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ダグスク 〜出発までの〜
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ダグスクの街の小高い丘にある教会。
神父であるべアンハートと妻であるヒナコも健在で、イオリが訪ねて来た事に喜んでくれた。
イオリから初代国王マテオ・アースガイルを支えた男、十蔵の話を聞いたクロワ・オンリールは教会の横にひっそりと存在する碑石をジッと見つめて神父べアンハートからの歴史に話を耳を傾けていた。
イオリはいつもの通り、絶対神リュオン像に祈りを捧げ旅の報告をした。
その姿は見る者には美しく見える。
そう思うのは見守っていたべアンハートやヒナコだけじゃない。
ヒューゴや子供達も同じ様に思っているし、ポーレットの神父であるエドバルドや、王都の教会にいる5人の枢機卿も見惚れる程の神々しさがあった。
しかし、それは本人には分からない事。
イオリはただ絶対神リュオンへの敬愛を示しているに過ぎなかった。
イオリと一日ダグスクの街を歩き回ったクロワが屋敷に戻ると、迎え出た従者は幼い主人の変化に、まっさきに気が付いた。
朝、別れた時は離れる事にさえ不安そうな顔をしていた主人が笑顔で戻って来た。
ギブアップとばかりに部屋で眠についた主人であったが眠る顔は微笑んでいた。
その一方、イオリ達はオーウェン・ダグスクからの招待を受けて食事を共にした。
1日中、食べっぱなしだったはずの子供達も遠慮なく食事に加わり満足すると一足先に別邸に帰って行った。
「有難う御座いました。」
食事を終え、ワインを傾けながら微笑むオーウェンの礼にイオリもニッコリとした。
「クロワ様の事ですか?」
酒を好まないイオリは執事のカールが淹れてくれたハーブティーで喉を潤す。
「えぇ、いつも肩肘が張っているあの子が可哀想で。
本来であれば将来の事など気にする暇もないくらいに楽しく遊んでいて良い時期でしょうから。」
クロワの生い立ちは大人でも目を覆いたくなるなるほどに悲惨なものだった。
「彼の母であるエシレ夫人も心配されていたんです。
自分は過度に守る事ばかりを意識してクロワの心を守れていたのか・・・。
後悔の手紙が来た時に初めてダグスクに招待したのです。
でも、残念ながら私自身が彼の気持ちが手に取るくらい理解出来てしまう。」
恥ずかしそうに笑うオーウェンに同じくワインを嗜んでいたヒューゴが苦笑しながら頷いた。
「貴族の責務ですね。
何処にいても自領の事を心配し考えてしまうんでしょう。
特に自分に力が無ければない程に虚しく苦しい。」
ヒューゴの言葉にオーウェンは悲しそうに微笑んだ。
「えぇ、クロワはオンリールから離れる事も、残してきた母君の事も心配なんです。
何よりも心細いのでしょう。
同世代との交流も疎いから、何事にも積極的な我が娘も苦手の様でね。
・・・いや、どうしたら良いのか分からないと、戸惑っていたのしょう。」
それが、今日は違った。
オーウェンはクロワに自分では教えられない事を教えてくれたイオリとヒューゴに感謝した。
神父であるべアンハートと妻であるヒナコも健在で、イオリが訪ねて来た事に喜んでくれた。
イオリから初代国王マテオ・アースガイルを支えた男、十蔵の話を聞いたクロワ・オンリールは教会の横にひっそりと存在する碑石をジッと見つめて神父べアンハートからの歴史に話を耳を傾けていた。
イオリはいつもの通り、絶対神リュオン像に祈りを捧げ旅の報告をした。
その姿は見る者には美しく見える。
そう思うのは見守っていたべアンハートやヒナコだけじゃない。
ヒューゴや子供達も同じ様に思っているし、ポーレットの神父であるエドバルドや、王都の教会にいる5人の枢機卿も見惚れる程の神々しさがあった。
しかし、それは本人には分からない事。
イオリはただ絶対神リュオンへの敬愛を示しているに過ぎなかった。
イオリと一日ダグスクの街を歩き回ったクロワが屋敷に戻ると、迎え出た従者は幼い主人の変化に、まっさきに気が付いた。
朝、別れた時は離れる事にさえ不安そうな顔をしていた主人が笑顔で戻って来た。
ギブアップとばかりに部屋で眠についた主人であったが眠る顔は微笑んでいた。
その一方、イオリ達はオーウェン・ダグスクからの招待を受けて食事を共にした。
1日中、食べっぱなしだったはずの子供達も遠慮なく食事に加わり満足すると一足先に別邸に帰って行った。
「有難う御座いました。」
食事を終え、ワインを傾けながら微笑むオーウェンの礼にイオリもニッコリとした。
「クロワ様の事ですか?」
酒を好まないイオリは執事のカールが淹れてくれたハーブティーで喉を潤す。
「えぇ、いつも肩肘が張っているあの子が可哀想で。
本来であれば将来の事など気にする暇もないくらいに楽しく遊んでいて良い時期でしょうから。」
クロワの生い立ちは大人でも目を覆いたくなるなるほどに悲惨なものだった。
「彼の母であるエシレ夫人も心配されていたんです。
自分は過度に守る事ばかりを意識してクロワの心を守れていたのか・・・。
後悔の手紙が来た時に初めてダグスクに招待したのです。
でも、残念ながら私自身が彼の気持ちが手に取るくらい理解出来てしまう。」
恥ずかしそうに笑うオーウェンに同じくワインを嗜んでいたヒューゴが苦笑しながら頷いた。
「貴族の責務ですね。
何処にいても自領の事を心配し考えてしまうんでしょう。
特に自分に力が無ければない程に虚しく苦しい。」
ヒューゴの言葉にオーウェンは悲しそうに微笑んだ。
「えぇ、クロワはオンリールから離れる事も、残してきた母君の事も心配なんです。
何よりも心細いのでしょう。
同世代との交流も疎いから、何事にも積極的な我が娘も苦手の様でね。
・・・いや、どうしたら良いのか分からないと、戸惑っていたのしょう。」
それが、今日は違った。
オーウェンはクロワに自分では教えられない事を教えてくれたイオリとヒューゴに感謝した。
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