続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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王都へ 〜王家領〜

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 初めてギルバート王子と公爵子息ニコライと会話をしたトラストの学院生活は変わってしまった。

 要は気に入られたのだ。

 王子と公爵子息に毎日の様に纏わり付かれ、大好きだった読書の時間は2人と過ごす時間に変わってしまった。

 旅商人を両親に持つトラストの話を2人は興味深く聞き入っていた。
 それは、それまで出会ってきた貴族の子息女の変わり映えしない会話に比べ心湧く話だった。

 勉学を好むトラストであったが決して冗談が伝わらない生真面目すぎる男でもなかった。

 今でも学院ではギルバートとニコライが引き起こしたイタズラの逸話が幾つも残っている。
 最初の思い付きこそギルバートとニコライであるが、イタズラの作戦立案をするのはトラストだった。

 教師の部屋をお化け屋敷に変えたり、学院の校長の銅像をピースサインに変えてしまったり・・・中には蛙の飛ぶ飛距離を測ろうと廊下に大量に蛙を放すというしょうもない事もあった。

 最も、いつもしょうもない事を思い付くのはニコライであり、ポーレット領への帰省した折には息子の所業を耳にした母オルガにこっぴどく怒られたのは忘れる事の出来ない彼の思い出だ。

 勿論、王子であるギルバートの運命も似たようなもので母である王妃シシリアの説教は三日三晩続いたそうだ。

 母妃の説教が終わり解放されヘロヘロになったギルバートに父王アルフレッドが“もっと上手くやる方法”をこっそり伝授したのは、今も秘密の話だ。 

 学院時代に3人が成した大きな事で言えば、立場貴族を利用して生徒に抑圧した態度を取る教師が、不真面目にテストの採点をしているのをトラストが見抜き、逆に教師を採点する為の罠を張り大々的に公表した事件は今でも語りぐさになっている。

 日々、追いかけられて辟易していたギルバートとニコライを逃す為に学院に隠し部屋を作ってしまったのもトラストだ。

 ギルバートの侍従達やニコライの侍従エドガーとフランとも知り合いになり、彼等の弟であるディビット第二王子やヴァルトとの友情も育んできた。

 そんなトラストは学院卒業後、反論する暇も与えられずギルバート付きの文官として王城に掻っ攫われていった。

 将来の道を選ぶ隙も与えて貰えなかったトラストであったが、王子の最側近の文官として働く事も満更ではなかったようで、数々の功績を残し、文官になり数年で家名を与えられるまでに大出世した。

 その家名は“ブレイン”

 賢い忠義者に与えられる名誉ある名であり、一代騎士伯の誕生だった。

 その後も王太子となったギルバートの頭脳として活躍したトラスト・ブレインであったが、ギルバートが父王アルフレッドより王家領の運営を任されたのを機に代官として赴任する事になった。

 王家領の小麦の収穫量が年々上がっている事を鑑みれば、彼の優秀さが分かるだろう。

 
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