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気になるあいつ
気になるアイツとオレ7
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ゴタゴタが続いているのは本当の事なので、拓人は渋々頷いた。
「ああ、その事に付いては感謝する‥。」
拓人にとって、愛しい俺が傷付くのは本意ではない。
だからと言って、面白がっている節がある2人に感謝をするのは凄く嫌だって顔に書いてあった。そうだよな。俺達の中を、引っ掻き回している節が今回はあったからな。
拓人は疲弊した顔を俺に向けてきた。
「あおい、巻き込んですまなかったな‥。」
拓人が頭を下げてきた。突然の謝罪に俺は慌てた。
「えっ!なんで謝るんだよっ!」
「俺の家の事情に巻き込んでしまったからな‥。既にあんた達は知ってるだろうけど、あおいは何も知らないから、聞いてくれるか?」
俺が無意識に頷くと、拓人は一呼吸を置いてから、ポツリポツリと話しだした。
それはこう言う話だった。
大体の事は、みきちゃんと修二さんから聞いているから分かってはいたつもりだった。
だが、拓人から聞いた話はもっと凄かった。。。
拓人の家は、元はアルファ至上主義の家だった。
拓人の父には幼い頃より家が決めた許嫁がいた。
将来はその許嫁と結婚をするのだろうと流れに身を任せ何も考えていなかった。
そう、その頃はただ身を任せるだけで良かった。
そんな若かりし頃の拓人父に、まさかの転機が訪れる。
それは運命の番との出会いであった。
運命の番と運命的な出会いをするなんて誰も思わないだろう。しかも結婚秒読み段階でだ。
それは文字通りの秒読みだった。2人の晴れの門出の日、結婚式場での事だ。
2人の結婚を祝う為に友人達も集まっていた。その1人に拓人母は、許嫁の友人として招待されていた。
拓人母は、オメガであった。オメガはその当時は、まだ差別が強い時代であった。だが許嫁は差別をせず、拓人母を大事にし深い友情を築いていた。
勿論、結婚式の日も拓人母を自慢するかの如く、拓人父に紹介したのだ。
そこで拓人父と母は、見つめ合った瞬間に、劇的な恋に落ちてしまった。
なんだそれ?と思うかもしれないが、運命の番同士は出会った瞬間にお互いが強い運命を感じ惹かれ合い、恋に落ちるといわれている。これは本人同士でしか分からない。
因みに俺は拓人を見ても何とも無かったが、拓人は俺に運命を感じたらしい。
この様に、片方しか分からない場合もある。
拓人の父母は、出会った瞬間にお互いが分かったのだから、より強い絆で結ばれているのだろう。
きっと拓人が云う、魂が燃える様に熱くなり、どうしようも無い衝動に駆られたのであろう。
そんな若かりし日の拓人父と拓人母の2人が見つめ合って恋に落ち、そこで一方的に結婚が中止になった。
拓人父側の勝手で一方的な中止により許嫁の家は憤慨した。だが、何故か許嫁は快く諾と答えたが、許嫁の実家がゆるさなかった。
そうしてすったもんだ合った挙句、拓人父と母は逃避行をした。許嫁はそれを手伝ったらしい。
そうして、拓人父は運命の相手と何処までも仲良く幸せに暮らしましたとさ。って、そんな御伽噺が現実にはならない。
きっと、その現場はとんでもない程のすったもんだがあったに違いない。俺が許嫁の親戚ならば叩き潰すな‥。
そんな物騒な感想を抱きながら聞いていた。
なんか、聞いていたよりも酷過ぎて、良く今まで普通に暮らせたと思う。
余談だが元許嫁は、友人だった拓人母に対して恨みを抱えずに、後に王子の様な容姿の大富豪に見染められて結婚したらしい。
その元許嫁とは、まだ交流は続いて家族付き合いをする程、仲が良いそうだ。
だが、元許嫁の実家は未だに婚約破棄がずっと許す事は出来なかった。
それは、そうだろう。俺だって許せない。結婚式場での婚約破棄ってか人を集めておいて中止とかって普通そんな事にはならないだろう。流石に酷すぎる。
どうやって収めたのかも気にはなるが、その元許嫁の懐の広さがあり得ないほど広すぎる。普通ならば血みどろの争いかもしくは音信不通になっているだろう。
俺が許嫁の立場ならば許せないし、ましてや絶対にこれから子々孫々身内にするのも嫌だと思うのが普通だと思う。
だが、それでも元許嫁の実家は拓人の家を狙っていた。
理由としては、元々その家の狙いは拓人の家の人脈だったらしいからだ。
拓人の家は昔から凡ゆる商売をしていた。その人脈がある裏の組織と繋がっているらしい。
そこで俺は聞いてはいけない事を聞いた気がした。
え、なに?裏?裏の組織?なにそれ怖い。
俺は直ぐにでも拓人との仲を切りたい。そう切に願った。
そうすればそんなヤバげな組織とは関係ない!
「‥勘違いしてるかもしれないが、危ない組織ではないからな?」
拓人に訂正されて思考が完全停止した。
「‥、え?違うの?」
だって、裏の組織とか聞かされれば犯罪系を思い浮かぶだろう。と、拓人を睨み返せば、ため息をつかれた。
「んー、もしかしなくても、それって僕のおばあ様の事かな?」
ミキちゃんがまたもや問題発言してきた。え、なに?どうしてそうなった?
ミキちゃんのおばあちゃんは何かのボスなのかな?
