。
“ダークエルフの里の戦士”との戦いで未だ世が騒がしかった時、再び何か起こるのではと不安に思っていた住人もいた事だろう。
だが、ポーレット公爵家の面々と、ヒューゴ達はそうは思わなかった。
直感的に皆が「イオリだ!」と感じたのだ。
その理由は今も分かっていないが、全員が疑う事なくイオリに関係する事だと理解していた。
急いで現地に向かったヴァルトやヒューゴ達は危険な“明けない魔の森”に入った瞬間に違和感を感じた。
魔獣や動物達の生命の存在が感じられず無機質だった魔の森。
その中でも驚いたのは草木が自分達を避けて最深部まで一直線の道を作ったのだ。
その道の先には件の泉があり、筒状の光の柱に守られていた。
そしてその中央には光の繭玉のような球体に包まれたイオリとゼンが宙に浮いていたのだった。
ヒューゴは目の前で起こっている現象に驚いていた。
精霊の力のお陰なのか、それとも絶対神の力が及んでいるのか彼には分からない。
しかし、人智が及ばぬ力を目にした今、人はこれを奇跡と呼ぶのだとヒューゴは感嘆の声を漏らすのだった。
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