5 / 47
プロローグ
警戒2
しおりを挟む
嫌い。αは嫌い。運命の相手なんて嫌だ。
でも、あいつの匂いは凄く安心する優しくて甘い匂いがしたんだ。
抱きしめられる時の安心感。
それがΩのαに対する信頼と愛情だと思う。
もしかしたら錯覚かもしれない。俺達は、まだ未成熟で未発達な心と身体をしているから。だからこそ思う。それは心を置いてけぼりにする身体と魂からの信頼だって。本能的なモノだ。それは俺にとってすごく怖い。自分がΩである事を見せつける様な、そんな感情が身体と心を支配する。
きっと拓人もそうなんだろう。
だからこそ、俺を求めるんだ。求めて求めて。そうして己のモノにしないと治らない症状。アイツの本心では無い。本心から求めてるわけでは無い。
強制的に、運命が俺達を結ばせようとしているんだ。
そんなの‥そんなのなら要らない。
運命なんて関係なければ良いのに。
こんなので捻じ曲げられるなら出会いたくなかった。
俺はαは嫌いだ。運命なんて要らない。あいつが悪いわけでは無いけれど‥。警戒しなければいけない相手なんだ。
だから、突き放す。
「俺は死んでもアンタを好きにならない。帰ってくれ。」
そうして、その日を境に卒業するまで、拓人は俺に直接は会わなくなった。
それから数ヶ月‥
中学を無事に卒業し‥。
俺達は、高校生になった。
俺のα嫌いは相変わらずのものだ。
社会に出れば、否応無しに更にαに会う事もあるだろう。そうなれば更に引き篭もりに拍車がかかる。との事で、リハビリの為にαやΩが比較的に多い所の高校に入らされた。
何故なんだ。
何故、また奴が居るんだ。
「‥久しぶり。」
顔が見れない。
「ん。久しぶり‥。」
そう返すのがやっとだった。
拓人は会った頃より、もっと身長が伸びた。10cmくらい?対する俺は、3cmしか伸びてない。
身体もがっしりしてきて運動系の部活でもやっていたのだろうか?
運命の相手らしいのに何も知らない。
だって俺は、この数ヶ月の間、拓人を知ろうとしなかった。
俺達の空白の数ヶ月間は、本当に顔を一度も見ていなかったわけではない。インターネット上では、偶に拓人からではあったが、話をしたりはしていたし、オンライントゲームでパートナーになったりもした。
ゲームならば、俺の方が強いみたいで、色々な事を教えた。
誰にも言えないけれど、αに教えるのは優越感がある。
気さくで飾らなく、その時間は確かに、友情を感じたし楽しめた。
番にならないのだったら、友達としてならば、会っても良いと思ったんだ。だがしかしそれはネット上だけの話である。
だから直に会うと緊張してしまう。
しかも久しぶりに会うのが、入学式の日だなんて、思いもしなかった。
なんで、俺の玄関前に拓人が待っているのでしょうか?
「おはよう!あおい。一緒に行こう。」
ニコリと笑顔を浮かべる拓人。
「なんで、いるの‥。」
「あれ?聞いてない?俺達、同じ学校だよ。」
聞いてない。いや、そういえば昨日、母さんがなんか言ってた様な気がしたけど聞いてなかった。
そうして青褪めてる俺に拓人が手を引いて、仲良く朝から手を繋いで登校することになった。
その間も、拓人は終始ご機嫌な笑顔を浮かべていた。
「俺達、そこそこ仲良くなったと思うんだ。もっと、親睦を深めよう。」
途中、そんな事を拓人が言っていた気がする。
やっぱり、油断しては行けない相手だった。
「親睦ならネット上で良いよ。俺はもう帰りたい‥。」
春、寒かった冬が終わり、新しい新生活に胸を躍らせる、皆が心を踊らせる太陽が眩しく晴れた暖かい日だった。
そんな高校生活初日目にして、もう俺の心は、引き篭もりたい気分に陥った。
そんな俺とは対照的に、とても嬉しそうな拓人。まるでこのまま歌でも歌い出しそうな勢いだ。
俺達は側から見ればどんな風に映っているのだろうか。
まあ、聞くまでも無いだろう。手をしっかり繋いでの登校だから仲良く見えているのだろうな‥。
そんな俺達に、春の微風が優しく吹き抜けた。
___
2021年4月7日更新
2022年1月19日文章編集完了
