続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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ダグスク 〜出発までの〜

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「とっても良い子ですよ。
 そして優しくて賢い。」

 カモミールの香りと微かにペパーミントの香りが混ざるハーブティーに心ほぐれるイオリは静かに微笑んだ。

「えぇ、どうやら我が家の問題児にも良い影響を与えてくれたそうですね。」

 オーウェンの言葉にイオリとヒューゴがクスクスと笑う。

「ドレスを来た淑女の船乗りですか。」

「クロワ様はその場を誤魔化す為に言ったわけじゃない。
 本気でそう思ったからシノ様は聞き入れられたんですよ。」

 その時の様子を想像しオーウェンは額に手を当てた。

「まぁ、何よりも今はドレスを着た淑女を目指してくれると言うのですから妻も安堵していますよ。
 午後のお辞儀の練習は、これまでになく真面目だったそうです。」

 楽しそうに笑う3人の側では執事のカールが満足そうに頷いていた。

「時に・・・。」

 ここからが本題だとばかりにオーウェンの顔が真剣な顔になった。

「ダグスクに革命軍を名乗る者達が来ていたと言うのは本当でしょうか?」

 エナ一家の乾物工場で働く犬の獣人であるトッツの報告をしたイオリ達である。

 海を隔てて外国と交流ある港町であるダグスク領では、オーウェンを筆頭に騎士団が危険な人物が紛れ込んでいないか慎重に調べを進めていた。

 しかし、ダグスクを害するものは今のところ隠された事はなく、革命軍と名乗る者の存在と接触があったと聞いたのは今回が初めてだと言う。

 すでにトッツはアースガイル国のダグスクの領民であると認められているし、人族に限らず他人との争いを好まないというのをエナ一家からの報告でオーウェンは理解している。

「その地に根を下ろした同胞達の不満を掬い、革命軍へと勧誘しているのでしょうか。
 だとしたら、アースガイル国内でも革命軍と連絡を取っている者達がジワジワと増えている可能性がありますね。」

 今でこそアースガイル国は革命軍の標的とはなっていない。
 しかし、一様に人族を恨む彼らの刃が絶対にアースガイルに向かない保証はないのだ。

「ギルドには獣人やエルフやドワーフの冒険者もいる。
 奴らの中には好き勝手生きているのに革命軍の所為で逆に生きにくいと不満を漏らす連中もいます。
 革命軍と相容れない奴らは、最近では海外で気を使うって、アースガイルを目指す者も増えているらしいです。」

 ヒューゴが冒険者ギルドで入手してきた情報にオーウェンは渋そうな顔で頷いた。

「このままだと、アースガイル国でもバランスが崩れてしまう恐れがあります。
 もはや他国の事情だと目を背ける事は出来ません。
 王城へ進言しましょう。」

 オーウェンの言葉にイオリもポーレット公爵であるテオルドと話さなければと思った。

「俺もテオさんに連絡してみます。」

 そんなイオリにヒューゴがクスクス笑う。

「まぁ、最初は怒られるだろうがな。」

「あぁ・・・。
 ヒューゴさん、代わりにテオさんに連絡してくれません?」

 困り顔のイオリにヒューゴとオーウェン、そして執事のカールの笑いが起こるのだった。

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