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帰ってきた愛し子
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「あっ。
ヴァルトさん、お久しぶりです。
あれ?お久しぶり?
ん?なんか変だな・・・。
まぁ、良いか。」
人の気も知らないで5年ぶりの再会に、いつもの呑気なイオリがニコニコとヴァルトを見つめていた。
「・・・イオリ?」
「はい。」
「目が覚めたのか?」
「あれ?
俺、寝坊しました?
今、ゼンが起こしてくれたんですよ。」
その真っ白な小さな体を持ち上げると、イオリは嬉しそうにゼンの額にキスをした。
「キャンッ!」
ゼンは嬉しそうに返事をするとイオリの鼻先をペロペロと舐めている。
思わずポロリと涙を流したヴァルトは、腰が抜けたように座り込んだ。
「お前って・・・。
いっつもそうだ。」
「あれ?どうしたんです?ヴァルトさん。」
戸惑うイオリとゼンにヴァルトは次第に震えるように笑い出した。
「ククク・・・アハハハ!!」
ヴァルトの笑い声が公爵邸に響き渡る頃、屋敷の廊下が騒がしくなってきた。
不思議な虹色の光の玉を見た者達が、もしやとイオリを心配して集まってきたのだ。
執事や侍女をかき分けてポーレット公爵テオルドがやってきたのは、ヴァルトが狂ったように笑っている時だった。
「ヴァルト?」
問いかける父にヴァルトは笑いを止められずに涙を拭く手を止めて部屋を指差した。
テオルドは息子の様子に期待と不安を持ちながら恐る恐る中を覗いた。
「あっ。
テオさんだ。お久しぶりです。」
「イオリ!!」
公爵の嬉々込めた叫びに屋敷中が喜びに包まれたのは言うまでもない。
そんな屋敷の状態にイオリとゼンは何事かとキョトンとしていた。
相変わらずマイペースな2人の様子にテオルドとヴァルトは顔を見合わせ大笑いしたのだった。
_____
思い出して目を細めるヴァルトにイオリは首を傾げた。
「どうしたんです?
キルモンキーが毒のある餌の匂いに警戒している時みたいな顔して。」
「どんな顔だよ!」
これが、冗談で言ってる訳でもないのがイオリだと知ってるヴァルトは苦笑した。
「ねー。イオリ。
イオリからガーリックチキンの匂いがする。」
クンクンと匂いを嗅ぐのは、美幼女から美少女に成長途中のパティである。
食いしん坊なところは変わりそうもない。
「“日暮れの暖炉“の仕込みを手伝ってきたから、思わず買ってきちゃったんだ。
クリストフさんに渡しておいたから、夕食に出してもらうように頼んでおいたよ。」
「やったー!!」
冒険者ギルドに信頼されている高位ランカーにも関わらず、まだまだ幼いパティは飛び跳ねて喜んだ。
「今日はダンさんの所だけに行ってたの?」
そんな片割れを横目にスコルはイオリに微笑んだ。
「ううん。
カッチェさんのお店にも顔出したよ。
お店の味のチェックを頼まれてたからね。
ついでに買い出しの手伝いしてきた。」
「長く店やると、味の変化に気付かない事もあるんだってね。
オレもたまに頼まれるよ。」
朗らかに微笑むスコルだが、実は家族と他の冒険者とでは彼への印象は異なる。
スコルの事を思慮深く冷静な判断が出来る家族思いの優しい子と思っているイオリ達とは違い、若く前途有望な冒険者として期待されながらも他者を近づけぬ冷たい視線は冒険者達をピリつかせる事もある。
それは妹達や弟に好奇な目が向くと顕著で、どんな大人だろうと冷徹な鋭い視線を浴びせるのだ。
特に、他領から流れ着いた冒険者や、何も知らぬ若い冒険者に絡まれると面倒腐そうにあしらっている光景がよく見られる。
何故だか、スコルのその様子に冒険者ギルドのギルドマスターもサブマスターも注意するでもなく、寧ろ認めているところがある事に、ヒューゴなどは苦笑していた。
イオリがいるリビングは穏やか時間が流れていた。
ヴァルトさん、お久しぶりです。
あれ?お久しぶり?
