続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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言葉無き者たちの怒り

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 イオリが明けない魔の森の異変を聞いた日の翌朝。

 街が朝霧に包まれてる中を城門の前に冒険者達が集まっていた。

 集まったのは冒険者だけじゃない。
 白のカーバンクルの守護符の刺繍が施された戦闘服を着ている集団はポーレット公爵家の騎士団である。
 先頭には騎士団長であるアイザックの姿もあった。

 昨夜、冒険者ギルドからポーレット公爵邸に帰ったイオリ達は待ち受けていたテオルド達と話し合いをした。

 依頼を失敗する冒険者が頻発している事、現状情報は多くない事。
 そしてイオリから調査隊に同行する事を伝えられるとテオルドは騎士団からも人員を出すと決めた。

 任命を受けたアイザックは明けない魔の森の異変を自ら目にする為に数名の隊員達と共に参加している。

「おはようございます。」

「「「「おはようございます!」」」」

 軽やかなイオリと元気な子供達の挨拶にアイザックはニッコリと微笑んだ。

「来たか。みんな揃っているな。」

 戦闘服を来た子供達の頭を1人1人撫でていくとアイザックは大剣を背負ったヒューゴの肩をポンポンと叩いた。

「今日は頼むぞ。」

「えぇ。大事がなければ良いんですが。」

 そう答えるヒューゴにアイザックも神妙な顔で頷く。

 そして、アイザックはイオリの方を向くと、打って変わって嬉しそうに驚いて見せた。

「久しぶりの格好じゃないか。」

 彼らの前に現れたイオリは懐かしい全身真っ黒の戦闘服に身を包んでいた。
 名工カサドが手掛けた特注のコートだ。
 上半身は動きやすくスマートであり、下半身は動くたびに風に靡く特徴的な形だった。
 右目を覆う眼帯が増えた分、余計に黒が強調されたように感じるのは不思議だ。

「はい。
 以前と武器が違うんで、どうしようかと思ったんですけど、やっぱりこれ着ると背筋が伸びます。」

 恥ずかしそうに笑うイオリにアイザックは微笑んだ。

「おっ。
 黒狼の復活か?」

 朝だというのに大きな声で近づいて来たのは冒険者ギルドのギルドマスターであるコジモだった。
 そんなギルマスはイオリの真っ黒な姿に殊の外嬉しそうだ。

「えっ?本物か?」

「死んだんじゃなかったのか?」

「俺は引退したって聞いたぞ?」

「あれ?あの人、指導員とかじゃないんだ。」

 他領から来た冒険者達が戸惑いを見せる中、ポーレット出身の冒険者は嬉しそうに顔を綻ばせ、何故だか涙を拭う者までいた。

「やめてくださいよ。
 そんな大袈裟な事じゃありませんよ。」

 騒がれて恥ずかしいと顔を赤らめるイオリにアイザックもギルマスも優しい顔で微笑んだ。

「じゃぁ、揃ったな。」

 ギルマスがそう言うと可愛らしい鳴き声が響いた。

「キャンッ!」

 イオリのマントから顔を出した真っ白な小さな狼が「ボクを忘れないで」とばかりに抗議の声を上げた。

「おお。ゼンもいたか。
 忘れてたわけじゃないさ。」

 ギルマスから頭を撫でられ「それなら良いけど」とばかりに澄まし顔をしたゼンに皆が笑い声を上げるのだった。

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