如月真理はまだ知らない

高崎彩

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橘由美は再び動く

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 私、橘由美は如月真理と友達だ。それは高校からの仲である九条翔と結城聡も例外ではない。私は高校であの二人に出会い、高校生活を楽しくすることができた。高校の時、二人はサッカー部に所属していた。私はサッカー部のマネージャーとして彼らを応援していた。だからサッカー部がなければ、彼らとここまで仲良くなっていなかっただろう。もちろん私も同性の友達はいたが、皆進路がバラバラであった。今通っている大学にも、私と同じ高校の人がいるかもしれない。けれど、翔と聡ぐらいの仲のひとはいないだろう。翔と聡は小さいころから一緒で小学校、中学校も一緒だったらしい。ほんと仲いい。だから私の立ち位置は今の如月真理のようなものだ。
 そんな如月真理が翔と付き合っているという噂を最近耳にした。最初に聞いたときは信じられなかった。嘘だと思った。でも振り返れば確かに、翔と真理は距離が近かったかもしれない。その事実を私は受けいれられなかった。目を背けてしまった。現状のままでいいと願ったからだ。高校のときは、一歩踏み込んでしまったから三人の雰囲気が変になった。きっかけは翔だが、行動をしたのは私であった。そのときに私は翔のの意味が分かった。それは聡が教えてくれた。最悪のタイミングで。知りたくもないそのは、私にとって重くのしかかった。高校の件は私を含めた三人にとって大きな出来事であった。その中でも結城聡の存在が大きかった。聡は私につらい現実を突きつけた張本人だ。それでも、私と翔のために動いてくれた功労者でもある。だから今は感謝している。翔は大学に入っても調子のいい奴だった。だから安心していた。というより油断していた。如月真理が彼にとって、高校の時のあの人と同じ存在だったということに。如月真理と翔は付き合っているらしい。もしそうなら祝福しようと思った。笑いながら高校の時のように、大学で過ごそうと思った。けれど、二人を前にしてその決意が揺らいだ。そして止めが翔のあの言葉だった。彼女が知らないを知っている私にとっては、苦しかった。だから朝の私があんな態度をとってしまったのだと思う。気持ちが煮え切らない。だから決着をつけに行こうと思う。勝ち目のないものだとしても、一筋の希望にかけて私はスマホを手に取った。
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