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第一章 異世界魔法少女

第十話 魔法ガチャ

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「あ、あれだねぇ……今度からお風呂は別々だね~」
「当たり前だよ!?」

 風呂から上がった俺とメグリンは魔法少女に変身していた。
 気のせいか、なんだか雰囲気が気まずい。まあそれもそうか……ち○ち○見られてしまった訳だし。

「あ、そうだぁ。フレンド交換、しよっか?」
「フレンド交換?」

 聞きなれない単語に、俺はオウム返しに言ってから首をかしげる。

「えっとぉ、教えてあげるから変身アイテム貸して~」
「あ、うん」

 俺は腰についていたハート形の端末をメグリンに渡す。するとメグリンは、双葉の形をした自分の変身端末を俺の端末に引っ付けた。

 ピロリンッ♪

 軽快な音と共に、お互いの端末にフレンドが追加されましたのメッセージ。

「はい♪ これでお互いの事がある程度までわかるからねぇ」
「あ、ありがとう……」

 天使のような笑みを浮かべながら僕に端末を手渡してくるメグリン。マジ天使。

「どれどれ……」

 さっそく、自分の端末に表示されているフレンド登録数の文字をタップして、メグリンの情報を開いてみる。

――――――――――

 魔法少女名:メグリン
 癒しの魔法少女マジカルヒール
 LV:36
 所持アイテム:釘バット 癒しの雫 
 フレンド登録数:15
 場所 ルーメラ村

 ――――――――――

 こんな感じで表示されていた。場所まで分かるようになるのか。
 それにしてもメグリン、フレンド多いな……。

『勝手にいい雰囲気になってるんじゃないっちゃ☆』
「「?!」」

 ボフンと言う効果音と共に水色の有袋類、メープルが登場する。

「あ、メープル~。おひさしぶりだねぇ♪」

 全ての元凶であるヘンテコ有袋類を見ても、笑顔を絶やすことなくメープルをふにゃふにゃしだすメグリン。…………天使かな?

『や、やめるっちゃ。そんなことしても、なにもでてこないっちゃよ☆』

 顔をへべれけ親父みたいにしながら言われても、説得力ねえよクソ雑魚有袋類が。

「メープル~。魔法ガチャ引きたいんだけどぉ」
『んん~……メグリンは1000ポイント溜まってるから構わないっちゃよ☆ あ、でもそこのクソ雑魚ナメクジはまだ3ポイントしか溜まってないからダメだっちゃ☆』

 そう言って俺を見ながらバチコンとつぶらな瞳でウインクしてくるメープル。

 …………引きちぎってやろうかあの袋。

「そっかぁ……ロンロンにも引かせてあげたかったんだけどな~……」

 そう言って肩を落とすメグリン。おい、何とかしろよ有袋類。

『ご、ゴホンッ……。し、仕方ないっちゃね。今回は特別に10ポイントで引ける魔法ガチャを引かせてやるっちゃ☆』

 俺のせめるような視線と、メグリンの悲しそうな表情に耐えられなくなったメープルが渋々言う。こいつ、メグリンには弱いのな。

『さあ、ひくっちゃ☆』

 そう言って、腹についてる小さな袋を俺へつき出すメープル。いやいや、こんなちっさい袋に手が入るわけないだろと思うがーー

「うわっ……」
『あひんっ☆』

 入りましたよ……入っちゃいましたよ……。ていうか気持ち悪い声出すな、汚い。

 俺はそのままメープルの腹の中を探り、手に当たった物を掴むと袋から引っ張り出す。

「こ、これはッ……!」

 俺は自分が掴んでいるものに、思わず驚愕の声をあげた。

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