番なんて要らない

桜 晴樹

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気になるあいつ

気になるあいつ。でも嫌い24

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「ぐぬぬっ!」

思わず唸り出す俺に、拓人は右手を俺の頭の上に乗せる。そしてそのまま、ぽんぽん。と、子供をあやす様に撫で出した。

「っ、な、んだよっ!」

拓人の腕を、払い除けようとしたが、意外に力が強く、中々やめてくれない。

「あおい可愛い‥。」

いつの間にか、俺は拓人の腕の中で、抱き寄せられていた。

「やめろよ‥。」

恥ずかしい。今日は、色々と外でも抱きつかれた。周りからは俺達が、戯れあっている様に見えたんだろうけれど、それでも恥ずかしいんだ。今は家の中とはいえ、やはり恥ずかしさは拭えない。
俺は拓人の顔を見た。意外に近くあって驚いていると、更に拓人の顔が近付いてく(あ、キスされる‥。)そう、意識した時、俺の手は自然と拓人の顔の前に出ていた。

「‥。あおい‥。」

怒ってらっしゃる。それはそうだろうけれど。やはりキスする気だったな。

「たっ、拓人が悪いんだからな!」

いくら部屋の中とはいえ、何をやろうとしているんだって言いたい。

「俺の番様は本当に連れない‥。」

俺を抱き締めることは辞めずに、そのままの体勢で落胆の表情をする。

「落胆すんな!まだ諦めてなかったの?!」

身体を引き剥がそうにもびくともしない。

「無理だよ。番とか関係なく、俺は、本気であおいが好きだもん。」

いつ本気で好きになった。そんな話聞いてない。何時もは、はぐらかされている様な、そんな感じだったのに。拓人は俺を、何時の間に好きになったんだ。

「っ、~っ、そんなの、聞いてない!」

恥ずかしさが増して両手で顔を隠す。その手を退かそうと拓人が掴んでくるが負けるものか。

「あおい。ねえ、あおい‥。俺を見てくれないか?」

優しく声をかけられる。いつの間にか、俺の手にキスまでしてくるから、ムズムズしてこそばゆい。

「いやだ!」

イヤイヤと、駄々を捏ねる俺に拓人は抱き締める力を強める。

「あおい~。ね、そんな可愛い事しないで?」

「っ?、!」

可愛いってなんだ!って、抗議しようと手を離して後悔した。

「やっと、顔が見れた。」

へにょ。と、笑う拓人の顔が凄くイケメン過ぎて眩しくて思わず目を閉じてしまった。
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