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王都へ 〜王家領〜
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規定の時間に王家領を進むポーレット公爵家騎士団を見つめる1人の男がいた。
文官の姿だがアースガイル王家の旗を掲げ、隣に寄り添う馬には王家から与えられたハーネスと鞍をつけていた。
騎士団の先頭は男を通り過ぎて行く。
暫くすると、ポーレット公爵家のカーバンクルの紋章を付けた6頭馬車がやってきた。
馬車が止まると男は掲げていた旗を地面に突き刺し膝を付き頭を垂れた。
「久しいな。トラスト。
息災にしていたか。」
馬車から降りる事なくポーレット公爵テオルドが声を掛けると、名を呼ばれた文官は顔を上げた。
「はい。ご無沙汰しております。
ポーレット公爵閣下も御健勝の御様子。
御挨拶出来ました事、嬉しく思います。」
「うむ。
今回は領館へは行かぬと言っておいたが、何か問題でも起きたか?」
テオルドの問い掛けにトラストと呼ばれた男は懐から持っていた紙を差し出した。
「王都より閣下宛の通信で御座います。
走り書きのメモで恐縮ですが御確認を願います。」
走り書きのメモを急いで持ってきたと言うのは、それだけ急を要したのだろう。
トラストが差し出す紙を睨みつけたテオルドは馬車の側に侍っていた従者のノアに頷いた。
ノアは馬から降りるとトラストに近づき、彼が差し出した紙を受け取ると中身を確認し足早に戻るとテオルドにメモ紙を渡した。
テオルドは内容を確認すると、目を閉じ小さく溜息を吐いた。
「了解した。
急いで来てくれたのだろう。
礼を言う。」
「勿体無い御言葉です。
道中、お気をつけてお進み下さい。」
「感謝する。
・・・ニコライ、もう良いぞ。」
テオルドとトラストが形通りの会話を終えると、ニコライが馬車から飛び出した。
「トラスッ!」
満面の笑みのニコライの登場にトラストも微笑んで立ち上がった。
抱き合う2人に馬車の中のテオルドとオルガもニコニコとしている。
「トラス、久しぶりだな。
元気にしていたか?」
「元気は元気だが、仕事に忙殺されて休む暇もない。
隣接した赴任したにも関わらず、ニコライにも無沙汰していて悪いな。」
「どうせ、ギルが無茶を言っているんだろう。
でも、アイツはお前を信頼している。
我らポーレットも隣にトラスがいれば安心だ。」
「そう言ってくれると有難いよ。」
続けて馬車からヴァルトが出てきた。
「トラス。お久しぶりです。」
トラストは「やあ。」と柔かに手を上げて挨拶をした。
「兄弟揃って会えるのは役得だな。
知っているか?
王家領でもポーレット公爵家の兄弟は人気なんだ。」
「大袈裟な噂だろう?」
昔馴染みの友人との再会に喜びを隠さないニコライだった。
文官の姿だがアースガイル王家の旗を掲げ、隣に寄り添う馬には王家から与えられたハーネスと鞍をつけていた。
騎士団の先頭は男を通り過ぎて行く。
暫くすると、ポーレット公爵家のカーバンクルの紋章を付けた6頭馬車がやってきた。
馬車が止まると男は掲げていた旗を地面に突き刺し膝を付き頭を垂れた。
「久しいな。トラスト。
息災にしていたか。」
馬車から降りる事なくポーレット公爵テオルドが声を掛けると、名を呼ばれた文官は顔を上げた。
「はい。ご無沙汰しております。
ポーレット公爵閣下も御健勝の御様子。
御挨拶出来ました事、嬉しく思います。」
「うむ。
今回は領館へは行かぬと言っておいたが、何か問題でも起きたか?」
テオルドの問い掛けにトラストと呼ばれた男は懐から持っていた紙を差し出した。
「王都より閣下宛の通信で御座います。
走り書きのメモで恐縮ですが御確認を願います。」
走り書きのメモを急いで持ってきたと言うのは、それだけ急を要したのだろう。
トラストが差し出す紙を睨みつけたテオルドは馬車の側に侍っていた従者のノアに頷いた。
ノアは馬から降りるとトラストに近づき、彼が差し出した紙を受け取ると中身を確認し足早に戻るとテオルドにメモ紙を渡した。
テオルドは内容を確認すると、目を閉じ小さく溜息を吐いた。
「了解した。
急いで来てくれたのだろう。
礼を言う。」
「勿体無い御言葉です。
道中、お気をつけてお進み下さい。」
「感謝する。
・・・ニコライ、もう良いぞ。」
テオルドとトラストが形通りの会話を終えると、ニコライが馬車から飛び出した。
「トラスッ!」
満面の笑みのニコライの登場にトラストも微笑んで立ち上がった。
抱き合う2人に馬車の中のテオルドとオルガもニコニコとしている。
「トラス、久しぶりだな。
元気にしていたか?」
「元気は元気だが、仕事に忙殺されて休む暇もない。
隣接した赴任したにも関わらず、ニコライにも無沙汰していて悪いな。」
「どうせ、ギルが無茶を言っているんだろう。
でも、アイツはお前を信頼している。
我らポーレットも隣にトラスがいれば安心だ。」
「そう言ってくれると有難いよ。」
続けて馬車からヴァルトが出てきた。
「トラス。お久しぶりです。」
トラストは「やあ。」と柔かに手を上げて挨拶をした。
「兄弟揃って会えるのは役得だな。
知っているか?
王家領でもポーレット公爵家の兄弟は人気なんだ。」
「大袈裟な噂だろう?」
昔馴染みの友人との再会に喜びを隠さないニコライだった。
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