35 / 377
パティスリー・ヴォルフ
33
しおりを挟む
「えー!!イオリ、王都行くのー!?」
朝から元気な声をあげるのは、毎度お馴染みパティである。
梳かされていない薄紫のクルクルした髪はボリュームたっぷりだ。
既にイオリ達は朝食を済ませ、朝の紅茶を楽しんでいたところに寝坊助のパティが一番最後にリビングに入ってきた。
流石にパジャマから普段着に着替えてはいるが、頬にはまだ抱き寄せていた枕の後がついている。
「顔洗ったの?」
スコルの指摘に慌てて洗面台に走ったパティであるが、イオリが王都に行くという情報に興味が尽きない。
執事のクリストフが特別にリビングに運んできた朝食のパンを口に頬張ると話の続きをせがんだ。
「ヒホォリ、フォウト行くの?」
真剣な目をしたパティであるが、モグモグしながら話すには無理がある。
イオリは笑いを堪えているが、スコルは呆れて顔を顰めている。
「口に物が入っている状態で喋るな。
落ち着きなさい。」
ヒューゴがパティの口を拭いてやると、パティは悪びれる事なくコクコクと頷いた。
「イオリ、王都行くの?」
「半年後の話だよ。
昨夜、テオさんから聞いたんだ。
ギルさんとディビットさんが結婚式挙げるんだって。
皆んなでお祝いに行こう。」
それはパティにとっても嬉しいニュースだった。
「それ、本当っ!?
パティ、オーブリーとココちゃんに絶対にお祝い言いたい!!」
「ニナも!」
食事中にも関わらず、ピョンピョン飛び跳ねて喜ぶパティをバトルホースのアウラが必死に引っ張り、座らせようと奮闘している横でニナも嬉しそうに手を叩いている。
「うん。そうだね。
王族の結婚式って準備がかかるんだって。
だから、俺達の出発は半年後だってさ。」
「えー!!長ーい。」
パティが頬を膨らませると同じくニナも頬を膨らませた。
「こればかりは仕方がない。
御令嬢方のドレスの制作にも時間が掛かるし、王太子の結婚にはしきたりも多いから式までに時間を使うんだ。」
かつては貴族の端くれだったヒューゴの言葉に小さなレディ達は文句あれど納得したようだった。
「皆んなでお祝い考えよう。」
「「うん!」」
イオリの一言で機嫌が治ったのか、パティとニナは楽しそうにアレが良い、コレが良いと相談し始めている。
スコルとナギは結婚式自体には興味がないようだが、久々にイオリと行ける王都が楽しみなようだ。
あそこに行こう。こっちに行こうと仲良く会話している。
子供達の嬉しそうな様子にイオリとヒューゴも笑顔だ。
「それで、半年の間をどう過ごす?」
問いかけるヒューゴにイオリは思案顔だ。
「カサドさんの剣が出来上がれば、慣れさせたいんですけど、それまでは街の手伝いですかね。
カッチェさんの店とセドリックさんの菓子屋に顔出すって言ってあるんですよ。
それに、バートさんのところに行かないと。」
「分かった。
俺も依頼受けるの控えるとギルドに言っておこう。
長期の依頼じゃ都合が悪くなる可能性があるからな。
久しぶりにお前達とのんびり過ごすとするよ。」
賑わうポーレットの街にはイオリ達にとって大切な店がある。
イオリは王都までの半年間を街中で過ごす事に決めたのだった。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第3巻宜しくお願いします!
朝から元気な声をあげるのは、毎度お馴染みパティである。
梳かされていない薄紫のクルクルした髪はボリュームたっぷりだ。
既にイオリ達は朝食を済ませ、朝の紅茶を楽しんでいたところに寝坊助のパティが一番最後にリビングに入ってきた。
流石にパジャマから普段着に着替えてはいるが、頬にはまだ抱き寄せていた枕の後がついている。
「顔洗ったの?」
スコルの指摘に慌てて洗面台に走ったパティであるが、イオリが王都に行くという情報に興味が尽きない。
執事のクリストフが特別にリビングに運んできた朝食のパンを口に頬張ると話の続きをせがんだ。
「ヒホォリ、フォウト行くの?」
真剣な目をしたパティであるが、モグモグしながら話すには無理がある。
イオリは笑いを堪えているが、スコルは呆れて顔を顰めている。
「口に物が入っている状態で喋るな。
落ち着きなさい。」
ヒューゴがパティの口を拭いてやると、パティは悪びれる事なくコクコクと頷いた。
「イオリ、王都行くの?」
「半年後の話だよ。
昨夜、テオさんから聞いたんだ。
ギルさんとディビットさんが結婚式挙げるんだって。
皆んなでお祝いに行こう。」
それはパティにとっても嬉しいニュースだった。
「それ、本当っ!?
パティ、オーブリーとココちゃんに絶対にお祝い言いたい!!」
「ニナも!」
食事中にも関わらず、ピョンピョン飛び跳ねて喜ぶパティをバトルホースのアウラが必死に引っ張り、座らせようと奮闘している横でニナも嬉しそうに手を叩いている。
「うん。そうだね。
王族の結婚式って準備がかかるんだって。
だから、俺達の出発は半年後だってさ。」
「えー!!長ーい。」
パティが頬を膨らませると同じくニナも頬を膨らませた。
「こればかりは仕方がない。
御令嬢方のドレスの制作にも時間が掛かるし、王太子の結婚にはしきたりも多いから式までに時間を使うんだ。」
かつては貴族の端くれだったヒューゴの言葉に小さなレディ達は文句あれど納得したようだった。
「皆んなでお祝い考えよう。」
「「うん!」」
イオリの一言で機嫌が治ったのか、パティとニナは楽しそうにアレが良い、コレが良いと相談し始めている。
スコルとナギは結婚式自体には興味がないようだが、久々にイオリと行ける王都が楽しみなようだ。
あそこに行こう。こっちに行こうと仲良く会話している。
子供達の嬉しそうな様子にイオリとヒューゴも笑顔だ。
「それで、半年の間をどう過ごす?」
問いかけるヒューゴにイオリは思案顔だ。
「カサドさんの剣が出来上がれば、慣れさせたいんですけど、それまでは街の手伝いですかね。
カッチェさんの店とセドリックさんの菓子屋に顔出すって言ってあるんですよ。
それに、バートさんのところに行かないと。」
「分かった。
俺も依頼受けるの控えるとギルドに言っておこう。
長期の依頼じゃ都合が悪くなる可能性があるからな。
久しぶりにお前達とのんびり過ごすとするよ。」
賑わうポーレットの街にはイオリ達にとって大切な店がある。
イオリは王都までの半年間を街中で過ごす事に決めたのだった。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第3巻宜しくお願いします!
2,638
あなたにおすすめの小説
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
