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婚約者をドM育成してしまった
しおりを挟む悪役令嬢の行く末は死亡ENDのみ。
そんな乙女ゲームの世界によりにもよって、悪役令嬢として転生した。
最初は自分の不運を呪った。次は婚約しなくて済むように手を尽くした。それも叶わず婚約させられると、ゲームが始まる前に婚約破棄をされるよう頑張った。その結果──。
「あぁ!! もっと、もっとそのまるで虫を見るかのような目で私をもっと見てくれ!!」
「シュナイパー様、遂に頭に蛆でもわかれたのでしょうか……。王族とあろう方が言葉もまともに話もできないとは。お痛ましい」
「お痛ましい!! お労わしいではなく、お痛ましい!! エリザベート、君はなんて私を喜ばせる天才なんだ!!」
──ドがつくほどのマゾヒストを私は育てあげてしまった。
乙女ゲームのエリザベートは元々シュナイパーに愛されたくて仕方がない、愛に飢えた女の子だった。
愛されたくて、愛されたくて、愛されたくて……。愛されるヒロインに嫉妬した挙げ句、どのルートでもヒロインを虐げ、毒を盛って暗殺しようとする。
その結末を知っている私がシュナイパーに惹かれることなんて、当然なかった。だから、常にシュナイパーの上に立ち、蔑み、馬鹿にし、嫌われて婚約破棄をされようと思った。
子ども相手になぜこんなことをするかって? そんなの間違っても愛を求めて嫌われるなんてこと、演技でもしたくなかったからだ。
もちろん、私だって最初からそんなことをしようと思ったわけではない。それとなく嫌な女だと思わせ、能力が足りないからと婚約破棄に至ろうと思っていた。
それなのに、こいつは私の可愛い黒豆を的にしたのだ。
黒豆は、私に唯一優しくしてくれた乳母が手作りで作ってくれた黒猫のぬいぐるみだ。前世で飼っていた愛しの猫ちゃん……黒豆にそっくりに作ってくれた世界で一つだけしかない私の宝物。
どんなお宝や宝石よりも大切な私の黒豆。それをあの糞王子はアーチェリーの的にしやがったのだ。
だから、初めて出会ったその人に彼の高くなった鼻をへし折り、無駄な自尊心をボコボコにしてやった。私が十歳、彼が十二歳の時だった。
それからというもの、しばらくは色んな勝負を挑まれ続けた。勉学はもちろん、武術でも負けなかった。
最悪の場合は国外逃亡をしようと赤子の頃より鍛えていた私と、ぬるま湯で育った性格の捻れまくったボンボン王子とでは二歳差があったとしても、全ての実力が雲泥の差だった。
負かす度に罵り、蔑み、馬鹿にし続けるという大人げないことをし続け、現在に至る。というわけだ。
もう、泣きたい。こんな婚約者イヤだ。
元々は二歳下の婚約者の宝物をアーチェリーの的にする糞ガキで、今は私の従順な下僕になりたいと願ってくるドM。
誰か嘘だと言ってくれ、マジで。
そんな関係を崩せぬまま、ゲームが開始される年齢になった。だが、私が登場するのはラスボス的扱いなのか、最後の一年だけ。
シュナイパーに会わなくても良い二年間は快適だった。だが、それも今日までだ。
私はシュナイパーに会いたくないという気持ちと、さっさとヒロインとくっついて私を解放してくれ……という気持ちを抱え、学園に入学した。
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