続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜ダグスクへ〜

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 朝露でリンゴの木の葉っぱが湿っていた朝。

 朝ごはんに、おにぎりと味噌汁を食べたイオリ達は旅の続きの為に馬車へ荷物を詰め込んだ。

「よし。
 これで準備は良いか?」

 御者席からヒューゴが振り返れば馬車の荷台に乗り込んだ子供達が笑顔で頷く。

「ちょっと待てて下さい。」

 近くの切り株に向かったイオリは葉っぱの上にリンゴジャムを挟んだクッキーを3枚並べた。
 その傍らには木のカップに注がれたリンゴの甘い香りのする紅茶が添えられている。

「昨夜は楽しかったよ。
 クッキーと紅茶をどうぞ。
 またね。」

 イオリが馬車に戻ってくると子供達が首を傾げている。

「どうしたの?」
「クッキー?精霊さんでもいた?」

 スコルとパティが不思議そうに切り株を見れば、イオリはクスクスと笑うだけだった。

「さぁ、準備も出来たし出発しようか。」

 子供達の頭を撫でたイオリは荷台に飛び乗るとヒューゴに合図を送った。

 ヒューゴが頷くとアウラが歩きだす。

パシャッ パシャッ

 水の音がすると思えば何匹もの魚が飛び跳ねたのが見えた。

「わぁ~。沢山の魚!」

「川魚だね。」

「魚も目を覚ましたのかもね。」

 双子とナギが飛び上がる魚達に目を奪われていた時、徐に振り返ったニナは切り株に腰掛けクッキーを美味しそうに齧っている男の子がいるのに気がついた。
 
「あっ。」

 思わず声を上げたニナであったが、見えていないのにイオリがニコニコしているのを見て口を噤んだ。

 きっと、イオリはあの子精霊にクッキーをあげたのだ。

 ニナは自分に優しい精霊達にまでも優しいイオリが大好きだった。

「良い森だね。」

 微笑むイオリにニナはコクンと頷いた。

「とっても良い森だね。」

 ニナは小さな口を目一杯開けて欠伸をするゼンを抱き上げると、ギュッとした。

 欠伸の途中でギュッとされたゼンは驚き目を丸くしているが、相手がニナと分かれば諦めた様にされるままになっている。

「さぁ、ダグスクまで後どれくらいかな?」

 イオリの小さな馬車は今日も森の中を真っ直ぐと進む。
 神の愛し子の先人が愛した街・ダグスクへと・・・。

_____

ピィー ピィーヒュルル

 青い空をウミネコが自由に飛び回るのを屋敷から見ていた男は執務机に並べられた資料に目をやった。

 塩や乾物などの情報で埋め尽くされている資料に満足そうに微笑む。

トントントン

 扉を叩く音に返事をすれば、まだ幼さというのを脱しない少年が姿を見せた。

 少し緊張気味の少年に男は微笑むと入室を許可する。

「どうした?」

「あの、イオリさんが来るって聞いて・・・。」

「あぁ、そうだ。
 もう暫くしたら、このダグスクへ到着されるだろう。
 ・・・緊張しているのかい?」

 男の問いに少年が素直に頷く。

「大丈夫さ。
 イオリさんはお優しい。
 それに君が頑張っていると知れば喜んで下さるはずさ。」

 男は再び自分が愛する港街を見渡した。

 男の名はオーウェン・ダグスク。

 ダグスクの地の領主であった。


※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。



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