続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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王都 〜王城・側妃騒動〜

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 馬車を降りて見上げる王城はいつも壮観だ。

 シェイムレス伯爵は妻と娘をエスコートすると、案内を務める騎士の後に付いて歩いた。

 長い長い廊下、音といえば歩む自分達の足音だけ。
 
 いつもは進む事の出来ない国王の執務室へ続く廊下にはズラリと騎士が並び訪問者に威圧を与えていた。

 王城に呼び出されたと喜んでいたシェイムレス伯爵夫婦は、此処にきて初めて心細くなったのかピッタリと寄り添っている。

「こちらで国王陛下がお待ちです。
 御令嬢はもう暫く先の庭園で皇太子殿下がお待ちです。」

 案内役の騎士がカシャンと鎧の音を立てシェイムレス伯爵に向き直った。

「えっ?」

 娘と引き離される事に驚き、思わずシェイムレス伯爵夫人ヘーゼルが声を出した。

「皇太子様が娘を待っている?」

 嬉しそうに顔を綻ばしたのは夫である伯爵だ。

 必要以上の会話を良しとしない騎士は側に立っていた侍女に声を掛けると、プティの案内を命じた。

 どうすれば良いのかと両親の顔を交互に見るプティにシェイムレス伯爵は満面の微笑みを浮かべた。

「行きなさい。皇太子様にしっかりと挨拶するんだ。」

「はい。お父様。」

「私は心配です。
 私も同行は叶いませんか?」

 あんなに娘の出来上がりに満足そうだったのに、今は何か過ちがないかと不安そうに娘の衣装に目を凝らし夫人が騎士に懇願する。

「国王陛下は御夫婦との面会を御希望です。」

 キッパリと拒絶する騎士にシェイムレス伯爵夫人ヘーゼルは不満そうながら頷き、娘を送り出した。

 優しそうな侍女に誘われたプティは時折振り返りながらも去って行く。

「シェイムレス伯爵夫婦が到着した。
 国王陛下との面会の許可はある。」

 案内役の騎士は扉を守る騎士に伝えると、ノックをした。

 扉がゆっくりと開け放たれると、シェイムレス伯爵夫婦は眩しさに一瞬目を閉じた。

「宰相閣下。
 シェイムレス伯爵並びに奥方をお連れいたしました。」

「分かりました。
 どうぞ、お入りください。」

 出て来たのが宰相と知り、夫婦は身を固くした。

 国王の右腕であり、国随一の優秀さを誇る宰相グレン・ターナー侯爵。

 緊張する自分達とは全く異なり、人が訪れるのが当たり前のようで、訪れた伯爵に対しても特別に感情を見せるわけでもなかった。

「陛下は暫くしたら参ります。
 先に座ってお待ちください。」

 仕事の1つをこなす様に、クルッと背を向けたグレン・ターナーの後をシェイムレス伯爵夫婦は続く。

 国王陛下が来るまで少しばかりでも時間がある。
 座らせてもらって落ち着こうと考えていた。
 だが、そんな少しの甘えも許されなようだ。
 
 柔らかくまったりとした軽やかな声が聞こえた。

「あら、お客様がいらしたのですね。
 ようこそ。」

 それは夫婦が今まで見た事もない程に美しい王妃シシリアだった。




 
 
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