アナグラムの勇者 ~異世界を書き換えるリライトスキル~

ぎゃもーい

文字の大きさ
36 / 63
第二章 「神に愛されなかった者」

#34 ナナの武器

しおりを挟む
※タイトルをちょっと変更

 * * * 

 ギルドへと続く街道。 

 ナナが俺の後ろを歩いている。
 ただその姿は数刻前とは違い、目元まで隠れるフードのような衣服を羽織っていた。

 傍から見たら、このフードの主が少年なのか少女なのかさえ分からない格好だ。

『これが神に愛されなかった者の証』

 フィリー曰く、神に愛されなかった者にはステータス画面以外にも、身体に紋章のような特徴が現れるらしい。

 ナナの場合、いつもは絹のような金髪に隠れて見えなかったが、額の右側にそれはあった。
 紫色でどこか禍々しい印象を受ける紋章のようなそれが、神に愛されなかった者の特徴らしい。

『神に愛されなかった者とばれないようにね。普通の人でも"それ"だと分かるだけで態度が豹変するから』

 そんなことを伝え聞いた俺は、目元まで隠れるフードをナナに着せた。
 ナナは最初こそ少し嫌がったが、今では何の問題もなくそのフードを身に着けている。

 ナナのその様子を満足しながら俺が見ていると、後ろを歩くトラッキーの上から声が上がった。

「アキラ~今日はどこ行くんや~」

 ミヤのその声に俺は答える。

「いつも通りギルドで依頼を受けた後、とりあえず武器屋だな」
「あー、なーちゃんの武器を買うんやね」
「そんな感じだ」

 俺たちは冒険者ギルドから初心者用の武器が貰えたが、ナナが登録することは流石にまずい。
 そう思った俺は、ナナの武器を武器屋で探しことにした。

 * * * 

 冒険者ギルドで簡単な依頼を受けた後、俺たちはその足で冒険者ギルドから一番近い武器屋に来ていた。

「はへ~、色々あるんやね。それになんというかピカピカしてんなぁ」

 ミヤが感嘆の声を上げる中、俺もまたその武器たちに目を奪われる。
 剣は勿論、槍、斧、メイス、モーニングスターなど様々な種類の武器が展示されており、それらの武器はどこか中二心をくすぐるような一級品ばかりだった。

 ゴールドアックスとかいうすごく金ぴかな武器に目を細め、
 ドラゴンキラーという機能性よりも斬新性を取ったかのような独特な形の武器に俺は胸を高ぶらせる。

「……すげぇ」

 俺もまた自分の武器こんぼうと展示された武器を見比べるが、やはりモノが違うことは一目瞭然だ。

「どうだ? 良さそうな武器はあったか?」

 店主が俺たちの様子を見て声をかけてきた。

「ええ、はい。良さそうな武器ばかりで」
「まあな。一番目立つ場所の展示武器は店の顔だ。そこにいい武器を置くのは当然だ」
「……あ」

 俺はその言葉を聞いて、俺は武器屋の一部分しか見てなかったことに気付く。
 左右を見渡せば、先の武器よりも質が幾分劣った冒険者の財布に優しそうな武器が、無造作に置かれていることに気付く。

 ……どっちかというと、そっちのほうが俺たち向きだな。
 そんなことを思いながら、そちらに足を進めようとするとミヤがトントンと俺の肩を叩いた。

「そういえば、なーちゃんの武器はどの武器にするとか決めてるん?」

 ミヤの疑問に、俺は間髪入れずに答える。

「弓だ。間違いない」

 エルフと言ったら弓、これは常識である。うん。
 魔法を使うエルフもいるみたいだが、前にステータス見た限りではナナは魔法系は使えなそうだし。

 それに俺たちのパーティで足りてないのは遠距離系。
 ナナが弓を使ってくれれば万々歳なのだ。

 そんなことを思いながら、左右の武器群を見渡すと手ごろで小さめの弓を見つけることができた。
 鉄の弓矢50本とセットで、銀貨5枚。非常にお得だと思う。

 これがいいだろうと、ナナの元へそれを持っていこうとした時。
 その光景が見えた。

「……」

 フードの影から覗く、大きな翡翠の瞳。
 ナナのそれは微動だにせず、ある一点を見ていた。

 俺がその視線を先を追うと、そこは"店の顔"の展示部分。
 そして、そのナナの視線の先にあるのはある弓だった。

「……えぇ」

その弓を見た時、俺は思わず口からその言葉が零れた。
それくらい、その弓は異端だった。
しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日ごろに発売となります。 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...