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王都 〜再会〜
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「ギルド協会について教えて下さい。」
そう言ったイオリにロスの口端が上がった。
「バートから聞いたんだな?」
「はい。
ギルド協会の成り立ちと、現在の立ち位置について教えて貰っています。
でも、現在のギルド協会については、まだ疎い事は確かです。」
イオリは、今回の件にギルド協会とやらが協力的なのか、邪魔だてしてくるのか、それを知りたかった。
「ふむ。分かった。
私で良ければ教えよう。
現在のギルド協会の会長の名はジュン・ジエンという。
アースガイルより東方に位置する小国出身だ。
国土こそ小さいが、国の半分は鉱山で、その一部はダンジョンでもある。
鉱物の産出量は世界有数を誇り、国民1人1人の所得が高く、他国からの出稼ぎ者も多い。
ジュン・ジエンという男は、この国の綿や絹の卸売を生業にし、自国に限らず他国への顔も広い。
一見穏やかに見えるが、交渉の際は非常にタフで粘り強い。
正直、ギルド協会というものへ献身的かと問われれば違うと思う。
あくまでも、自国の経済に対する1つの要素であると考えている節がある。」
ロスは紅茶に口をつけると一呼吸置いた。
「小さな国で特産の鉱物ではなく綿や絹の卸売業か・・・。」
そう呟いたスコルにロスは意地悪そうな顔で微笑んだ。
「少年。
商売とは、そう単純なものではない。
先程、私は国民の1人1人の所得が高いと言っただろう。
言わば、国民の殆どが金持ちと言う事だ。
贅を極めようと思えば、いくらでも金を出すのさ。
特産で儲けるばかりが商売ではない。
その周囲に存在する商機にも着目する必要がある。
最も、ジュン・ジエンというよりも彼の数代前の時代には既に綿の卸売業を始めていたそうだ。
彼自身も歳を取り、店を次世代へ引き継ぎ数年経っている。
今回の事件に首を突っ込もうとしているのも、あくまで形骸的で、わざわざ我々の邪魔をする気はないだろう。
伝えておくと、現在この時間、我が父アーベルと会談中だ。
あちらの思惑の一端でも握ってくるはずだよ。」
ロスは振り返ると立っていた秘書のリロイを手招いた。
リロイはロスの求めているものが最初から分かっていたかのように木箱を運んできた。
そしてロスの前に静かに置くと木箱を開けて、クルリとイオリ達の方へ向けて中身を見せた。
「・・・これは何です?」
木箱の中には持ち手が丸くなっている小ぶりのドアノブが入っていた。
ドアノブの握る部分には丸カンの様な穴があり、わざわざチェーンを付けられている仕様だ。
何でこんな物を見せられているのだと視線で問うイオリにロスは口を開いた。
「今回、騎士団の牢に捉えられていた男達が揃って所有していた物だ。
何か特別な意味があるらしい。
これ、一体何だと思う?」
そう言ったイオリにロスの口端が上がった。
「バートから聞いたんだな?」
「はい。
ギルド協会の成り立ちと、現在の立ち位置について教えて貰っています。
でも、現在のギルド協会については、まだ疎い事は確かです。」
イオリは、今回の件にギルド協会とやらが協力的なのか、邪魔だてしてくるのか、それを知りたかった。
「ふむ。分かった。
私で良ければ教えよう。
現在のギルド協会の会長の名はジュン・ジエンという。
アースガイルより東方に位置する小国出身だ。
国土こそ小さいが、国の半分は鉱山で、その一部はダンジョンでもある。
鉱物の産出量は世界有数を誇り、国民1人1人の所得が高く、他国からの出稼ぎ者も多い。
ジュン・ジエンという男は、この国の綿や絹の卸売を生業にし、自国に限らず他国への顔も広い。
一見穏やかに見えるが、交渉の際は非常にタフで粘り強い。
正直、ギルド協会というものへ献身的かと問われれば違うと思う。
あくまでも、自国の経済に対する1つの要素であると考えている節がある。」
ロスは紅茶に口をつけると一呼吸置いた。
「小さな国で特産の鉱物ではなく綿や絹の卸売業か・・・。」
そう呟いたスコルにロスは意地悪そうな顔で微笑んだ。
「少年。
商売とは、そう単純なものではない。
先程、私は国民の1人1人の所得が高いと言っただろう。
言わば、国民の殆どが金持ちと言う事だ。
贅を極めようと思えば、いくらでも金を出すのさ。
特産で儲けるばかりが商売ではない。
その周囲に存在する商機にも着目する必要がある。
最も、ジュン・ジエンというよりも彼の数代前の時代には既に綿の卸売業を始めていたそうだ。
彼自身も歳を取り、店を次世代へ引き継ぎ数年経っている。
今回の事件に首を突っ込もうとしているのも、あくまで形骸的で、わざわざ我々の邪魔をする気はないだろう。
伝えておくと、現在この時間、我が父アーベルと会談中だ。
あちらの思惑の一端でも握ってくるはずだよ。」
ロスは振り返ると立っていた秘書のリロイを手招いた。
リロイはロスの求めているものが最初から分かっていたかのように木箱を運んできた。
そしてロスの前に静かに置くと木箱を開けて、クルリとイオリ達の方へ向けて中身を見せた。
「・・・これは何です?」
木箱の中には持ち手が丸くなっている小ぶりのドアノブが入っていた。
ドアノブの握る部分には丸カンの様な穴があり、わざわざチェーンを付けられている仕様だ。
何でこんな物を見せられているのだと視線で問うイオリにロスは口を開いた。
「今回、騎士団の牢に捉えられていた男達が揃って所有していた物だ。
何か特別な意味があるらしい。
これ、一体何だと思う?」
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