ん?なんか変だな・・・。
まぁ、良いか。」
人の気も知らないで5年ぶりの再会に、いつもの呑気なイオリがニコニコとヴァルトを見つめていた。
「・・・イオリ?」
「はい。」
「目が覚めたのか?」
「あれ?
俺、寝坊しました?
今、ゼンが起こしてくれたんですよ。」
その真っ白な小さな体を持ち上げると、イオリは嬉しそうにゼンの額にキスをした。
「キャンッ!」
ゼンは嬉しそうに返事をするとイオリの鼻先をペロペロと舐めている。
思わずポロリと涙を流したヴァルトは、腰が抜けたように座り込んだ。
「お前って・・・。
いっつもそうだ。」
「あれ?どうしたんです?ヴァルトさん。」
戸惑うイオリとゼンにヴァルトは次第に震えるように笑い出した。
「ククク・・・アハハハ!!」
ヴァルトの笑い声が公爵邸に響き渡る頃、屋敷の廊下が騒がしくなってきた。
不思議な虹色の光の玉を見た者達が、もしやとイオリを心配して集まってきたのだ。
執事や侍女をかき分けてポーレット公爵テオルドがやってきたのは、ヴァルトが狂ったように笑っている時だった。
「ヴァルト?」
問いかける父にヴァルトは笑いを止められずに涙を拭く手を止めて部屋を指差した。
テオルドは息子の様子に期待と不安を持ちながら恐る恐る中を覗いた。
「あっ。
テオさんだ。お久しぶりです。」
「イオリ!!」
公爵の嬉々込めた叫びに屋敷中が喜びに包まれたのは言うまでもない。
そんな屋敷の状態にイオリとゼンは何事かとキョトンとしていた。
相変わらずマイペースな2人の様子にテオルドとヴァルトは顔を見合わせ大笑いしたのだった。
_____
思い出して目を細めるヴァルトにイオリは首を傾げた。
「どうしたんです?
キルモンキーが毒のある餌の匂いに警戒している時みたいな顔して。」
「どんな顔だよ!」
これが、冗談で言ってる訳でもないのがイオリだと知ってるヴァルトは苦笑した。
「ねー。イオリ。
イオリからガーリックチキンの匂いがする。」
クンクンと匂いを嗅ぐのは、美幼女から美少女に成長途中のパティである。
食いしん坊なところは変わりそうもない。
「“日暮れの暖炉“の仕込みを手伝ってきたから、思わず買ってきちゃったんだ。
クリストフさんに渡しておいたから、夕食に出してもらうように頼んでおいたよ。」
「やったー!!」
冒険者ギルドに信頼されている高位ランカーにも関わらず、まだまだ幼いパティは飛び跳ねて喜んだ。
「今日はダンさんの所だけに行ってたの?」
そんな片割れを横目にスコルはイオリに微笑んだ。
「ううん。
カッチェさんのお店にも顔出したよ。
お店の味のチェックを頼まれてたからね。
ついでに買い出しの手伝いしてきた。」
「長く店やると、味の変化に気付かない事もあるんだってね。
オレもたまに頼まれるよ。」
朗らかに微笑むスコルだが、実は家族と他の冒険者とでは彼への印象は異なる。
スコルの事を思慮深く冷静な判断が出来る家族思いの優しい子と思っているイオリ達とは違い、若く前途有望な冒険者として期待されながらも他者を近づけぬ冷たい視線は冒険者達をピリつかせる事もある。
それは妹達や弟に好奇な目が向くと顕著で、どんな大人だろうと冷徹な鋭い視線を浴びせるのだ。
特に、他領から流れ着いた冒険者や、何も知らぬ若い冒険者に絡まれると面倒腐そうにあしらっている光景がよく見られる。
何故だか、スコルのその様子に冒険者ギルドのギルドマスターもサブマスターも注意するでもなく、寧ろ認めているところがある事に、ヒューゴなどは苦笑していた。
イオリがいるリビングは穏やか時間が流れていた。
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