でも、あいつの匂いは凄く安心する優しくて甘い匂いがしたんだ。
抱きしめられる時の安心感。
それがΩのαに対する信頼と愛情だと思う。
もしかしたら錯覚かもしれない。俺達は、まだ未成熟で未発達な心と身体をしているから。だからこそ思う。それは心を置いてけぼりにする身体と魂からの信頼だって。本能的なモノだ。それは俺にとってすごく怖い。自分がΩである事を見せつける様な、そんな感情が身体と心を支配する。
きっと拓人もそうなんだろう。
だからこそ、俺を求めるんだ。求めて求めて。そうして己のモノにしないと治らない症状。アイツの本心では無い。本心から求めてるわけでは無い。
強制的に、運命が俺達を結ばせようとしているんだ。
そんなの‥そんなのなら要らない。
運命なんて関係なければ良いのに。
こんなので捻じ曲げられるなら出会いたくなかった。
俺はαは嫌いだ。運命なんて要らない。あいつが悪いわけでは無いけれど‥。警戒しなければいけない相手なんだ。
だから、突き放す。
「俺は死んでもアンタを好きにならない。帰ってくれ。」
そうして、その日を境に卒業するまで、拓人は俺に直接は会わなくなった。
それから数ヶ月‥
中学を無事に卒業し‥。
俺達は、高校生になった。
俺のα嫌いは相変わらずのものだ。
社会に出れば、否応無しに更にαに会う事もあるだろう。そうなれば更に引き篭もりに拍車がかかる。との事で、リハビリの為にαやΩが比較的に多い所の高校に入らされた。
何故なんだ。
何故、また奴が居るんだ。
「‥久しぶり。」
顔が見れない。
「ん。久しぶり‥。」
そう返すのがやっとだった。
拓人は会った頃より、もっと身長が伸びた。10cmくらい?対する俺は、3cmしか伸びてない。
身体もがっしりしてきて運動系の部活でもやっていたのだろうか?
運命の相手らしいのに何も知らない。
だって俺は、この数ヶ月の間、拓人を知ろうとしなかった。
俺達の空白の数ヶ月間は、本当に顔を一度も見ていなかったわけではない。インターネット上では、偶に拓人からではあったが、話をしたりはしていたし、オンライントゲームでパートナーになったりもした。
ゲームならば、俺の方が強いみたいで、色々な事を教えた。
誰にも言えないけれど、αに教えるのは優越感がある。
気さくで飾らなく、その時間は確かに、友情を感じたし楽しめた。
番にならないのだったら、友達としてならば、会っても良いと思ったんだ。だがしかしそれはネット上だけの話である。
だから直に会うと緊張してしまう。
しかも久しぶりに会うのが、入学式の日だなんて、思いもしなかった。
なんで、俺の玄関前に拓人が待っているのでしょうか?
「おはよう!あおい。一緒に行こう。」
ニコリと笑顔を浮かべる拓人。
「なんで、いるの‥。」
「あれ?聞いてない?俺達、同じ学校だよ。」
聞いてない。いや、そういえば昨日、母さんがなんか言ってた様な気がしたけど聞いてなかった。
そうして青褪めてる俺に拓人が手を引いて、仲良く朝から手を繋いで登校することになった。
その間も、拓人は終始ご機嫌な笑顔を浮かべていた。
「俺達、そこそこ仲良くなったと思うんだ。もっと、親睦を深めよう。」
途中、そんな事を拓人が言っていた気がする。
やっぱり、油断しては行けない相手だった。
「親睦ならネット上で良いよ。俺はもう帰りたい‥。」
春、寒かった冬が終わり、新しい新生活に胸を躍らせる、皆が心を踊らせる太陽が眩しく晴れた暖かい日だった。
そんな高校生活初日目にして、もう俺の心は、引き篭もりたい気分に陥った。
そんな俺とは対照的に、とても嬉しそうな拓人。まるでこのまま歌でも歌い出しそうな勢いだ。
俺達は側から見ればどんな風に映っているのだろうか。
まあ、聞くまでも無いだろう。手をしっかり繋いでの登校だから仲良く見えているのだろうな‥。
そんな俺達に、春の微風が優しく吹き抜けた。
___
2021年4月7日更新
2022年1月19日文章編集完了
2
あなたにおすすめの小説
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる