如月真理はまだ知らない

高崎彩

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如月真理の妹

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「今日、私の家に寄ってくんでしょ?」
と私は翔に言った。翔は嬉しそうな顔で
「そのつもりだよ。なんかまずかった?」
「ううん、妹が先に帰っているかもしれないと思っただけ」
「理香ちゃん?いいよ別に。理香ちゃんからまた会いたいと思っていたんだ」
そう翔が言った。またか。私に言ってくれない言葉を簡単に言ってと思いながら家に向かう。そんな私が思っていることを知らないこの男はずいぶんと楽しそうに、次の話の話題に移っていた。彼氏のこの無邪気に話している姿を見て、こういうところに弱いなと思った、
家に着くと奥のほうから「おかえり~」と聞きなれた声がした。この声の主こそ私の妹である如月理香である。家の中を進むとその姿があった。理香は高校生だ。髪型はショートで昔は私もそうであった。
「お姉ちゃん、お帰り。あれ翔さんもいる。翔さんこんにちは」
「こんにちは、理香ちゃん。今日はお邪魔することになっていたけど聞いてなかったの?」
「お姉ちゃんから聞いてなかったです。でも翔さんなら大歓迎です」
そんな会話が繰り広げられている。
「理香、いつから翔のこと『翔さん』呼びしていたの?いつの間に仲良くなったのよ」
「私と翔さんは仲良しです。そうですよね翔さん?」
「そうだよ、仲良し!!」
本当にいつの間にか仲良くなっていた二人であった。今日はもうすぐやってくるテストに備え、翔と勉強しようとしていた日であった。私の部屋に彼を案内して勉強の準備をしていた時に扉が音を立てた。理香がノックしたのだ。入ってくるように促すと、その手にはマグカップがあった。
「コーヒー淹れてきました。翔さんも飲みますよね?」
「頂くよ」
「なんで理香の分もあるのよ」
「私も飲みたかったからだよ」
「この部屋にいる気?」
「もちろん」
理香は悪びれもせずそういった。
「居ても楽しくないわよ」
「それでもいいよ」
理香がそういうので翔にも相談したのだが、構わないと言われたのでおとなしく引き下がることにしたのだった。妹がいる中で勉強することになった。勉強をする前に一口コーヒーを飲む。どちらもブラックだ。翔も熱そうにしながら飲んでいる。彼は猫舌なのだ。いつも元気な彼が、猫舌なのは少し面白いと思ってしまった。私も翔もずば抜けて頭がいいということではない。由美や聡君のほうが頭はいいだろう。なので一方的に教えたり、教わったりということではない。お互いができないことを、お互いが埋めてあっていくということだ。なんか言っていて恥ずかしくなるがそういうことだ。勉強しているうちに翔が席を立った。お手洗いとのことだった。私も少し休憩しようと楽な姿勢をしていると眠たくなってしまい、意識を手放してしまった。
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