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何事も準備こそが楽しい
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「って訳なんです。」
話を聞いたポーレット公爵家騎士団の団長アイザックは開いた口が閉じる事なく唖然としていた。
「何て非常識なんだ・・・。
分かっていたが、やはりカサドは企画外だな。」
カサドの才能と仕事ぶりに驚くアイザックにイオリもヒューゴも苦笑しながら頷いた。
「カサドさんが言うには、眼帯が読み通った映像は脳に直接魔力を送って眼帯に組み込んだ魔法陣と光を反転させて・・・うんたらこうたら言ってましたけど難しくて俺にはわかりませんでした。」
ニコッと笑うイオリにアイザックは顔を顰めて頭を掻いた。
「大丈夫だ。
どうせ、俺も本人から詳しく聞いたとして分かるわけない。
それで、この奇跡をテオルド様はご存知なのか?」
「あぁ・・・いや。
後々、報告しようと思ってます。」
イオリの歯切れの悪さにアイザックは目を胡乱げに細めた。
「お前、新しいおもちゃの方が気になって報告を忘れていただろう?」
「あぁ・・・いや。
別にそんな事ないですけど・・・。」
「けど、何だ。
ほら行くぞ。
どうせ報告しなきゃいけないし、絶対に面倒な事になるんだ。
それに、単純にお喜びになる。
早く教えて差し上げろ。」
「はーい。」
不貞腐れるイオリは後ろ髪を引かれる思いで石臼を見つめた。
「大丈夫だよ。
この量だけ粉にしとくよ。
だから早くテオやヴァルトに教えてやって。」
昨夜の泣いた目の腫れが完全に引いていないスコルがニッコリと笑う。
子供達の元気な声が続く。
「ニコライにも!」
「オルガちゃんにも忘れないでね。」
「クリストフさんも絶対に喜ぶよね。」
自分の事のように喜ぶ子供達を前にイオリは機嫌を悪くしているばかりではいられない。
諦めたように微笑むとゼンを抱き上げて肩に乗せた。
「分かった。
任せるね。
あっ。俺だと説明難しいんでヒューゴさんは付いて来て下さいね。」
ヒューゴを巻き込む事は忘れないイオリは、たった今、邸から戻ってきたばかりの男にジトっとした目を向けた。
「クククッ。
分かった。
皆んな行ってくる。
危ない事するなよ。」
「「「「はーい」」」」
返事をする子供達の興味は既に石臼に移っており、飽きる事なく取手を回す儀式に戻っていった。
イオリとヒューゴを連れたアイザックが、公爵であるテオルドの執務室に入ると、そこには折よく侍従のノアとヴァルト、そして甲斐甲斐しく雑務をこなす筆頭執事のクリストフが揃っていた。
専属冒険者と騎士団長による王都への旅路についての話が終わったと思っていた4人は、思いがけずに魔導具の眼帯の話を聞かされて驚愕する事になった。
「何で早く言わない!」
報告が遅いと怒られながらも、右目が見えている事に大いに喜ばれたイオリは恥ずかしそうにハニ噛んだ。
「おいおいおい。
王都へ向かうという時に何て物を作ってくれているんだ!」
興奮冷めぬ中、最終的に頭を抱えてしまったテオルドを前にイオリは思った。
「えっ、今回は俺が悪くなくない?」
その小さな呟きを聞いたゼンは、諌めるようにイオリの頬をペロリと舐めるのだった。
話を聞いたポーレット公爵家騎士団の団長アイザックは開いた口が閉じる事なく唖然としていた。
「何て非常識なんだ・・・。
分かっていたが、やはりカサドは企画外だな。」
カサドの才能と仕事ぶりに驚くアイザックにイオリもヒューゴも苦笑しながら頷いた。
「カサドさんが言うには、眼帯が読み通った映像は脳に直接魔力を送って眼帯に組み込んだ魔法陣と光を反転させて・・・うんたらこうたら言ってましたけど難しくて俺にはわかりませんでした。」
ニコッと笑うイオリにアイザックは顔を顰めて頭を掻いた。
「大丈夫だ。
どうせ、俺も本人から詳しく聞いたとして分かるわけない。
それで、この奇跡をテオルド様はご存知なのか?」
「あぁ・・・いや。
後々、報告しようと思ってます。」
イオリの歯切れの悪さにアイザックは目を胡乱げに細めた。
「お前、新しいおもちゃの方が気になって報告を忘れていただろう?」
「あぁ・・・いや。
別にそんな事ないですけど・・・。」
「けど、何だ。
ほら行くぞ。
どうせ報告しなきゃいけないし、絶対に面倒な事になるんだ。
それに、単純にお喜びになる。
早く教えて差し上げろ。」
「はーい。」
不貞腐れるイオリは後ろ髪を引かれる思いで石臼を見つめた。
「大丈夫だよ。
この量だけ粉にしとくよ。
だから早くテオやヴァルトに教えてやって。」
昨夜の泣いた目の腫れが完全に引いていないスコルがニッコリと笑う。
子供達の元気な声が続く。
「ニコライにも!」
「オルガちゃんにも忘れないでね。」
「クリストフさんも絶対に喜ぶよね。」
自分の事のように喜ぶ子供達を前にイオリは機嫌を悪くしているばかりではいられない。
諦めたように微笑むとゼンを抱き上げて肩に乗せた。
「分かった。
任せるね。
あっ。俺だと説明難しいんでヒューゴさんは付いて来て下さいね。」
ヒューゴを巻き込む事は忘れないイオリは、たった今、邸から戻ってきたばかりの男にジトっとした目を向けた。
「クククッ。
分かった。
皆んな行ってくる。
危ない事するなよ。」
「「「「はーい」」」」
返事をする子供達の興味は既に石臼に移っており、飽きる事なく取手を回す儀式に戻っていった。
イオリとヒューゴを連れたアイザックが、公爵であるテオルドの執務室に入ると、そこには折よく侍従のノアとヴァルト、そして甲斐甲斐しく雑務をこなす筆頭執事のクリストフが揃っていた。
専属冒険者と騎士団長による王都への旅路についての話が終わったと思っていた4人は、思いがけずに魔導具の眼帯の話を聞かされて驚愕する事になった。
「何で早く言わない!」
報告が遅いと怒られながらも、右目が見えている事に大いに喜ばれたイオリは恥ずかしそうにハニ噛んだ。
「おいおいおい。
王都へ向かうという時に何て物を作ってくれているんだ!」
興奮冷めぬ中、最終的に頭を抱えてしまったテオルドを前にイオリは思った。
「えっ、今回は俺が悪くなくない?」
その小さな呟きを聞いたゼンは、諌めるようにイオリの頬をペロリと舐めるのだった。
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