続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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パティスリー・ヴォルフ

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「えー!!イオリ、王都行くのー!?」

 朝から元気な声をあげるのは、毎度お馴染みパティである。
 梳かされていない薄紫のクルクルした髪はボリュームたっぷりだ。

 既にイオリ達は朝食を済ませ、朝の紅茶を楽しんでいたところに寝坊助のパティが一番最後にリビングに入ってきた。
 流石にパジャマから普段着に着替えてはいるが、頬にはまだ抱き寄せていた枕の後がついている。

「顔洗ったの?」

 スコルの指摘に慌てて洗面台に走ったパティであるが、イオリが王都に行くという情報に興味が尽きない。

 執事のクリストフが特別にリビングに運んできた朝食のパンを口に頬張ると話の続きをせがんだ。

「ヒホォリ、フォウト行くの?」

 真剣な目をしたパティであるが、モグモグしながら話すには無理がある。

 イオリは笑いを堪えているが、スコルは呆れて顔を顰めている。

「口に物が入っている状態で喋るな。
 落ち着きなさい。」

 ヒューゴがパティの口を拭いてやると、パティは悪びれる事なくコクコクと頷いた。

「イオリ、王都行くの?」

「半年後の話だよ。
 昨夜、テオさんから聞いたんだ。
 ギルさんとディビットさんが結婚式挙げるんだって。
 皆んなでお祝いに行こう。」

 それはパティにとっても嬉しいニュースだった。

「それ、本当っ!?
 パティ、オーブリーとココちゃんに絶対にお祝い言いたい!!」

「ニナも!」

 食事中にも関わらず、ピョンピョン飛び跳ねて喜ぶパティをバトルホースのアウラが必死に引っ張り、座らせようと奮闘している横でニナも嬉しそうに手を叩いている。
 
「うん。そうだね。
 王族の結婚式って準備がかかるんだって。
 だから、俺達の出発は半年後だってさ。」

「えー!!長ーい。」
 
 パティが頬を膨らませると同じくニナも頬を膨らませた。

「こればかりは仕方がない。
 御令嬢方のドレスの制作にも時間が掛かるし、王太子の結婚にはしきたりも多いから式までに時間を使うんだ。」

 かつては貴族の端くれだったヒューゴの言葉に小さなレディ達は文句あれど納得したようだった。

「皆んなでお祝い考えよう。」

「「うん!」」

 イオリの一言で機嫌が治ったのか、パティとニナは楽しそうにアレが良い、コレが良いと相談し始めている。

 スコルとナギは結婚式自体には興味がないようだが、久々にイオリと行ける王都が楽しみなようだ。

 あそこに行こう。こっちに行こうと仲良く会話している。

 子供達の嬉しそうな様子にイオリとヒューゴも笑顔だ。

「それで、半年の間をどう過ごす?」
  
 問いかけるヒューゴにイオリは思案顔だ。

「カサドさんの剣が出来上がれば、慣れさせたいんですけど、それまでは街の手伝いですかね。
 カッチェさんの店とセドリックさんの菓子屋に顔出すって言ってあるんですよ。
 それに、バートさんのところに行かないと。」

「分かった。
 俺も依頼受けるの控えるとギルドに言っておこう。
 長期の依頼じゃ都合が悪くなる可能性があるからな。
 久しぶりにお前達とのんびり過ごすとするよ。」

 賑わうポーレットの街にはイオリ達にとって大切な店がある。
 イオリは王都までの半年間を街中で過ごす事に決めたのだった。

※※※※※ ※※※※※

書籍化第3巻宜しくお願いします!


 
 
 
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