続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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言葉無き者たちの怒り

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 突如現れた魔獣の群れにイオリ達は囲まれていた。

 一様に怒りの感情をぶつけてくる魔獣達に冒険者達が慄いている。

「囲まれたな。」

 ヒューゴが囁くとイオリはコクンと頷いた。

「オークにワイルドベア、ゴブリン。空にはロック鳥までも・・・種族関係なくいるじゃないか。」

 ポーレット公爵家騎士団の団長アイザックも、あまりの光景に驚いた。

「私達は生きて帰れるのかね。」

 自笑するアイザックに流石の騎士団の団員達も不安そうだ。

 さて、どうするか。
 イオリが考えていた時だった。

「魔獣なんて何て事ないだろうっ!!
 Sランク冒険者なら何とかしろよっ!」

「そうだよっ!
 なんで俺達がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!!」

「だから田舎は嫌なんだっ!」

 そう騒ぎ出したのは、森の中でキラキラとした防具が目立つ“自惚れクラウン”だった。
 追随して大きな声を上げているのは彼の仲間達だろう。

「うるせぇ。騒ぐな。
 俺がシールド張ってるんだ。
 今すぐ何かなる事はない。
 役に立つ気が無いなら、精々黙っていてくれ。
 気が散る。」

 いつもよりも低いヒューゴの声に圧倒されながらも“自惚れクラウン”はヒューゴを睨み付けた。

「シールド張っているのなら最初から言えば良いだろう。」

「シールドなら魔の森に入った当初から張っている。
 それにすら気づいていなかったのか?
 わざわざ言わなくても子供達だって気が付いてたけどな。」

 ギロリと睨むヒューゴに“自惚れクラウン”は顔を赤くして「グヌヌ」とばかりに口を噤んだ。

 相手がSランク冒険者でなかったら彼もこうは大人しくはしていなかっただろう。

 それだけでも、人としての器が小さいと子供達には受け止められている事に“自惚れクラウン”は気付いていない。

 ヒューゴは些末な争いにイオリの集中力を削がれるのを防いだに過ぎない。
 不満そうに仲間達と身を寄せ合っている男に構っている暇などないのだ。

「どうする?」

「待ちます。」

 ヒューゴが囁くとイオリは即座に答えた。

「何を待つ?」

 アイザックがイオリに問いかけた。

「森の賢者です。
 この状況を彼が放っておくはずがないんです。」

「森の賢者・・・例のトロールか?!」

 今度はギルマス・コジモが驚いた様に目を見開いた。

「トロール・・・それは本当に来るのか?」

 アイザックが心配そうに周囲を見渡した時だった。

 「えぇ、来ましたよ。」

 イオリがスッと魔の森の奥を指差した。

 皆が目を凝らすと1つの大きな影が音も立てる事なく静かに現れた。

 いや、浮かび上がったと言って良いほどに大きな影が近づいて来るのに誰も気づかなかった。

 トロールは右手に持った棍棒を引きずりながらイオリの前に現れたのだった。
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