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王都へ 〜王家領〜
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友人との再会に喜ぶニコライであったが、トラストが時間を作ってまで馬を飛ばしてきた理由には眉間に皺を寄せた。
「“自惚れクラウン”の父親が死んだ?」
それにはヴァルトの顔付きも厳しくなる。
“明けない魔の森”の魔獣の子を誘拐し売買に関わっていた最重要な容疑者だったからだ。
「王都の騎士団の牢に入れられていたそうだ。
報告では剣で喉を切り裂かれての絶命と聞いている。
内部の犯行の可能性が高い事から、王命で調査が進められている。
組織だった犯罪である事は間違いない。
ならば、その糸口を掴んだポーレット公爵閣下は狙われる事も考えるべきだろう。
まずは王都まで無事に着く事を祈っている。」
ーーー道中、王家領で襲われる事があれば誰だろうと反撃をしてよい。
国王からの言葉であった。
直接テオルドに通信の魔道具で連絡して来なかったのは、正式な許可である事を代官トラストを通じて証明する為だろう。
「王家領の領館には既に数家の貴族が集まっている。
ポーレット公爵家が来るのを鼻の下を伸ばして待っているが、俺が止めておく。
早々に王城に向かうのが良いだろう。」
「分かった。
急ぐ旅としよう。」
「ギルには北方のイルツク領主アナスタシア・ギロック伯爵から警告があったそうだ。
彼の地に集まる貴族の中で娘をギルの側室・・あわよくば正妃にと望んでいる阿呆がいるそうだ。
北方で仲間を募ろうと画策しているらしい。」
トラストの面倒臭そうな言い方にニコライとヴァルトは苦笑した。
「この後に及んでというところですね。
ギル兄はあれでいて相当オーブリーに惚れていますよ。
キレなきゃ良いですけどね。」
「もう、キレたらキレたで良いだろう。
今だにギルが、優しい貴公子だと思っている輩もいるようだが、アレは虎の子だぞ。
もう隠す必要もない。」
見た目と物腰の柔らかさから、王子様として人気のギルバート王太子であるが、彼等からしたら鋭い爪を隠しいた猛獣以外何者でもない。
3人は顔を見合わせてクスクスと笑った。
「そうだ。
ニコライ。
お前の所の黒い狼に会わせてくれないか?」
トラストの願いにニコライは頷き一緒に歩き出した。
「我が家の馬車の片隅に停まっているのがイオリの馬車だ。
まだ起きていると良いが・・・。」
「なんだ、護衛が寝ているのか?」
トラストの揶揄いにニコライは笑い、ヴァルトは申し訳なさそうに眉を下げた。
「そう言わないでやって下さい。
旅中の魔獣相手に料理、加えて徹夜で見張りをしていたんです。
今は休ませてるんですよ。
それに、御者席に座っているヒューゴもSランク冒険者ですし、同行している子供達も高ランク冒険者です。」
イオリがヴァルトのお気に入りだと知っているトラストはニコニコと頷き肩をポンポンと叩いた。
「ヒューゴ。
イオリは起きてるかい?」
ニコライが声をかけるとヒューゴが肩を竦めた。
「寝てますね。
何か問題ありですか?」
「まぁ、そんな所だが、まずは友人を紹介したくてね。」
そんなニコライの言葉に反応し馬車の至る所から可愛い顔が飛び出してきた。
「「「「友人!?」」」」
「“自惚れクラウン”の父親が死んだ?」
それにはヴァルトの顔付きも厳しくなる。
“明けない魔の森”の魔獣の子を誘拐し売買に関わっていた最重要な容疑者だったからだ。
「王都の騎士団の牢に入れられていたそうだ。
報告では剣で喉を切り裂かれての絶命と聞いている。
内部の犯行の可能性が高い事から、王命で調査が進められている。
組織だった犯罪である事は間違いない。
ならば、その糸口を掴んだポーレット公爵閣下は狙われる事も考えるべきだろう。
まずは王都まで無事に着く事を祈っている。」
ーーー道中、王家領で襲われる事があれば誰だろうと反撃をしてよい。
国王からの言葉であった。
直接テオルドに通信の魔道具で連絡して来なかったのは、正式な許可である事を代官トラストを通じて証明する為だろう。
「王家領の領館には既に数家の貴族が集まっている。
ポーレット公爵家が来るのを鼻の下を伸ばして待っているが、俺が止めておく。
早々に王城に向かうのが良いだろう。」
「分かった。
急ぐ旅としよう。」
「ギルには北方のイルツク領主アナスタシア・ギロック伯爵から警告があったそうだ。
彼の地に集まる貴族の中で娘をギルの側室・・あわよくば正妃にと望んでいる阿呆がいるそうだ。
北方で仲間を募ろうと画策しているらしい。」
トラストの面倒臭そうな言い方にニコライとヴァルトは苦笑した。
「この後に及んでというところですね。
ギル兄はあれでいて相当オーブリーに惚れていますよ。
キレなきゃ良いですけどね。」
「もう、キレたらキレたで良いだろう。
今だにギルが、優しい貴公子だと思っている輩もいるようだが、アレは虎の子だぞ。
もう隠す必要もない。」
見た目と物腰の柔らかさから、王子様として人気のギルバート王太子であるが、彼等からしたら鋭い爪を隠しいた猛獣以外何者でもない。
3人は顔を見合わせてクスクスと笑った。
「そうだ。
ニコライ。
お前の所の黒い狼に会わせてくれないか?」
トラストの願いにニコライは頷き一緒に歩き出した。
「我が家の馬車の片隅に停まっているのがイオリの馬車だ。
まだ起きていると良いが・・・。」
「なんだ、護衛が寝ているのか?」
トラストの揶揄いにニコライは笑い、ヴァルトは申し訳なさそうに眉を下げた。
「そう言わないでやって下さい。
旅中の魔獣相手に料理、加えて徹夜で見張りをしていたんです。
今は休ませてるんですよ。
それに、御者席に座っているヒューゴもSランク冒険者ですし、同行している子供達も高ランク冒険者です。」
イオリがヴァルトのお気に入りだと知っているトラストはニコニコと頷き肩をポンポンと叩いた。
「ヒューゴ。
イオリは起きてるかい?」
ニコライが声をかけるとヒューゴが肩を竦めた。
「寝てますね。
何か問題ありですか?」
「まぁ、そんな所だが、まずは友人を紹介したくてね。」
そんなニコライの言葉に反応し馬車の至る所から可愛い顔が飛び出してきた。
「「「「友人!?」」」」
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