気付いたら異世界でしたってそんな漫画みたいな(1話から修正中)

桜 晴樹

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始まり

気付いたら異世界でした。

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気付いたら異世界でした。

そんな漫画みたいな出来事が、実際に起こるなんて思うわけないだろう。

俺、有栖川 佑アリスガワ タスクは、そんな訳の分からない現象に悩まされていた。
こんな事が起こるなんて、誰が思うだろうか。
その日は、天気が良く春休みで暇を持て余していた。
俺は、桜を見に近くの公園に1人で来ていた。
別にぼっちとかじゃないからな?友人を誘ったが、皆出かけていただけだったんだ。
ぼっちじゃない‥。
それはさておき、近くの公園は家から歩いて5分位の距離にある。
桜と滑り台があるだけの小さな公園だ。
その入口に入った瞬間に景色が変わった。

目の前には、テレビでしか見た事がないような、中世ヨーロッパ風な建物と、中世の世界を醸し出す鎧や服を身に纏ったイケメン達がいる所に出てしまった。
どうしてこうなった。
その中の1人と目が合った。

「おお!救世主よ、待っておりました!!」

目が合った男は、金髪の長身のイケメンと分類される男で、王子の様な風貌の20代位の年齢だろうか。その男が俺に跪いて、手の甲に唇を押し当てた。それは俗にいうキスというものだろうか。

「っ!?!?」

俺は男だし、男の手にキスをするなんて考えた事もない。ましてや自身がされるなんて夢にも思わない。
こんな風に、手にキスをする人が、本当にこの世にいるのかっていう驚きがあった。
しかも救世主?それってあれか?異世界召喚?

「はっ?!救世主??」

救世主といえば、召喚物に欠かせない魔王とかを倒す者だよな?!
俺に魔王を倒せっていうのか?いや無理だ。
俺はまだ16歳の高校生にしか過ぎない。
しかも根暗のオタク気質の引き篭もりだ。そのせいか日に当たらない肌は、不健康な色で、引きこもり気味だからか筋肉も無い。細くて、身長も高くはない。
そんな俺よりも、筋肉が付いてそうな、ガタイが良いイケメン王子風な目の前の男とか、その周りにいるガタイが良すぎる、騎士服やら甲冑やらを身に着けている長身で、これまたイケメンな男共の方が何十倍も強そうだ。
それとも、俺には召喚された事で、何か素晴らしい特典でも付加されてあるのか?
そもそも俺自身は、召喚なんてされたつもりもないのに、公園の敷地を跨いだら異世界って有りえなくないか?
普通ならば、雷みたいなものが走ったり、風が吹いたり、地面に穴が開き落ちる時に、呪文や何かの言葉が聞こえてくるもんじゃないの?
それが俺の知る異世界召喚物だ!
そんな事も起こらず、何も召喚された感じもない状態で、救世主って言われても実感が湧かない。
そんな俺が、死ぬかもしれない魔王退治をしなければいけないの?!そんなのは博打以外ないんじゃないのか?世界を救うならば、もっと強そうな奴とか賢そうなやつを選べよ!
俺は、慌てて男に縋り付いた。

「いや、俺は、そんな大したもんじゃないっすよ?!それに俺はこんな所にお呼ばれされてないです!!寧ろ、元の世界に帰してくださいよ!」

こんないかにも異世界って感じのところに来ていて、はしゃぐよりも切実に帰りたい。

そんな俺を王子風な男は、キョトンとした顔をしたまま見ていた。まだその手はしっかりと俺と繋いだままだ。

「残念ながら、貴方を帰す事は現時点では出来ません‥。申し訳ない。貴方はこの国の救世主として、私達が神の力を借り喚びました。」

手を強く握られながら、俺は謝罪を聞く事になった。

「どうしてですか?!喚んでおきながら帰る事できないなんて納得いくかよ!!」

怒りで涙が滲んでくる。俺の怒りを目の当たりにして、王子風な男は困った顔を浮かべた。

「すまない‥。我が国、リアージュ王国を救う為には手段を選べなかった‥。貴方は、救世主としての素質がある。この世界に神に選ばれたのです。」

男が言った言葉に、そんなの嘘だ。と、叫びそうになる。そして男は、俺を凝視めながら、男は誓った。俺を苦しませないようにすると、そして男の名を知った。

「救世主よ、すまない事をした。私は貴方を、これ以上に苦しませないようにしよう。早く帰れる手段も嵩じよう。それまでは、共に私達といて欲しい。名を名乗らなかったな。此処は、リアージュ国、私はこの国の第一王太子、ノイシュ・リアージュと申します。貴方は?」

金髪王子風イケメンは、歴とした王子様でした。

「なんで、おれは‥、、、。」
いや、王子なんてどうでもいい。今帰りたいし、名前も名乗りたくもない。そんな俺の態度に王子は詰め寄った。

「救世主よ。貴方を守る為にも名を教えてほしい。」

切実に訴えてくる王子に、俺はため息を溢しながらも名乗る事にした。そうしないと救世主呼びをずっとされそうなのと、帰るまでは守っていただきたいからだ。

「‥有栖川佑‥。」

小さな声で呟く。王子は輝くばかりの顔をしながらも俺の名前を呟いた。

「そうか!アリスガワ・タスク!アリスと呼ぶが良いか?」

なんと可愛らしい。と、王子は小声で呟いた。

「いや、俺の名前はタスクで、アリスガワは、苗字だから!」

だから、そんな異世界に何処でも行きそうな名前で呼ばないで欲しい。
俺は切実に訴えた。

「そうか、タスクだな。」

王子はまだ何かを言いたそうにしていたが、俺は無視を決め込む。
そして、俺達のやり取りを静観している男達に目を向ける。

「ああ、彼等は近衛騎士団に魔術師団達だ。」

王子が彼等に目を向ける。

「手前の髪の蒼色のが‥。」

騎士団長と魔術師団長の名前を聞き、そうして彼等が俺の専属護衛になった。
どうしてそうなった。
まあ、トップの人達に囲まれるなんて、滅多な事では起こらない奇跡だとでも思う事にした。
そうしなければ、怒涛の展開について行けなく、頭がいっぱいになり倒れそうだ。

俺の仕事は、魔族が出している毒の霧を浄化し、全てを癒す事だそうだ。
彼等が口々に言うのは恥ずかしくて逃げ出したくなる。

「貴方は全てを癒す存在なのです。」

いやいや、なにそれヒョロイちびでオタクな男に言う台詞ではない。
それに俺にはそんな力なんてない。

「ああ、癒しの力は召喚された時に自動で付与される特典だからな。」

魔術師団長が事もなげにいう。
え?なにそれ、嫌なんですけど?
あと周り空気になり過ぎてません?

本気マジか‥」

誰か嘘だと言って?




こうして俺、有栖川佑アリスガワタスクは、異世界召喚されたのでした。

リアージュ王国、第一王子ノイシュ預かりになった俺は、これから起こる様々な奇跡を起こす事になるのだが、それは別の話。

てか、俺、帰れるの?







ーーーーーーーーーーーーー

初出
2021年4月1日
23:03

大幅改訂(台詞もかなり直しており原型留めてないかも‥)
2022年8月9日
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