俺の思考回路では、金持ちの世界はよく分からない触れてはいけない人達だと確信に変わった。
そう、情けない事に俺はもうお家に帰りたくなった‥。
「ああ、その事に付いては感謝する‥。」
拓人にとって、愛しい俺が傷付くのは本意ではない。
だからと言って、面白がっている節がある2人に感謝をするのは凄く嫌だって顔に書いてあった。そうだよな。俺達の中を、引っ掻き回している節が今回はあったからな。
拓人は疲弊した顔を俺に向けてきた。
「あおい、巻き込んですまなかったな‥。」
拓人が頭を下げてきた。突然の謝罪に俺は慌てた。
「えっ!なんで謝るんだよっ!」
「俺の家の事情に巻き込んでしまったからな‥。既にあんた達は知ってるだろうけど、あおいは何も知らないから、聞いてくれるか?」
俺が無意識に頷くと、拓人は一呼吸を置いてから、ポツリポツリと話しだした。
それはこう言う話だった。
大体の事は、みきちゃんと修二さんから聞いているから分かってはいたつもりだった。
だが、拓人から聞いた話はもっと凄かった。。。
拓人の家は、元はアルファ至上主義の家だった。
拓人の父には幼い頃より家が決めた許嫁がいた。
将来はその許嫁と結婚をするのだろうと流れに身を任せ何も考えていなかった。
そう、その頃はただ身を任せるだけで良かった。
そんな若かりし頃の拓人父に、まさかの転機が訪れる。
それは運命の番との出会いであった。
運命の番と運命的な出会いをするなんて誰も思わないだろう。しかも結婚秒読み段階でだ。
それは文字通りの秒読みだった。2人の晴れの門出の日、結婚式場での事だ。
2人の結婚を祝う為に友人達も集まっていた。その1人に拓人母は、許嫁の友人として招待されていた。
拓人母は、オメガであった。オメガはその当時は、まだ差別が強い時代であった。だが許嫁は差別をせず、拓人母を大事にし深い友情を築いていた。
勿論、結婚式の日も拓人母を自慢するかの如く、拓人父に紹介したのだ。
そこで拓人父と母は、見つめ合った瞬間に、劇的な恋に落ちてしまった。
なんだそれ?と思うかもしれないが、運命の番同士は出会った瞬間にお互いが強い運命を感じ惹かれ合い、恋に落ちるといわれている。これは本人同士でしか分からない。
因みに俺は拓人を見ても何とも無かったが、拓人は俺に運命を感じたらしい。
この様に、片方しか分からない場合もある。
拓人の父母は、出会った瞬間にお互いが分かったのだから、より強い絆で結ばれているのだろう。
きっと拓人が云う、魂が燃える様に熱くなり、どうしようも無い衝動に駆られたのであろう。
そんな若かりし日の拓人父と拓人母の2人が見つめ合って恋に落ち、そこで一方的に結婚が中止になった。
拓人父側の勝手で一方的な中止により許嫁の家は憤慨した。だが、何故か許嫁は快く諾と答えたが、許嫁の実家がゆるさなかった。
そうしてすったもんだ合った挙句、拓人父と母は逃避行をした。許嫁はそれを手伝ったらしい。
そうして、拓人父は運命の相手と何処までも仲良く幸せに暮らしましたとさ。って、そんな御伽噺が現実にはならない。
きっと、その現場はとんでもない程のすったもんだがあったに違いない。俺が許嫁の親戚ならば叩き潰すな‥。
そんな物騒な感想を抱きながら聞いていた。
なんか、聞いていたよりも酷過ぎて、良く今まで普通に暮らせたと思う。
余談だが元許嫁は、友人だった拓人母に対して恨みを抱えずに、後に王子の様な容姿の大富豪に見染められて結婚したらしい。
その元許嫁とは、まだ交流は続いて家族付き合いをする程、仲が良いそうだ。
だが、元許嫁の実家は未だに婚約破棄がずっと許す事は出来なかった。
それは、そうだろう。俺だって許せない。結婚式場での婚約破棄ってか人を集めておいて中止とかって普通そんな事にはならないだろう。流石に酷すぎる。
どうやって収めたのかも気にはなるが、その元許嫁の懐の広さがあり得ないほど広すぎる。普通ならば血みどろの争いかもしくは音信不通になっているだろう。
俺が許嫁の立場ならば許せないし、ましてや絶対にこれから子々孫々身内にするのも嫌だと思うのが普通だと思う。
だが、それでも元許嫁の実家は拓人の家を狙っていた。
理由としては、元々その家の狙いは拓人の家の人脈だったらしいからだ。
拓人の家は昔から凡ゆる商売をしていた。その人脈がある裏の組織と繋がっているらしい。
そこで俺は聞いてはいけない事を聞いた気がした。
え、なに?裏?裏の組織?なにそれ怖い。
俺は直ぐにでも拓人との仲を切りたい。そう切に願った。
そうすればそんなヤバげな組織とは関係ない!
「‥勘違いしてるかもしれないが、危ない組織ではないからな?」
拓人に訂正されて思考が完全停止した。
「‥、え?違うの?」
だって、裏の組織とか聞かされれば犯罪系を思い浮かぶだろう。と、拓人を睨み返せば、ため息をつかれた。
「んー、もしかしなくても、それって僕のおばあ様の事かな?」
ミキちゃんがまたもや問題発言してきた。え、なに?どうしてそうなった?
ミキちゃんのおばあちゃんは何かのボスなのかな?
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そう、情けない事に俺はもうお家に帰りたくなった‥。
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