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3.魔法学院3年生 前編
(60).魔法学院のパーティー
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留学生たちは順調に学院に馴染んできた。
たまに寮の側の広場で1年生と一緒に自主練をしていると聞く。クレイグたちとしてきたことが、学院の歴史に繋がっているようで嬉しい。
数日後、留学生3人とソフィアは向き合っていた。
社交パーティーの招待状を直接渡すためである。
「皆さんお久しぶりです。学院はどうですか?」
本題に入る前に、様子を知りたいと思い会話を試みる。
「めちゃくちゃ楽しいです。魔法もいっぱい知れるし、精霊とも仲良くなりました。」
そう嬉しく話すリュディガーは、端正な顔立ちも含め人懐っこい性格から、学年問わず人気があるらしい。
「リュディガー様、敬語を。改めて、留学許可を頂きありがとうございました。学びが多くて、刺激のある毎日です。」
(歳下なのに、立派な挨拶だわ。)
「ダレン君はどうかしら?学院楽しい?」
彼は無言で頷く。長い前髪の隙間から見える眼差しはまっすぐとソフィアを見つめていた。
(話せるように、打ち解けていかなきゃな)
しばらく会話をしたのち、パーティーの招待状を渡す。
3人は招待状を眺めて固まってしまった。
「堅苦しいパーティーにはならないから安心して。学生と卒業生が参加者で、みんなの交流が目的のパーティーなの。ゲームも予定してるし、話すのが嫌なら、食事をしに行くとでも思ってもらえれば。」
(3人とも参加してくれるかしら…)
数日後、学院主体の社交パーティーが開かれた。
講堂を貸切にして配置を変え、王宮さながらに会場を整えてある。
学院長と共にサプライズとして、陛下と皇后が登場する予定だ。
「先輩、ここにおられたんですね。」
「クレイグ?どうしたの?」
「ランベール様が到着されました。先輩探してましたよ。」
「ほんと?すぐに向かうわ。」
控室に入ると後ろからギュッと抱きしめられた。
「ランベール様?」
「会いたかった…」
ここ最近、準備で忙しいソフィアと、政務で忙しいランベールは会う時間がとれずにいた。
パーティーでは会えるから、と割り切っていたがこうして会うと切なくなる。
そっと腕に自分の腕を絡ませ顔を埋めながら言う。
「…私もです。」
「…このままここにいちゃダメかな?」
「多分、クレイグが呼びに来ます。」
「…仕方ないか。時間が足りないな。」
残念そうに笑うランベールの目元は、くまが酷かった。
2人で会場へと戻ると学生たちは集まってきていた。キョロキョロと見渡すと留学生3人もちゃんと来ているようだ。
目が合ったクレイグに留学生たちを連れて来てもらい、ランベールと挨拶を交わす。
「こちらがセウブ国王太子、ランベール様です。こちらの3人が今回の留学生です。ガンダルグ国からリュディガー様とイアン様、ヴィレス国からダレン様です。ご挨拶を。」
「ガンダルグ国王太子リュディガーと申します。この度は交換留学のお話を頂き、ありがとうございました。」
「同じくガンダルグ国から参りました、リュディガー様の従者をしております、イアンです。ご挨拶の機会を賜り、ありがとうございます。」
「…ヴィレス国のダレンです。魔法が学べるのは嬉しいです。ありがとうございます。」
「セウブ国王太子ランベールです。3人とも優秀でメキメキと力を付けていると聞く。せっかくの社交の機会だ。学生たちとも仲良くなって欲しい。長期休暇では王宮でのパーティーに一緒に参加してもらうことになるだろう。他国との顔つなぎにはお互い協力出来るだろう。よろしくお願いするよ。」
「「「はい。」」」
「ちなみに、ソフィアは僕の婚約者でよその国に行く予定はないから興味はもたないでね。」
「ランベール様、それは言わないでいいです。」
焦るソフィアの様子を楽しそうに見るランベール。
それを見ながら3人は、
「「「………はい。」」」
と、答えるしかなかった。
