続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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ダグスク 〜街歩き〜

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「裏の子供達は兄さん家の子達じゃない?」

 そう言われたイオリ達はヴィリの案内で店の中をちょっと失礼して裏に向かった。

 ヴィリの店の裏はすぐに海になっていて水揚げされた魚は店に直行できる様になっている。

 普段は小舟や中型の船なども係留されていて子供達にとっても格好な遊び場になっているらしい。

「俺やアクセルなんかも遊んだもんだよ。」

 店から通り抜け出来る扉を開けば海風が顔にかかり太陽の光が暖かい。
 そんな中、子供達の笑い声が聞こえてきた。

「キャハハハ!!」

「パティちゃん凄い凄い!」

「スコルもかっこいい!」

「キャハハハ!」

 見ればパティとスコルが船の上で追いかけっこをしている様だ。

 俊敏で踊るような動きに魅入られた子供達がヤンヤヤンヤと歓声を上げている。

「おや、これは・・・。」

「アイツら何やってんだよ。」

 イオリとヒューゴが苦笑している横ではクロム・オンリールがあまりの光景に唖然としてる。

「この辺のガキんちょ達のリーダーは公爵様のところのお嬢だ。
 いつのまにか街中の子供達をまとめ上げて大人顔負けの軍団になってるよ。
 今日は特別な友達を連れてきたと言って遊び出したから何事かと思ってたんだ。
 何処ぞのお偉いさんの子供が来たかと大人達がドキドキしてたんだけど、兄さんところの子供なら安心だな。」

 ニカっと笑うヴィリにイオリもヒューゴも「「ご迷惑をおかけしてます。」」と頭を下げた。

「いいって。
 子供の笑い声が響いてる街は良い街だって年寄り連中も言ってたよ。
 まぁ、ダグスクの大人達は危険な事してたら他人の子供でも叱る。
 それは了承してくれ。」

 腕まくりに頭に捻り鉢巻きをしたヴィリが逞しい笑顔を向けてくる。
 ヴィリの時の流れを感じイオリは嬉しくなった。

「あー!イオリと兄さまだぁ!!」

 甲高い声が聞こえたかと思えばニナがヒューゴの胸に飛び込んできた。

「楽しく遊べたのか?」

 安定の力で妹を抱えたヒューゴが問えばニナはコクンと頷いた。

「海の上の鬼ごっこっていつもと違ってスリルあって面白いの。
 スコルちゃんが鬼だったんだけど、ニナ早めに捕まっちゃった。」

 捕まったと言いながらも、ニナは楽しそうに笑う。

「ボクは結構残ったんだけど、スコルのフェイントに引っ掛かっちゃった。」

 悔しそうなナギが近づいてくるとイオリはクスクスと笑った。

「ナギが追いかけっこで負けるのも珍しいね。
 スコルも頭使っただね。」

「うん。読み間違えたんだ。
 今はパティだけが残ってるんだよ。」

 手を伸ばすスコルが触れるか触れないかのところでパティがバク転で回避する。
 それを許さないスコルが追いかけるとパティがしなやかな体を生かして船のポールを利用して避けた。

「・・・凄いや。」

 2人の動きに魅入られ思わず呟くクロワの腕をニナとナギが掴んだ。

「君も一緒い遊ぼう。」

「えっ・・・。」

「大丈夫。みんな良い子だよ。」

「そうじゃなくて・・・えっ。」

 無理やり引き摺られていくクロワ少年伯爵をイオリとヒューゴはニコニコと手を振りながら見送った。

※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも是非ご覧下さい。

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