若干1名、この念押しに少し悔しそうにしたものがいるが、気のせいだろう。
陛下や皇后も到着し、パーティー開始の挨拶が始まった。
パーティーも中盤になり、ダンスを踊るものや食事を楽しむものそれぞれだが、みな手を止め壇上の司会者に視線が向かう。
普段の夜会ならないのだが、今回特別のイベントとしてゲームが始まるのだ。
会場の受付では男女別に番号が渡されている。番号の裏には暗号があり、男女ペアを組むと暗号が完成する。
暗号は場所を示しているので、そこに隠されている番号の入った水晶玉を見つけるとゴールとなる。
早かった3着までは豪華景品が用意されていた。ペアを見つけないと暗号が分からないというのが大事な所である。男女ペアで協力しないとゴール出来ない。
他者に攻撃しないというルールの上で、魔法の使用は許可されている。魔法学院なので。
王族の方々には審判をお願いしている。各地に準備されている監視用の水晶玉で会場をチェックしてもらい、不正がないか、安全か、確認してもらいながらゴールで待機してもらう。
この企画を上げた時、陛下も皇后も参加したがって大変だった。でも、例えば2人が参加したとして、ペアの番号はランダムなのである。
相手となる学生が可哀想だし、王族の参加に戸惑う生徒は多数だろう。
また次の機会に、と説得して審判に納得してもらうまで必死に説得した。本当はソフィアも審判の予定だったのだが、男女数の都合上参加せざるを得ず、今現在羨ましがられている。
(景品は学生が貰ったら嬉しいものなんです。お2人が貰っても困りますよ。)
熱い視線を受けながらスタートの中庭へ進む。
卒業生なので兄やランベールも参加である。知らない卒業生と組む可能性もあるので、社交性のないソフィアは出来れば後輩か同級生がいいなと思っていた。
周りを見ると意外とみんな楽しそうにしている。
(パーティーの企画としては成功かな?問題が起きませんように。)
中庭に始まりの合図として魔法花火が上がる。特製花火で、制限時間が時計で上空に表示されるのだ。どこにいても時計が見えるように角度を調整するよう、特殊な魔法が組み込まれている。
どこからともなく音楽が鳴り始め、イベントが開始された。
たまに寮の側の広場で1年生と一緒に自主練をしていると聞く。クレイグたちとしてきたことが、学院の歴史に繋がっているようで嬉しい。
数日後、留学生3人とソフィアは向き合っていた。
社交パーティーの招待状を直接渡すためである。
「皆さんお久しぶりです。学院はどうですか?」
本題に入る前に、様子を知りたいと思い会話を試みる。
「めちゃくちゃ楽しいです。魔法もいっぱい知れるし、精霊とも仲良くなりました。」
そう嬉しく話すリュディガーは、端正な顔立ちも含め人懐っこい性格から、学年問わず人気があるらしい。
「リュディガー様、敬語を。改めて、留学許可を頂きありがとうございました。学びが多くて、刺激のある毎日です。」
(歳下なのに、立派な挨拶だわ。)
「ダレン君はどうかしら?学院楽しい?」
彼は無言で頷く。長い前髪の隙間から見える眼差しはまっすぐとソフィアを見つめていた。
(話せるように、打ち解けていかなきゃな)
しばらく会話をしたのち、パーティーの招待状を渡す。
3人は招待状を眺めて固まってしまった。
「堅苦しいパーティーにはならないから安心して。学生と卒業生が参加者で、みんなの交流が目的のパーティーなの。ゲームも予定してるし、話すのが嫌なら、食事をしに行くとでも思ってもらえれば。」
(3人とも参加してくれるかしら…)
数日後、学院主体の社交パーティーが開かれた。
講堂を貸切にして配置を変え、王宮さながらに会場を整えてある。
学院長と共にサプライズとして、陛下と皇后が登場する予定だ。
「先輩、ここにおられたんですね。」
「クレイグ?どうしたの?」
「ランベール様が到着されました。先輩探してましたよ。」
「ほんと?すぐに向かうわ。」
控室に入ると後ろからギュッと抱きしめられた。
「ランベール様?」
「会いたかった…」
ここ最近、準備で忙しいソフィアと、政務で忙しいランベールは会う時間がとれずにいた。
パーティーでは会えるから、と割り切っていたがこうして会うと切なくなる。
そっと腕に自分の腕を絡ませ顔を埋めながら言う。
「…私もです。」
「…このままここにいちゃダメかな?」
「多分、クレイグが呼びに来ます。」
「…仕方ないか。時間が足りないな。」
残念そうに笑うランベールの目元は、くまが酷かった。
2人で会場へと戻ると学生たちは集まってきていた。キョロキョロと見渡すと留学生3人もちゃんと来ているようだ。
目が合ったクレイグに留学生たちを連れて来てもらい、ランベールと挨拶を交わす。
「こちらがセウブ国王太子、ランベール様です。こちらの3人が今回の留学生です。ガンダルグ国からリュディガー様とイアン様、ヴィレス国からダレン様です。ご挨拶を。」
「ガンダルグ国王太子リュディガーと申します。この度は交換留学のお話を頂き、ありがとうございました。」
「同じくガンダルグ国から参りました、リュディガー様の従者をしております、イアンです。ご挨拶の機会を賜り、ありがとうございます。」
「…ヴィレス国のダレンです。魔法が学べるのは嬉しいです。ありがとうございます。」
「セウブ国王太子ランベールです。3人とも優秀でメキメキと力を付けていると聞く。せっかくの社交の機会だ。学生たちとも仲良くなって欲しい。長期休暇では王宮でのパーティーに一緒に参加してもらうことになるだろう。他国との顔つなぎにはお互い協力出来るだろう。よろしくお願いするよ。」
「「「はい。」」」
「ちなみに、ソフィアは僕の婚約者でよその国に行く予定はないから興味はもたないでね。」
「ランベール様、それは言わないでいいです。」
焦るソフィアの様子を楽しそうに見るランベール。
それを見ながら3人は、
「「「………はい。」」」
と、答えるしかなかった。
若干1名、この念押しに少し悔しそうにしたものがいるが、気のせいだろう。
陛下や皇后も到着し、パーティー開始の挨拶が始まった。
パーティーも中盤になり、ダンスを踊るものや食事を楽しむものそれぞれだが、みな手を止め壇上の司会者に視線が向かう。
普段の夜会ならないのだが、今回特別のイベントとしてゲームが始まるのだ。
会場の受付では男女別に番号が渡されている。番号の裏には暗号があり、男女ペアを組むと暗号が完成する。
暗号は場所を示しているので、そこに隠されている番号の入った水晶玉を見つけるとゴールとなる。
早かった3着までは豪華景品が用意されていた。ペアを見つけないと暗号が分からないというのが大事な所である。男女ペアで協力しないとゴール出来ない。
他者に攻撃しないというルールの上で、魔法の使用は許可されている。魔法学院なので。
王族の方々には審判をお願いしている。各地に準備されている監視用の水晶玉で会場をチェックしてもらい、不正がないか、安全か、確認してもらいながらゴールで待機してもらう。
この企画を上げた時、陛下も皇后も参加したがって大変だった。でも、例えば2人が参加したとして、ペアの番号はランダムなのである。
相手となる学生が可哀想だし、王族の参加に戸惑う生徒は多数だろう。
また次の機会に、と説得して審判に納得してもらうまで必死に説得した。本当はソフィアも審判の予定だったのだが、男女数の都合上参加せざるを得ず、今現在羨ましがられている。
(景品は学生が貰ったら嬉しいものなんです。お2人が貰っても困りますよ。)
熱い視線を受けながらスタートの中庭へ進む。
卒業生なので兄やランベールも参加である。知らない卒業生と組む可能性もあるので、社交性のないソフィアは出来れば後輩か同級生がいいなと思っていた。
周りを見ると意外とみんな楽しそうにしている。
(パーティーの企画としては成功かな?問題が起きませんように。)
中庭に始まりの合図として魔法花火が上がる。特製花火で、制限時間が時計で上空に表示されるのだ。どこにいても時計が見えるように角度を調整するよう、特殊な魔法が組み込まれている。
どこからともなく音楽が鳴り始め、イベントが開始された。
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